Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...
CORNERS
大きな橋や線路が交差するダイナミックな風景が印象的なロング・アイランド・シティだけど、マンハッタンやブルックリンに比べると、のどかでゆっくりしている。目抜き通りのヴァーノン・ブールバードは、ちょっと昔のニューヨークやフィラデルフィアの街角のような、どこか懐かしい雰囲気。オシャレだけど入りにくくない、美味しいけど高くないお店が並び、心地よい生活感が漂う。
1日中人で賑わう<Cafe Henri(カフェ・アンリ)>。
<Mu Ramen(む ラーメン)>のシンプルな外観。気になる「む」の字に呼び込まれてしまう。
たとえば、50thストリートとの交差点付近にある<Cafe Henri(カフェ・アンリ)>と<Tournesol(トゥールヌソル)>は気軽に入れるフレンチ・ビストロ。どちらも週末は1日中若いカップルや家族連れ、年配の方で賑やか。その少し先には、10年程前にこの地区にジャパン・タウンを設けようという話が出たこともあってか、日本食の<Hibino(日比野)>や<Mu Ramen(む ラーメン)>に続き、去年の4月に日本食カフェ・レストランの<Takumen(タクメン)>もオープンした。抹茶ショットにトライする地元の若者達にも人気だけど、店内の木のぬくもりや壁に飾られたアートにはほっとする。近くのブルワリー<Rockaway Brewing Co.(ロッカウェイ・ブルーイング・カンパニー)>のドラフトビールには舌鼓を打ってしまう。
木のぬくもりが落ち着く<Takumen(タクメン)>のインテリア。
日本の商品や楽しいグッズも販売されている。
通りを1本東に入った11thストリートには、今や4店舗に増えた<Sweet Leaf(スイート・リーフ)>の最初の店舗があって、ゆっくりとした時間が過ごせる。エスプレッソへのこだわりが強く、パリのアンティーク家具が揃う店内はすぐに肌になじむ心地良さ。小さな部屋が続いたような不思議な間取りのおかげで、老若男女が、そこここの隅っこで自分の場所を満足げに確保している。
流れに身を任せて、ここのエリアに4つもあるロング・アイランド・シティのブルワリーにふらりと立ち寄るのも良い。なかでも1番南の地域にある、プラスキー橋のたもとに隠れている<Transmitter Brewing(トランズミッター・ブルーイング)>では、週末、醸造所直営の小さなティスティング・ルームを開けている。近辺のアップスケールなレストランで出されているビールを、気さくなオーナー達に話を聞きながらお得な価格で飲めてしまう、秘密にしたい場所だ。
プラスキー橋たもとの工場群奥にある<Transmitter Brewing(トランズミッター・ブルーイング)>。この場所だからこそウェルカムな佇まいにウキウキする。
常に様々なスタイルが揃うブルワリー。
適度な人口密度と空の広さ。アートスポットやコメディクラブも充実しているこのエリアは、自分のペースを見失いがちなニューヨーカーの息抜きとしてのポテンシャルが高い。決してめちゃくちゃオシャレというわけではないけれど、この地域の住民たちは自らこのテンポを選んでエンジョイしているのだ。
Vernon Boulevard
Illustrator,Writer
リース恵美
京都で生まれ育ち、2008年より主にブルックリンを拠点に活動している。著書に「ビール語辞典」(誠文堂新光社)がある。
www.emmyreis.com
CANAL STREET / LUDLOW STREET
East 4th Street