Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...
HISTORY OF
トラッドの歴史を紐解く本企画。第3回はニューヨーカーのアイデンティティを象徴するアイテムでもある「オックスフォードシャツ」です。時代を越えて愛され続ける理由とは?
1980年代 オックスフォードシャツに付いていたタグ
ブランドのアイデンティティを象徴するアイテム。
長く続いてきたブランドは必ずと言っていいほど、特定のアイテムやカラー、素材(加工)など、他にはない独自性のある特徴を持っています。それがあるからこそ、人々に愛され、長く続いているとも言えます。ニューヨーカーのアイデンティティを象徴するアイテムとして思い浮かぶのは何でしょうか。
1981年 ニューヨーカーカタログより抜粋
スーツ?
その名も「大同毛織」という毛織物を取り扱う会社から、ビジネスマンのためのブランドとして誕生した身としては、ウール生地にこだわったスーツは外せません。
ブレザー?
アイビーリーグルックから大きな影響を受けて誕生したトラディショナルブランドとしては、絶対に外せません。
実はこの二つに関わるあるアイテムも、ニューヨーカーのアイデンティティを語れる重要な存在です。
それがボタンダウンのオックスフォードシャツ。基本的には、スーツにはボタンダウンシャツをおすすめしていませんが、昔はⅠ型と呼ばれた3つボタン段返りのスーツならOKという例外があるほど。そしてもちろん、ブレザーにボタンダウンシャツはお約束!
1982年 ニューヨーカーの広告イメージ
NYオックスの誕生
ニューヨーカー創成期からボタンダウンのオックスフォードシャツはありましたが、「NYオックス」として、糸からオリジナル素材を使用した生粋のオリジナル生地を用いた、今も続く定番商品が登場したのは1981年。当時のカタログを見ても、ほとんど現在のNYオックスと変わりません。
流行が移り変わるファッションにおいて、30年前と変わらない。ちょっとマイナスのイメージも持ってしまいそうな話ですが、30年前にすでに確立された良いものができていたからこそ変える必要がなかったという面も。そして、いつでもどこかに新鮮さを感じられる「定番」として、今も受け入れいられているのです。
1981年 ニューヨーカーカタログより抜粋
1981年 ニューヨーカーカタログより抜粋
1986年 ニューヨーカーパンフレットより抜粋
着込むほどに味わいの出るオックスフォードシャツ。
ちょっと厚みのある生地は丈夫で持ちも良く、味を出せるほどに着込め、ビジネススタイルにもカジュアルスタイルにも、自由自在の着こなしが楽しめる万能シャツ。ニューヨーカーを象徴するアイテムを縁の下で支えてきた、大事な存在です。
第1回「トラッド」とは?
第2回「ブレザーについて」