Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...
HOW TO
トレンチコートが生まれたのは第一次世界大戦下でのこと。イギリス軍が西部戦線での長い塹壕(=トレンチ)に耐えるために、悪天候用の防水コートをつくったのが起源。その原型となるアイテムは1900年頃に考案され、第一次大戦での普及が契機となり一般にも普及したという。ミリタリーをルーツとしたディテールではあるが、機能やデザインが共に優れ、1930年代から徐々に日本でも浸透していった。生地はコットンのギャバジンやウールを用いるのが主流だが、現在は合成繊維やレザーで仕立てたアイテムも存在する。
ITEM TIPS
1.Material
コットンを用いた高機能素材“ベンタイル”。
生地は“べンタイル”と呼ばれる高機能素材を使用。細番手の糸を高密度に織り上げることで、コットンでありながら、防水、撥水、通気、透湿性に優れる。トレンチコートと同様、イギリスで開発され、イギリス軍や極地探検隊、ヒマラヤ登山隊が着用するウェアにも使用された。
2. Decolletee
オーセンティックなスタイルを踏襲。
寒冷地で戦う兵士のためにつくられたトレンチコート。首元を留めることで防寒の意味を成す。近年にデザインされたコートは、デザイン性を重視して首元が締まらないものが多いなか、このアイテムはトラディショナルなスタイルに重点を置き、オーセンティックな仕様にしている。
3. Gun flap
トレンチコートとしての存在感を主張するガンフラップ。
トレンチコートに見られる代表的なディテールのひとつがガンフラップ。ライフルの銃床を支え、銃を撃ったときの衝撃を吸収する目的で付与された。肩にはエポレットがあしらわれるのが伝統的だが、最近ではバッグなどをかけるのに邪魔になるため排除していることが多い。
4. Storm shield
機能的に設計されたストームシールド。
肩から背中にかけて生地が2重になっている部分はストームシールドと呼ばれる。雨が降った際、雨水がコート内に侵入することのないよう、水滴が落ちるように設計されている。別名、アンブレラヨークと呼ばれることも。
5. Inverted pleats
動きやすさを実現するために与えられたディテール。
後身頃の下部にあしらわれている内側に向いヒダ山は、インバーテッドプリーツと呼ばれ、着丈の長さが邪魔にならないよう足を動かしやすくするために採用された。イギリス軍の兵士が戦場で馬に乗るときなどに、このディテールが活躍した。
6. Waist velt
腹部を引き締め、防寒性を向上させる。
ウエストにあるベルトは、締めることで防寒性を高め、腹部の暖かさをキープする役目がある。またベルトにD字の金具がついているアイテムもあるが、それは戦争下において手榴弾をつり下げるためのディテールの名残である。
7. Lining
それぞれのオリジナリティが表れるラインニング。
トレンチコートのライニングにはチェック柄の生地を用いることが多かった。そこで各々のブランドが個性を示していたのである。このアイテムでは、<NEWYORKER>のハウスタータンを用いた取り外し可能のキルティングライナーを付属。
フィッシングジャケット Vol.01
ダッフルコート Vol.02