HISTORY OF

第2回「ブレザーについて」


Oct 12th, 2012

Text_NEWYORKER MAGAZINE

トラッドの歴史にせまる「HISTORY OF」。今回はその「トラッド」の代名詞ともいえる定番アイテム「ブレザー」についてです。


「BLAZER」1970 NEW YORKER INC.

Everybody Blazer
だれもが……彼も彼女も、そして学生から老紳士まで……みなブレザーを着る。
ヨーロッパもアメリカも日本も、世界中がブレザーの持つ魅力とフィーリングに心を奪われた。
70年代はブレザーの時代だ。

Everyplace Blazer
結婚披露宴の会場にも、オフィスにも、ハイウェイのレストランにも、学園の中にも、街でも山でも海でも、ブレザー……。
ペアで家族で、ブレザーコーディネーションのハイセンスな楽しみも。

最初に登場したのは、スポーツウエアとして。

1800年代、ストライプのジャケットにフランネルのパンツを合わせて、紳士たちがテニスやクリケットを楽しむ時代がありました。今では考えられないほど動きにくそうなスタイルですが、とても上品な装いでスポーツを楽しんでいた時代でもありました。そのストライプジャケットが、のちのブレザーにつながったと言われています。つまり、もともと男性が、特定の場所で特定の目的のために着るアイテムだったのです。 それがその普遍的魅力によって、実に多くの人に、多くの場所で着られるアイテムに変貌しました。

日本人とブレザー

やはり大きな出来事としては、1964年の東京オリンピックは外せません。「開会式での日本選手団の赤いブレザー姿」といえば、多くの方が思い浮かぶのではないでしょうか。自国開催の誇りと高度成長期のあふれる自信や希望が、選手たちの姿にやどっていたようにも思います。 ニューヨーカーとあの赤いブレザーも、ちょっとした関係があります。 開催と同じ年1964年1月に株式会社ニューヨーカーが設立されたという時期の重なりだけでなく、赤い生地を納めたのが、ニューヨーカーの母体でもある大同毛織(当時)だったのです。

60年代、若者の間でアイビーリーグルックが流行し、70年代にはハマトラ・ニュートラという女子学生の間でのブームも相まって、ブレザーは男女に幅広く受け入れられるアイテムとなります。 当時この流行ど真ん中にいた方は、今や60~70歳代。昔の写真に、ブレザーを着こなしている姿が見られるかもしれません。 その頃には「ブレザーのニューヨーカー」と言われることがあるほど、品質の良さからニューヨーカーのブレザーは多くの方に受け入れられていきます。「The Blazer」というネームがついた、ブレザーだけのラインもありました。

NEWYORKER 1993 Spring&Summer

時はくだり、日本でブレザーが最もブームとなったのが、1990年ごろ。いわゆる「トレンディドラマ」で、人気女優がダブルブレストのブレザーを着用したことから、「紺ブレ」ブームが始まったとも言われています。1991年には「紺ブレ」が流行語大賞になるほど。 アパレルショップではブレザーが売り切れ、普通のジャケットのボタンを金ボタンに変え並べればその場で売れてしまい、ボタン屋では金ボタンの生産が追いつかなかったほどでした。 ニューヨーカーでも、ラックに並べると同時に売れてしまい、夜には1着もないということもあり、メンズ・ウィメンズともにブレザーが主力という時代がありました。

その後も、大きな流行はなくとも、ジャケットの定番スタイルの1つとしてブレザーは変わらず受け入れられてきました。 特にこの数年では、トラッドスタイルへの再注目もあり、ちょっとしたトレンドとしてもピックアップされてきています。若い女性が普段着として取り入れ、ショートパンツなどと合わせる姿も見られます。ビジネスマンの勝負服としても、もちろんオジサマたちのゴルフ場へ行くスタイルとしても定番。 そう、今でもスポーツとは切り離せないアイテムでもあります。ロンドンオリンピックの開会式でも、多くの国がブレザーを着ていましたし、ゴルフ選手はグリーンのブレザーを着る日を夢見て試合に挑んでいます。

年齢も性別も区別なく、あらゆるオケージョンで着てほしい。 設立当初から、ニューヨーカーではこの想いを変わらず持って常にブレザーを世に送り出してきました。 「Everybody Blazer Everyplace Blazer」のニューヨーカーの想いは、40年以上経った今も色あせることなく続いています。


第3回「オックスフォードシャツ」

第1回「トラッド」とは?


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