FASHION & BEAUTY

Vol.01 FASHION & BEAUTY TREND TALK


Sep 3rd, 2014

photo_nahoko morimoto
illust_hitomi hasegawa(visiontrack)
edit_rhino inc.

密接な関係にある「ファッション」と「メイク」。女性の印象を左右する2大要素ですが、洋服は変わってもお化粧はいつも一緒、など、ファッションに合ったメイクをしている人は、意外と少ないのではないでしょうか? 今回はスタイリスト福田麻琴さん、ヘアメイク佐藤エイコさんに、今シーズンのファッションとメイクのトレンドをインタビュー。さらに「お出かけ」「お仕事」「休日」の、3つのシーン別でおすすめのファッションと、それに似合うメイクをレクチャーしていただきました。

2014-15AW FASHION TREND

ミニマルでクラシカル、そしてトラッド

―― 2014-15の秋冬シーズン、ファッションのトレンド傾向はありますか?

福田麻琴さん(以下福田、敬称略):プチハイネックやミモレ丈のスカートなど、秋冬はやはりクラシカルなムードです。ただ今までのクラシカルではなく、あくまでもミニマルな雰囲気に。一方で、ケーブルニットやチルデンニットに長めのスカート、それにソックスとおじさん靴を合わせたりするトラッドな着こなしも流行っています。ただ、どれかひとつというよりは、トラッドでもあり、ミニマルでもあり、いろいろなスタイルがミックスされて1つのトレンドになっているのかな、と。

―― なるほど。

福田:全体の大きな傾向で言うと、少し女っぽくなっているかな。今までがパンツで、シャツで、おじさん靴だったのが、スカートに変わって、トップスがニットになって……。だけど決してふわふわなスカートじゃなくて、プリーツやフレア、タイトも共通して「すっきり大人っぽい」方向になっているかな。ちょっと進化したミニマルという感じです。

―― 色のトレンドはありますか?

福田:差し色だとボルドーや赤、あとはグリーン系。この2色が差し色として多く出ています。ベースはネイビーが一番多く、あとは黒とグレー。ブラウンの代わりにカーキが人気です。

2014-15AW MAKE TREND

メイクトレンドは「口元」から「目元」にシフト。

―― メイクに関して、今季のトレンド傾向はありますか?

佐藤エイコさん(以下佐藤、敬称略):最近まで「口元」にポイントをおくトレンドが来ていたと思うんですが、それがまた「目元」に戻っていると感じます。あとは、パリコレなどの海外の傾向をみても、秋冬なのに「軽いメイク」という流れがあります。「ヌーディーメイク」が多かったかなという印象ですね。眉のトレンドも、がっつり太眉よりは、ちょっとソフトになってきています。

―― 最近流行っていた太眉ブームが落ち着いてくるということでしょうか。

佐藤:バキッとした太い眉毛よりも、もう少しソフトで顔になじむような眉になってきていますね。でも本当にことごとく「口元」ポイントがなくなっていました。

―― これからは「口元」はどんな風になるんですか?

佐藤:ベージュですね。さらに目元もベージュ、チークも無しという感じ(笑)。本当にフラットな感じで、ちょっと陰影が付いている位。肌の質感に関しても、秋冬だからといって重くはなくて。ポイントがあるとすると、目元にカラーのラインが入っているメゾンが結構あったので、カラーライナーが秋冬なのに多く出ていますね。

―― 色のトレンドはありますか?

佐藤:アイシャドウで言うと、ボルドーとか。ブラウンや黒よりも、少し色があるものが流行っているのかな。でもそれで囲んだりするのではなく、シャドウライナーだったり、ライナーみたいな感じで入れるっていうのが世界的な傾向です。ただ、日本ではようやく「口元」が流行ってきた感があるので、それは引き続きトレンドとして続くと思います。

2014-15AW TREND STYLE & MAKE

Period. 01

お仕事スタイルは、素材に遊び心を

ブレザーニットシャツスカートネックレス /NEWYORKER

―― では、この秋冬のファッショントレンドをふまえて、おすすめのスタイルを教えてください。まずは「お仕事スタイル」から。

福田:かっちり見えて楽ちんなニットジャケットに白のコーデュロイスカートを合わせた「素材に遊び心があるお仕事スタイル」です。

―― 素材がポイントなんですね。

福田:シャツ・ジャケット・スカートっていう、それぞれのアイテムはオフィススタイルの王道。でもニットジャケットだったり、シャツがチェックだったり、コーデュロイのスカートだったりするから、コーディネート全体に「ヌケ感」があるんですよね。

―― 遊び心があっていいですね。

佐藤:肩にかけた差し色の赤ニットやジャケットの金ボタンなど、冬のマリンスタイルならオフィスに取り入れやすいと思います。

ネイビーのアイライナーでトラッドな目元に

―― このスタイルには、どういうメイクが良いですか?

佐藤:メイクのトレンドが「口元」から「目元」にシフトしてきているとお伝えしましたが、ネイビーのライナーを使ったメイクがおすすめです。

―― 黒じゃなくて、ネイビーなんですね。

佐藤:トラッドっぽい雰囲気で、瞬きをしたり、表情が変わったときにちらっと色が見えるのが可愛いですよ。ネイビーじゃなかったらボルドーでも。ブラウンやグレー、ブラックに飽きた人がちょっと冒険したいなって時におすすめです。CHICCAやTHREEのアイライナーは全然にじまなくて使いやすいですよ。

福田:THREEのは、私もボルドーを持っていて。こういう色は得意じゃなかったけど、これだったら「使ってみられるかも」って思ったの。落ちないから化粧直しいらずで、お仕事向きですね。

佐藤:口紅は、パーティーとかの時はきちんと塗るのに対して、お仕事の時は、ぽんぽんぽんっと軽くつけて、指でのばすくらいのラフさだったら取り入れやすいかも。

―― シーンごとに口紅のつけ方を変えるんですね。

佐藤:そうですね。同じ1本の口紅でもつけ方で印象が変わります。仕事の時に目立つのはちょっと勇気がいるっていう場合は、色は普通のベージュピンクみたいなものを。

―― リップもネイルも優しい色で、どちらもオフィスづかいに良さそうです。

【使用アイテム】
アイライナー:ラスティング ジェル ペンシル 01ネイビーブラック(CHICCA)
リップ:ミシック ルージュ 13(エレガンス)
ネイル:ネイルポリッシュ 02 CLOUDS ACROSS THE SUN(THREE)

Period.02

ピンクニットがフェミニンな、きちんと休日スタイル

カーディガンシャツパンツスカーフ / NEWYORKER、
ネックレス /NEWYORKER BLUE

―― 次に、休日におすすめのスタイルを教えてください。

福田:秋冬は休日スタイルも、少しきちんとした着こなしがおすすめです。シャツにカーディガン、デニムを合わせているんですが、シャツもカーディガンもボタンは全部上までとめるのが、今年っぽく着こなすポイント。春夏はこなれ感のある西海岸風なカジュアルだとしたら、秋冬はヨーロッパ的なきちんとカジュアルが似合います。

―― ピンクのカーディガンが印象的です。

福田:ニットが秋冬のベーシックな色だと、もっとメンズっぽいかっちりとした印象になりますが、クラシカルな着こなしの中にピンクで少しフェミニンな雰囲気を取り入れています。普段使っているアイテムにちょっとピンクを足すっていうのは取り入れやすいんじゃないかな。デニムはちょっと濃い目が今年っぽいですね。

―― ビジューネックレスやスカーフもアクセントになっていますね。

福田:そうですね。スカーフは今年らしいし、シャツを留めたまま上からビジューを合わせても可愛いと思います。今年は首元が詰まった服が多いから、より首元のお洒落はポイントになります。足元はスニーカーを履いてもいいし、おじさん靴でもいいですね。あとはメガネをかけたりしても。

―― 読書してそうなスタイルですね(笑)。可愛いです。

福田:休日の「神保町ガール」です(笑)。

秋色の目元を作る、ボルドーのアイシャドウ

―― このスタイルには、どんなメイクが良さそうですか?

佐藤:秋っぽい目元を作る、ボルドーのシャドウを使ったメイクがいいのかなって思います。

福田:このボルドーは、何ていう色になるんですかね。この色だけ見ると「え、これをアイラインに乗せるの…?」って思っちゃう。

佐藤:一見腫れぼったく見えそうだけど、そうならないんです。

―― 目を伏せた時にボルドーが見えるのが素敵ですね。

福田:すごく女性らしいというか…。ふわっとして大人っぽい!

佐藤:つけるときは、目のまわりを囲むのではなくて、シャドウラインのようにふんわりとラインづかいで。そうするとかわいい印象になりますよ。目元だけ浮いたりせず使いやすいと思います。

―― 確かにちょっとブラウン寄りというか、思っていたよりつけやすそうな色ですね。

佐藤:そう。つけやすいし、そんなに肌色を選ばないですね。普段はブラウン系が多くて、でもちょっと目元で遊びたいっていう人には、ボルドーはすごくおすすめです。

福田:「ちょっと無理かも…」って思いがちだけど、実際に付けてみたら「あれ、これならいけるかも」って思えそう。

―― キラキラのラメのネイルも可愛いです。ベビーピンクのカーディガンも、このメイクとネイルで大人の女性になりますね。バランスが取れてちょうどいい感じです。

【使用アイテム】
アイシャドウ:オンブル エサンシエル 106 ヘジタシオン(シャネル)、ヌーヴェルアイズ 10(エレガンス)
リップ:ルージュココシャイン 93 アンティム(シャネル)
ネイル:ネイルポリッシュR 3630 ARABESQUE(ナーズ)

Period.03

ネイビーワントーンが上品な、お出かけスタイル

ニットスカートファーマフラーネックレス /NEWYORKER

―― 最後に、少しドレスアップした「お出かけスタイル」を教えてください。

福田:ネイビーがトレンドでもあるので、潔くオールネイビーのワントーンコーディネートはおすすめです。その時はモヘアのふわふわやスカートのサラサラした質感、素材にコントラストをつけるとより華やかになります。

―― ネイビーワントーン、潔くて素敵です。

福田:今はあえて「お出かけ用」の服は買わない時代だと思うので、色のトーンや素材の合わせ方を工夫して「普段使いできるお出かけファッション」というイメージです。このニットもスカートも普段使いできるアイテムですが、襟元のファーやビジューネックレスなど、小物で遊んで「お出かけ感」を出しています。

―― 知的で上品なイメージですよね。

福田:実はネイビーは色合わせがしやすい色です。靴やバッグを選ぶ時に、黒でもいいし、ブラウンでもグレーでも、ボルドーもいい。ベースが違う色だと「この服着たら、合わせる小物がこれしかない!」っていうことがたくさんあるから(笑)。ベースのスタイルをフラットにしておくと小物で遊びやすいから、よりシンプルなものを選ぶと良いと思います。

オレンジリップで華やかなポイントを

―― 今年の流行を踏まえて、こちらのスタイルにはどんなメイクがおすすめですか?

佐藤:ワントーンコーディネートですし、お出かけの要素もあるので、口元にオレンジをもってきて、ネイルは逆にネイビーにするっていうのが可愛いと思います。ネイビーの中に1本だけ赤を入れてみるとか。服がシンプルな分、メイクで遊べるかなと。あとは、ちょっと華やかなシーンだから、口元に色を持ってくるのも、オフィススタイルよりは抵抗がないかなと思います。

福田:ともするとネイビーは地味だしね。そこに何かできゅっと色が入ると、より華やか。ワントーンだからこそできるよね。オレンジも良さそうだしピンクも良さそう。

―― トライしやすそうです!目元はどうですか?

佐藤:目元はヌーディでOK。口元に色があるだけで華やかな「変わった感」が出ますよ。

【使用アイテム】
リップ:ティント イン ジェラート AT01(シュウ ウエムラ)
ネイル:ヴェルニ 553 ブルーレベル(シャネル)、ネイルポリッシュR 3675 HELL-BENT(ナーズ)

POINT OF TREND

ファッションとメイクのバランスを取って

―― お話を伺っていて、ファッションとメイク、両方を考えて一緒に組み合わせていけたら、もっと楽しくなるだろうなって思いました。

佐藤:皆さんたいてい、どんなファッションでも同じメイクになると思うんですよ、自分自身もそうだし。今回はわかりやすく3通りで全部違う色にしているけれど、そのうちのリップはベージュしか持ってなかったら、赤を買ってみようとか、そういうことでいいと思うんです。ネイルだけを変えてみるとかね。ネイルも、ラメを1色買い足して爪の1つだけをラメにしてみるとか。メイクであまり遊べない環境のOLさんだったら、休日にそういうことをやってみる。

福田:いいですね。

佐藤:全部をいっぺんに変えるってなると、勇気がいると思うんですけど、どこか一箇所を変えたらそこからどんどん変わっていく気がするので。

福田:実は私もそうですが、いつも同じメイクという人は案外多い気がします。服は着替えても顔までは変えられないっていう人。自分の定番が決まっていて、そこははずせないな、と。でも佐藤さんが言っていたようにリップだけ、ネイルだけ、って思うと挑戦できそう。

―― 自分が持ってなかったようなものを買い足すだけでも変わりそうですよね。

福田:あらためて聞くと本当に参考になりますね! 普段の撮影の時は時間に追われていることが多いので、私は服、佐藤さんはヘアメイクに集中しているので「なんでこの服にこのリップを合わせたんですか?」って聞いていられない(笑)。だけど、やっぱりファッションとメイクって、こうやってバランスを取るべきなんですよね。

―― 非常に参考になりました!ありがとうございました。