Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
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CORNERS
もう日本でもすっかり知名度があがったブルックリン、いくつものエリア名を挙げられる人も増えているのではないだろうか。たとえばウイリアムズバーグやダンボなど、既に有名どころになったエリアはたくさんある。それでも「ロリマー」と言われてすぐにその位置がわかる人はまだまだ少ない。
ウイリアムズバーグのメインストリートから東にくだったところ、駅でいうとLトレインのBedford Ave(ベッドフォード・アベニュー)駅の次のMetropolitan/Lorimer St(メトロポリタン/ロリマー・ストリート) 駅の辺り。賑やかなウイリアムズバーグの中心地を背にして東に歩くと住宅地が見え始めるのだが、その辺りにLorimer Street(ロリマー・ストリート)という道が一本通っていて、ここ2、3年ほどで新しいお店ができはじめている。ローカルに住む人たちが中心に集うこの界隈は「ロリマー」というひとつのエリアとして認識されつつある。
落ち着いた雰囲気の駅前。壁に描かれたストリートアートがブルックリンらしい。
特徴的なのは、新しいコンセプトの食にまつわるお店が多いという点。たとえば、地産地消をテーマにニューヨーク近郊で採れる食材を中心に使い、朝は和食、夜はラーメンが振る舞われる「Okonomi(オコノミ)」。ここは15席ほどしかないミニマルな空間で、丁寧な接客と素材を活かした味付けというのがニューヨークでは新鮮で話題になっている。
内装もモダンかつシンプル。“ニューヨークならではの和食”という発想が面白い。
その横には、昼間からビールやワインを飲みつつパソコンを広げる人々をよく目にするカフェ/バー「Blind Barber(ブラインド・バーバー)」。ここはその名の通り、横にバーバーが併設されている。そして数ブロック先には青いドアが目印のチーズとローカル食材の専門店「Campbell Cheese & Grocery(キャンペル・チーズ&グローサリー)」もある。
リラックスした空気が流れるブラインド・バーバーのカフェは、近所の住人たちで賑わう。
その向かいには、サードウェーブコーヒーがここまで定着する前からこだわりのコーヒーを出す店として人気があった「Gimme coffee(ギミーコーヒー)」があったり、人気若手女性フォトグラファーのペトラ・コリンズもお気に入りだというラーメンや寿司を出す「Suzume(スズメ)」という和食があったりと、1本のストリートの周りに、今のブルックリンのシーンを感じさせるヘルシーでスタイルのある食カルチャーがグッと詰まっている。
チーズを中心に、パッケージも可愛いローカル食材やオーガニックの野菜、フルーツなどが揃う。
もともと閑静な住宅街だったところに少しずつ溶け込むようにお店ができ、近くに住む人々の生活を豊かにする。今の急激に進むブルックリンの開発の中にいると、ここロリマーの街の作られ方はゆったりしていて、なんだかちょうどいい塩梅なのである。
LORIMER STREET
Navigator
Momoko Ikeda
日本での雑誌編集者を経て、2007年に渡米。FIT(NY州立ファッション工科大学)に留学し、現在は「POPEYE」や「ブルータス」といったファッションを中心とした雑誌への取材執筆と撮影を担当している。
HESTER STREET
VARET STREET