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CORNERS
ブルックリンとマンハッタンをつなぐ一番ポピュラーな橋、ウィリアムズバーク・ブリッジのたもとに、エセックス・ストリートがある。ロウワー・イースト・サイドのなかでも、カリビアン(カリブ系)住民率が高かったこのストリートの周辺も、昨今のヒップな若者たちによるブルックリンからマンハッタンへの回帰によって、最近とみに様子を変えてきている。
そんなエセックス・ストリートとへスター・ストリートが交差する角地にある空き地で、毎週土曜日にこじんまりと開催されているのが「Hester Street Fair(へスター・ストリート・フェア)」。毎年5月から10月末まで開催されるアウトドアのマーケットだ。
ダウンタウンアーティストのGeorgia とLAを拠点に活躍するSun Arawによるパフォーマンス。
ジャマイカン・プレートやハイエンドの和食レストランENによる「ジャパニーズ唐揚げ」など、独創的なフード・ベンダーが多いのも特徴。
ベンダーを抜けると芝生エリアがあり、子供にもフレンドリーなチルアウトスペースになっている。
ニューヨークのストリート・フェアといえば、ブルックリンで開催されている「Brooklyn Flea」や、食べ物のベンダーが集結する「Smorgasburg」などが大規模なフェアとして知られているが、こちら「Hester Street Fair」は小規模なだけに、ダウンタウンの地元色が強い。近隣の住民を中心にした実験的なフード・ベンダーや、Sun Araw、Georgia、Image Man、MSHR、Blazer Sound Systemなどといった、チャイナタウンやロウワー・イースト・サイドから登場した注目のミュージシャンのライブを屋外で楽しめる場所にもなっている。
さらにファッションウィーク中には、資生堂のイベント会場になったり、新進気鋭のファッションレーベル「Eckhaus Latta」がコレクションを発表するなど、新たなカルチャーが発信されるプラットフォームとしてのポテンシャルを見せている。
家族連れも多いけれど、ヒップな若者も多いのは、地元感が強いフェアだから?
これまでなかったこの新しいタイプのストリート・フェアは、今年10月には「Casual Art Fair」を開催し、ニューヨークで異彩を放つ若いアーティストやギャラリーといったベンダーを集め話題を作った。今シーズンはそこで終わったかと思わせておきながら、気がついたら「New Museum」のカフェにも出店、12月にはアート・バーゼル開催期間中のマイアミにもストリート・フェアを持ち込むことになっている。
ストリート・フェア以上の存在感を増すヘスター・ストリートのクルー。文化シーンの台風の目としての勢いは今後も止まらなそうだ。
HESTER STREET
Navigator
工藤キキ
ライター&アーティスト。日本の雑誌への執筆の傍ら、フードアートプロジェクト<CHISONYC>としても活動している。2011年からNY在住。
Photo By Dan McMahon
South 3rd Street
LORIMER STREET