NEW YORKER

Special Contents

Autumn / Winter 2018

Kayoko Murayama

VOL.04

チェックな気分がやってきた!
今こそ選びたいキルトスカート

スタイリスト 村山 佳世子さん インタビュー

それは、なぜか秋冬になると、着たくなる。シックに、フェミニンに、カジュアルにさまざまな表情を楽しめる永遠の定番アイテム。スタイリスト村山氏をゲストに迎えたスペシャルコンテンツ第2弾は、ニューヨーカーからこの秋登場するキルトスカートのお話。

VOL.04

ちょっぴり長めが、今の気分にぴったり

── 2018-19AW、チェック柄の傾向はいかがですか?

村山
2018-19AWシーズンも人気ですよ。かなり派手なチェック柄もたくさん登場します。夏が終わって少しずつ肌寒くなり、そろそろあたたかい着こなしがしたいなぁと思うとみんなチェックが着たくなるのかも。次の秋冬が特別にということではなく、ちょこちょこ見かけますよね。

── 今季はどんなチェック柄が多いですか?

村山
このスカートのようにシックなものと、それとは真逆に派手めのものも。さまざまなチェック柄がスカートやパンツ、ジャケット、セットアップとなって出てきます。そういう意味では、今年は特に“チェックな気分”なのかもしれません。

── 村山さんご自身もチェック柄アイテムを着用されますか?

村山
私はあまり柄もの・色ものは着ないんです。でもなぜかチェック柄とボーダー柄は好きで、よく着ています。個人的にトラッドスタイルが好きなので、そのふたつの柄に集中しちゃうのかも。

── キルトスカートは?

村山
このスカートを拝見して思い出したのですが、だいぶ昔になりますが、まさにこんなチェック柄のキルトスカートを履いていました。

── キルトスカートは80年代頃ブームでしたよね。

村山
そうでしたね。だからとっても懐かしい! キルトピンが付いた、ネイビーのピンストライプ柄スカートをよく履いていたなぁ。膝が隠れるだけでシックに見えるので、当時も膝下丈を好んで履いていたような気がします。今回のスカートは丈の長いタイプも含め、やはり絶妙に進化していて丈感も今年っぽい仕上がりですね。ちょっぴり長めが気分、ということもあり、長い丈のスカートはけっこうモードな雰囲気に着こなせると思いますよ。

大切なのは、きちんと選んだ「靴」

── トップスにはどんなアイテムが合いますか?

村山
ツインニットもいいと思いますが、ざっくり編んだニットもよさそう。今、人気のパーカを合わせてもかわいいんじゃないですか? そういえば、当時の私もざっくりニットやパーカを合わせていた気がする…自分のスタイルって変わらないものなんですね。改めて気づきました!

── 具体的にどんなスタイリングがおすすめですか?

村山
とってもシンプルなニット帽をかぶって、足もとにはスニーカーを合わせたり。タイツにマニッシュな紐靴とか、ローファーもいいですね。アウターは、レザー系もいいですが、私だったら少し大きめのカジュアルブルゾンを羽織るかな。きれいめのコートではなく、ちょっとスポーティに着たいですね。

── スカート丈の長さによって合わせ方も変わりますか?

村山
そうですね。丈の違いによって着る人のマインドも違ってくると思うので、合わせ方もそれぞれ。でもマニッシュな靴やスニーカーであれば、両方にマッチすると思います。長めの丈にはフラットシューズやブーツなどを、短めの丈にはパンプスも合うと思います。

── キルトスカートを履く上で、逆に気をつけておくべきことは?

村山
それは、足もとですね。“靴”のセレクトがとても重要になります。

── 例えば?

村山
シャツにキルトスカートを合わせても素敵ですよね。でもその時に「なんでもいいや」と、いつも何気なく履いている黒やベージュのプレーンなパンプスを合わせちゃうと危険かもしれません。そこでほしいのは、「どんなイメージで履きたいか」をきちんと考えること。トラッドスタイルに仕上げたければ、ローファーやマニッシュなドレスアップシューズを合わせる。もっとラフに着こなしたければ、スニーカーを合わせる。お仕事やちょっとフェミニンなおしゃれがしたい時には、スエード調などのさりげなく素材感のあるパンプスを合わせる…など、靴にもポイントを置いたセレクトを心がけていただきたいです。

── なるほど!おしゃれは足もとからといいますからね。

村山
はい。靴をいちばん最後に合わせる方って多いと思うんですが、靴で印象はガラリと変わります。「なんでもいいや」ではなく、ちゃんと考えて選んでいただきたいです。お手持ちの服に合わせるだけでも、このキルトスカートと靴のコンビネーションでぐっと今っぽい表情になりますよ。

今年のブラウンを、チェック柄から覗かせて

── 今回このグレーのキルトスカートは本格的な巻きスカートになっていますが、それ以外のアイテムは“キルトスカート風”になっているそうです。

村山
あっ、本当だ!“巻きスカート風”だ!巻きスカートって、とてもかわいいけれど、実は面倒臭かったりしますものね(笑)。グレーだけ本格的なボックスプリーツで巻きスカートになってるんだ…このグレーのスカートには、明るい色のニットなどが相性よさそうですね。

── このチェックの柄や色味についてはどう思われますか?

村山
やはり、昔のチェックとトーンが変わっていますね。昔はタータンチェックで、色も赤や緑と“ザ・トラッド”なわかりやすい柄が主流でしたけれど、今回のものはとてもシックで、なかなか今までにないような色味ですね。さりげなくブラウンが入っているのも今っぽいと思います。ボルドーやこげ茶ではなく、このレンガっぽいブラウンが気分なんですよね。

── しっかりと今の気分が盛り込まれているんですね。

村山
そうそう。でもキルトスカートって不思議で、新しく進化していてもどこか懐かしさを感じさせるところが魅力なんですよね。数十年前に履いていた時ですら「なんかこのスカート、懐かしい」って感じたのを覚えています。すっと気持ちに馴染んでくれるような懐かしさはあるんだけれども、決して古くない。キルトってそうやって繰り返し、繰り返しやってきて楽しませてくれるアイテムだと思います。間違いなく、永遠の定番ですよね。

Profile

Kayoko Murayama

村山 佳世子(むらやま かよこ)さん

高校卒業後、文化服装学院スタイリスト科に入学。卒業後、アシスタントを経て、1992年に独立。『eclat』『Marisol』などのファッション誌を中心に活躍中。旬のエッセンスをさりげなくきかせながら、女性らしい上品さとやわらかさが加わった独特のスタイリングで感度の高い女性たちから常に注目を集める。

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