Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...
CORNERS
ブルックリンでの地味な生活があまりにも長いと、同地区の高級化の流れに焦ってしまう。新しいコンドミニアム建設予定地の看板を見るたびに、「ああ、ここにもキレイなビルが建って、もう変な格好でこの辺を歩けない」と、自分の居場所が失われつつあるように感じて、街の活性化を素直に喜べない。
特にウィリアムズバーグの南側South 3rd Street(サウスサード・ストリート)には、高層のマンションが建ち並び始め、マンハッタンから続々とヤッピーのみならず、セレブまでもが移ってきている。セレブがここで遊ぶなら、庶民の私はどこへ行けばいいのかとブツブツ言いながらも、オープンして嬉しいスポットも、もちろんある。
バーやカフェコーナーに加えて、卓球台があるアウトサイドスペースもあり、マルチにハングアウトできるのが、<Freehold(フリーホールド)>。「客室のないホテルのロビー」がコンセプトで、こういう多目的スペースは、ここ最近のトレンドだ。ピンポンパンポン、友達が卓球をプレイしているのを横目に、ビールを飲む気楽な感じがいい。男友達の卓球の腕が意外に良いのを知ると、カッコよく見えたりする。
2016年の10月にオープンしたばかりの<Butler(バトラー)>は、焼きたてのパンが食べられるイート・イン(その場で食べられる)ベーカリー。食後に、ペイストリーシェフで共同オーナーのライアン・バトラーがおずおずと「サンドイッチはおいしかった?」と聞いてくれた。この気さくな雰囲気が良い。
数ブロック先の<Maison Premiere (メゾン・プレミア)>こそ、マンハッタンからセレブリティを呼ぶきっかけになったと言っても過言ではない。オイスターがウリのカクテルバーだ。
個人的に一番好きで、ここだけは開発によって変わって欲しくないと思っている場所がある。それが<Grand Ferry Park(グランドフェリーパーク)>。公園というより、木々が生えた小さいスペースで、手入れは行き届いていないけど、ここから臨めるマンハッタンの景色といったら!時には本気でニューヨークという街に感謝して、拝んでしまうほど美しい。高級コンドに住めなくても、この絶景が拝めるのなら、地味なライフスタイルでも全然苦にならない。
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Azumi Hasegawa
ニューヨーク在住のライター。メンズ誌、カルチャー誌を中心に執筆する傍ら、ホラー映画の『PAN』の製作を手がける。訳書に『The One Hundred』(It Books/2010年)がある。2004年からアメリカに在住。www.azumihasegawa.com
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