HOW TO

トラディショナルを愛するクリエイターに聞く 感性を養うおすすめの書籍


photo_kazumasa takeuchi
text_yuichiro tsuji, newyorker magazine

今月の「HOW TO」では、トラディショナルに精通する人たちが推薦するヴィジュアルブックや、文献の数々をご紹介します。ファッションの第一線で活躍するクリエイターたちは、それらの本に意識を傾けどんなことを感じ取ったのか。その本にまつわるお話を伺いました。
入梅の季節が近づき、雨の日は家でゆっくりと過ごそうと考えている人も多いはず。そんなときこそ、素敵な本を眺めながら自分自身の心と向き合ってみてはいかがでしょうか?

感性を養うおすすめの書籍

Selected by Creators who love Traditional


Select 1

NAVIGATOR八木沢 博幸さん

CASSIDY HOME GROWN
原宿の名店「CASSIDY」のバイイングと接客を務め、2010年には同じ原宿エリアに「CASSIDY HOME GROWN」を開店。トラッドを感じさせるオリジナルウェアの企画・デザインも手掛ける。
インタビューTRADITIONAL STYLE Vol.03

BOOK 1Men in Style

ラルフ・ローレンも太鼓判を押すイラスト。

1933年創刊の「エスクァイア」に掲載されていたイラストのダイジェスト集です。創刊当初はファッションページにイラストを用いていて、この本には幾名かのイラストレーターの作品が掲載されています。中でもローレンス・フェローが描いた作品は注目です。あのラルフ・ローレンも参考にしたと言われる程、当時の着こなしや文化が忠実に描かれていて、“トラッド”を学ぶうえでとても勉強になります。
「Men in Style」(Rizzoli)

BOOK 2お洒落名人 ヘミングウェイの流儀

ハードボイルド作家の知られざるこだわり。

ヘミングウェイといえば、ハードボイルドな文体で知られるアメリカの文豪。生前は釣りや狩猟、ボクシングをたしなみ、死後50年が経過する現在でもタフなイメージを貫く彼が、実はお洒落に対しても並々ならぬこだわりを持っていた、という事実を知ることができます。新婚旅行で訪れたハワイでの一幕が写真に収められており、足元に「ジャック・パーセル」を履いていたのには驚きました。
「お洒落名人 ヘミングウェイの流儀 」今村 楯夫、山口 淳 ¥529(新潮文庫)


Select 2

NAVIGATOR中山 まり子さん

スタイリスト / MADISON BLUE ディレクター
1980年代よりスタイリストとして活動。1980年代後半NY在住時にスタイリスト活動の他、雑誌のコーディネーターとして活躍。現在は広告・雑誌・音楽関係のスタイリングをメインに活動。2013年自身のブランド「MADISON BLUE」を立ち上げる。今秋、初の著書を出版予定。

BOOK 1MOUNTAIN

壮大な自然がアイディアを生む一冊。

この本に収められている自然の写真を見た瞬間、その壮大さにグッと引き込まれてしまい、お店で即購入した一冊です。鋭く切り立つ岩山の景色に、穏やかで優しいだけではない、自然の強さや逞しさを見出しました。自然のスケールの大きさに対して人間という存在は儚いほどに小さく、洋服の持つデザインや機能は無に帰してしまう。この本を見ていると、心がゼロになり、新しいアイディアが生まれたりします。
「MOUNTAIN 」Sandy Hill(Rizzoli)

BOOK 2VOGUE ON ココ・シャネル

ココ・シャネルの魅力を網羅。

私自身が強い影響を受けているココ・シャネルの本。彼女に関する著書がたくさん存在する中で、ファッションはもちろんのこと、彼女の言葉などもわかりやすく伝えている貴重な一冊です。洋服を通して女性を解放したりと、自分の信念を貫き、精神的な強さを持つ彼女の魅力が余すことなく紹介されています。女性だけでなく、男性にもおすすめです。
「VOGUE ON ココ・シャネル」ブロンウィン・コスグレーヴ/著、鈴木 宏子/翻訳¥2,592(ガイアブックス)


Select 3

NAVIGATOR小林 新さん

スタイリスト
1978年 神奈川県生まれ。大学卒業後、渡辺康裕氏に師事。2006年に独立し、現在は雑誌、音楽、広告などを中心に活動。洋服にとどまらず、その周辺にある美術などもスタイリングの一環と考え、独自の職人的な視点を持つスタイリストとして定評がある。

BOOK 1at Home

作り物ではない本当の豊かさがここに。

写真家・上田義彦さんが、ご自身の家族との生活を撮った作品。ご夫人である桐島カレンさんや、子供たちと接する場面が収められています。「写真家と被写体」ではなく、「家族」という素の関係によって撮影された写真からリアルな息づかいや体温を感じます。また、ご自宅のお洒落な空間も見どころ。こういった写真や空間を作れるのは、飾らず豊かな内面があってこそ、とスタイリストとして考えさせられます。
「at Home」上田義彦 (リトルモア)

BOOK 2なぎさホテル

男の流儀を学んでこそ“トラッド”。

伊集院さんご自身の自伝的要素が強く、人間味が色濃く出た作品だと思います。酒に溺れ、ギャンブルに走るなど自虐的で破天荒な傾向がある反面、人に対して律儀に接したり、ロマンチックな性格も持ち合わせる主人公に、思わず共感してしまう部分が多かった。“格好良さ”と“格好悪さ”を両方ともさらけ出す姿こそ“真の格好良さ”なのではないかと。男の所作を学びたい方は是非読んで欲しい小説です。
「なぎさホテル」伊集院 静 ¥1,512(小学館)


Select 4

NAVIGATOR遠山 周平さん

服飾評論家
1951年東京生まれ。日本大学理工学部建築学科出身。取材を第一に、自らの体感を優先した『買って、試して、書く』を信条にする。豊富な知識と経験をもとにした、流行に迎合しないタイムレスなスタイル提案は多くの支持を獲得している。ICON OF TRADを連載中。

BOOK 1ハリスツイードとアランセーター

ふたつのトラッドアイテムを巡る真実。

いまなお手作業で作られる「ハリスツイード」と、独特の編み目を持つ「アランニット」。ふたつのトラディショナルなアイテムがどのようにして作られているのか? スコットランドとアイルランドにある小さな離島の自然や、そこで生活を営む生産者たちの日常が写真や文章で紹介されています。ここで語られる伝統的なものにこそ、これからのファッションの目指すべきところがあるように感じます。
「ハリスツイードとアランセーター」長谷川 喜美/著、阿部 雄介/写真 ¥3,240(万来舎)

BOOK 2ぼくのおかしなおかしなステッキ生活

散歩好きは必読の書。

最近ステッキに興味があり、つい買ってしまった一冊です。大正から昭和にかけてステッキは誰もが持ち歩くものだったようで、当時の風俗写真や昔の文豪の著書を通して、ステッキの魅力を掘り下げています。また、豊富な雑学を堪能できるのもこの本の魅力。読み進めるほどに興味の世界が広がり、古き良き高等遊民的な思索の世界へ誘ってくれます。日暮れどき、目的を持たずに近所へ散歩に出掛けたくなります。
「ぼくのおかしなおかしなステッキ生活」坂崎 重盛 ¥1,944(求龍堂)


Select 5

NAVIGATOR鈴木 里美さん

TORO
渋谷・原宿エリアのヴィンテージショップの草分け、老舗有名店のショップマネージャー。文化服装学院出身。休日も古着ショップを巡る根っからのファッション好き。現代モードを意識した個々に似合う提案にデザイナーやスタイリストなどからも支持を集める。

BOOK 1アメリカン・ノスタルジア ノーマン・ロックウェルの世界

古き良きアメリカの日常スタイル。

私が子供のころから家にあった、父から譲り受けた画集。1910~1971年のアメリカの庶民から上流階級まで、人々のリアルな日常がわかる一冊です。どんなに草臥れていても革靴を履いていたり、ベストで洒落こんでいたり、スラックスの履き方やアクセサリーも鮮明に描写されています。見開きに職人とホームレスの着こなしがあるなど、今あらためて見るとファッションだけでなく、大事なメッセージに気づく大切な本です。
「アメリカン・ノスタルジア ノーマン・ロックウェルの世界」東野 芳明/訳(PARCO出版局)

BOOK 2有閑倶楽部

ファッションがまるごと楽しめる良本。

私にとって漫画は一番身近な媒体なんです。ここまでさまざまなファッション要素が詰まっていて、効果的な作品は他にはないですね。トラッドを着ている人から’80年代ルックなど、登場人物の衣装がしっかりしているのは、作家自身もファッション好きだから。1981年に雑誌りぼんでスタート、現在も不定期連載中で、流行に左右されずベーシックで楽しめる“洋服がいい”漫画です。
「有閑倶楽部」一条ゆかり(集英社文庫)


Select 6

NAVIGATOR鈴木 洋さん

NEWYORKER GINZA FLAGSHIP SHOP
1990年株式会社ニューヨーカーに入社。直営・百貨店などメンズニューヨーカーひと筋で接客販売を担当。巧みな色使いでオリジナリティ溢れるトラッドな着こなしが得意。お客様に合ったスタイル提案や、きめ細かなサイジングに定評がある。

BOOK 1TAKE 8 IVY

アイビーファッションのルーツを探る。

アイビーのルーツや基本がわかる写真集で、4年前にあらためて学びたくなり購入。アイビーファッションについてモヤっとしていたことが、この本でハッキリしました。アイビー・リーグといわれるアメリカの8大学の学生たちを、実際に20年以上にわたって撮り続けたものなのでドキュメンタリー感があり、ファッションはカジュアルからジャケットスタイルまで、彼らが着ていたレアな合わせが知れたりするのも楽しいです。
「TAKE 8 IVY」伊藤 紫朗/解説、林田 昭慶/写真 ¥1,980(万来舎)

BOOK 2ROWING BLAZERS

ブレザー!ブレザー!ブレザー!

アメリカ、イギリス、オランダ、南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアの大学、クラブ、チームごとのブレザーが一同に見られる写真集。ヨットクラブのルックが多く、着たおしてボロボロになった真っ赤なブレザーなんて本当かっこいいです。さまざまな色柄のユニフォームのブレザーに、エンブレムも多種多様でコーディネートのヒントが凝縮。銀座店内にディスプレイしているので気軽に見て欲しいです。
「ROWING BLAZERS」Jack Carlson 、Carlson Media INC.(Thames&Hudson)


Select 7

NAVIGATOR嶋田洋書

50年の歴史をもつ、東京・南青山の老舗ヴィジュアル洋書専門店。ファッションやデザインに留まらず、建築、アート、料理、音楽に至るまで幅広いジャンルのヴィジュアルブックを取り扱う。
〒107-0062 東京都港区南青山5-5-25T-PLACE 1階 A-103
TEL 03-3407-3863
営業時間:11:00〜20:00(月曜日定休)

BOOK 1GENTLEMAN: A Timeless Guide to Fashion

紳士スタイルの基礎知識。

クラシックで奥深い紳士スタイルを、全般的にガイドしたヴィジュアルブック。クラシックメンズファッションに精通した著者が、身だしなみの基本知識やヒントを豊富な写真でわかりやすく紹介しており、紳士たるもの知っておくべき情報が満載です。トラッドや紳士スタイルの知識を深めたい人にはもちろん、ファッションセンスを磨きたいすべての方におすすめの一冊。
「GENTLEMAN: A Timeless Guide to Fashion」Bernhard Roetzel ¥5,119(h.f.ullmann)

BOOK 2THE IVY LOOK

服飾デザイナーの購入率が高い本。

アイビー・ルックの世界を一冊に詰め込んだポケットガイドブック。アメリカで流行したこのスタイルにまつわる人や服、広告、言葉、ストーリーを、イラストや写真を豊富に紹介しています。今でも世界で愛されているアイビースタイルの原点を当時の実例から見ることができ、アイビー好きは必携。ハンディサイズながら情報豊富であるところも、本書が人気である理由のひとつです。
「THE IVY LOOK」Graham Marsh、JP.G