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NEW YORK LOVE STORIESレビュー 写真家 鵜川真由子が描く“愛”。


Feb 4th, 2015

「NEW YORK LOVE STORIES」レビュー 写真家 鵜川真由子が描く“愛”。

PHOTO EXHIBITION

1月31日(土)よりニューヨーカー銀座店にて開催中の写真展「NEW YORK LOVE STORIES」。多種多様の文化が行き交う街・ニューヨークを舞台に、フォトグラファーの鵜川真由子さんが「ニューヨークに住む日本人の愛」を描いています。

ショップでは今回の写真展に合わせてディスプレイされた特別仕様のウィンドウが来場者を出迎え、店内に入ると壁面に展示された作品が目前に広がります。「愛にはたくさんのカタチがある」と語る鵜川さんの言葉通り、カップル、ファミリーのほかに、友人同士が写った写真が展示され、様々な種類の“愛”を鑑賞することができます。

ニューヨーカー銀座店といえば、イラストレーターユニット・STOMACHACHE.(ストマックエイク)が描いたイラストが象徴的。フォトフレームのようなイラストが壁一面に描かれており、そのフレームに合わせて鵜川さんの作品を展示するというユニークな演出も。メインとなる壁面以外にも、洋服と一緒に作品が並べられたりと、ショップと作品が巧みに融合したユニークな写真展となっています。

開催初日にはささやかなオープニングレセプションが行なわれ、たくさんの人が駆け付けました。ウェルカムドリンクを飲みながら、鵜川さんが描く「愛の世界」を堪能し、写真展の開催を祝しました。

INTERVIEW

今回の写真展を開催したフォトグラファーの鵜川真由子さんにインタビューを敢行! 写真展を行なうに至った経緯や、ニューヨークでのエピソードを伺いました。今回の写真展を通して感じたこととは? 鵜川さんの想いに迫ります。

PROFILE
鵜川 真由子(うかわ まゆこ)さん / フォトグラファー

株式会社松濤スタジオを退社後、アシスタントを経て独立。広告や雑誌などでポートレイトを中心に活動するかたわら作品制作を続けている。BS朝日「ニッポン絶景街道」に出演中。個展、グループ展など多数開催。2013年 TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD入賞。同年、十和田美術館グループ展に参加。また、Canon Galleryで開催した個展「Out of Garden」ではある家族の日常を独特な視点で捉え、柔らかい光と鮮やかな色彩で表現している。 http://www.m-ukawa.com


「ニューヨークに住む日本人の愛」。

――はじめに、ニューヨーカー銀座店で写真展を行なうことになった経緯を教えてください。

鵜川:昨年の9月に行なわれたニューヨーカー銀座店のオープニングパーティに招待いただいたとき、お店を見て素敵だなと思ったのがそもそものきっかけなんです。ニューヨークのホテルのような内装も見事だし、「ここで自分の写真を展示したいな」とそのときに想って。そこから実現に向けて色々準備をして、ようやく写真展を行なうことになりました。

――今回の写真展のテーマは、「ニューヨークに住む日本人の愛」。このテーマを選んだ理由はなんだったのでしょうか?

鵜川:私は、様々な国の人たちが移り住むニューヨークは、いろんな文化が行き交う刺激的な都市だと思うんです。そんな場所で暮らす日本人の生活に興味があり、今回は“愛”というテーマにクローズアップして記録しました。カップルやファミリーはもちろんのこと、友人同士の“愛”も描いています。

――モデルとなった人たちの中には、外国の方もいらっしゃいますよね。

鵜川:はい。例えばカップルだったら、彼氏が日本人で彼女がアメリカ人というパターンもあります。もちろんその逆もあるし、日本人同士のカップルもいます。

――世界各地いろんな都市がある中で、ニューヨークを選ばれたのは?

鵜川:実はニューヨークは私の憧れの街なんです(笑)。初めて海外旅行に行った場所で、そのときの思い出がずっと心の中に残っていて。もともと洋画や洋楽が好きで、自分が影響を受けた文化がここから発信されていると思うと、楽しくてしょうがなかった。歩いている人たちや、ビルが建ち並ぶ街の風景を見て、ニューヨークに流れる空気を肌で感じる。もうそれだけで幸せでしたね。今回の写真展でまたニューヨークと繋がることができて、本当に嬉しいです。

“愛”の表現方法。

――写真展に向けて、作業はどのように進んで行ったのでしょうか?

鵜川:モデルになってくれた人たちは、知人を通して紹介してもらったカップルやファミリーなんですけど、まずは日本からその人たちにコンタクトを取りました。それと、今回ニューヨークのいろんな街並を見て欲しいという気持ちもあったので、撮影場所のリサーチを徹底的にやりましたね。だから出ている人たちはもちろんのこと、「ニューヨークにはこんな風景もあるんだ」って新しい発見をしてくれたら嬉しいです。

――今回の撮影中に意識したことはありますか?

鵜川:これは普段から思っていることなんですけど、人を写す場合はテーマに沿って被写体となる人たちの自然な表情や仕草を私が引き出して撮りたいと思っているんです。今回撮影に協力してくれた方々には「パートナーに対する想いを目に見える形で表現して欲しい」と伝えていたんですけど、やっぱり作られた愛ではないから、とても上手に感情表現をしてくれて。彼らの表情が笑顔なのは楽しいからだし、見つめ合うのは相手を心から愛しているからで。そんな想いが伝わってきて、私の方がドキドキしちゃいました(笑)。

――撮影で印象に残ったことはありますか?

鵜川:銀座店のウィンドウにも飾っていただいている、タペストリー写真に写っているカップルを撮影していたときのことです。グランドセントラル駅っていう人の多い場所で、彼氏が日本人で彼女がコロンビア人のカップルを撮影したときなんですけど、さっき話した要望を伝えたら、見つめ合った後にキスをしてくれたんですね。それって、まさに私が撮りたいと思っていた“自然に生まれた瞬間”だったから、すごく嬉しかったなあ。男性は日本人だから少し恥ずかしがりながら、女性がリードしている感じもなんだか良かったです。

――やっぱり海外の方は感情表現が豊かなんですね。

鵜川:素直なんだと思いますよ。あるアメリカ人の男性なんかは、頭がクラクラしちゃうほど照れるようなことをサラッと彼女に言うんです。それが普通というか、普段からやっているから全然恥ずかしいことじゃないんですよね。普通に街を散策していても、道ばたであろうが、電車であろうが、そこらじゅうでカップルがキスをしていて(笑)。ローカルの人たちにとってはそれが当たり前の光景だから、なにも気に留めることなくスタスタとカップルの横を素通りするんですよ。

――日本人同士のカップルだと、国を離れているとはいえやっぱり恥ずかしがるんですか?

鵜川:照れてましたね。「知っている人に見られたらどうしよう」みたいな(笑)。そこはやっぱり変わらないから逆に安心しました。でも、なによりニューヨークにいる日本人はみんな楽しそうで、ほほ笑ましかったです。

とにかく幸せになって欲しい。

――いまは次の企画に向けての撮影も行っているんですよね。

鵜川:そうですね。今度は舞台を銀座に移して、海外から日本に来た人たちの“愛”を撮影しています。この写真は、2月28日(土)から「GINZA LOVE STORIES」と題して、今回と同じくニューヨーカー銀座店で展示します。

――舞台が変わったことで、モデルさんたちの行動に変化はあるのでしょうか?

鵜川:日本にきた外国人たちからは、日本の文化に適合しようという気持ちが伝わってきます。ニューヨークが解放的だったのに比べて、少し控えめというか。

――やっぱり恥ずかしいんですかね?

鵜川:恥ずかしいというよりも、慎んでいるんだと思いますよ。でも、ニューヨークで撮ったときと同じように「愛情表現をしてください」って伝えると、ちゃんとやってくれますけどね(笑)。心情は違えど、愛の表現は一緒なんです。

――銀座という街に対して感じることはありますか?

鵜川:やっぱり“オトナの街”ですよね。古き良き伝統をしっかりと残しつつ、現代的な要素も上手に受け入れている。敷居が高いということではなく、新旧の融合の仕方が洗練されているという意味で“オトナ”だと思います。そういった部分は、ある種ニューヨークと似ているところがあるかもしれません。ニューヨークも古い建物があるけど古臭さは全然感じないし、刺激的なカルチャーの発信源でもありますからね。

――では最後に、ふたつの写真展の共通点は“愛”ですが、これを通してお客さんに伝えたいことを教えてください。

鵜川:撮影を通して私が感じたことは、人のことを想うって素敵なことなんだということ。“愛”って目に見えないけどすごく大事なものだし、ポジティブなパワーを持つものだと思うんです。今回それを写真に収めることができたから、作品を見て“愛”というものの存在を認識して、大切な人のことを思い浮かべてくれたら嬉しいですね。優しい気持ちになって、その幸せを身近な人に伝えてくれれば言うことありません(笑)。難しいことは考えず、とにかく幸せな気持ちになって欲しいです。

ニューヨーカーマガジン主催の写真展「NEW YORK LOVE STORIES」は、2月14日(土)まで開催中。“愛”という優しい力に包まれ、幸せな気持ちにさせられる展覧会はそうありません。この機会を是非お見逃し無く!

鵜川真由子 写真展「NEW YORK LOVE STORIES」

会期:2015年1月31日(土) – 2015年2月14日(土)
会場:ニューヨーカー銀座フラッグシップショップ
東京都中央区銀座1-5-13 ゼットエックス銀座ビル1F/2F
アクセス:東京メトロ「銀座一丁目駅」徒歩2分、JR「有楽町駅」 徒歩5分、
Tel:03-6228-7001
時間:11:00 – 20:00(不定休)
入場無料
主催:ニューヨーカーマガジン
共催:株式会社ニューヨーカー

関連イベント

2月11日(水/祝) フォトグラファーによるご案内
2月28日(土)~3月14日(土) 鵜川真由子 写真展Vol.2 「GINZA LOVE STORIES」

写真展Vol.2開催。銀座を舞台にした大人のラブストーリー。

写真展「NEW YORK LOVE STORIES」を銀座店で開催


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