今やいたるところで美味しいコーヒーが飲めるニューヨーク。しかもおしゃれでかっこいい。集う人やお店の空気感が心地良くて、つい立ち寄りたくなるコーヒーショップがいくつもあります。そんな現在進行形で変化していくニューヨークのコーヒーカルチャーをまとめたZINE『NEW YORK COFFEE SHOP JOURNAL』が先日、刊行されました。
ニューヨークのコーヒーショップを巡るブログ「New York Hobo Coffee Life」を編集した同誌。編集長は書店SNOW SHOVELING の店主、中村秀一さんです。
“日本にも美味しいコーヒーが飲めるお店はあるけれど、ニューヨークのコーヒーショップにあるのは美味しいコーヒーだけじゃない。そこにあるのはライフスタイル。” と冒頭にあるように、まさにこの本にはニューヨークの文化が集約されています。ぜひコーヒーを飲みながらじっくりご堪能いただきたい1冊です。
そして先日、この『NEW YORK COFFEE SHOP JOURNAL』刊行と、12月から上映される映画『A Film About Coffee』の特別企画として、「ニューヨーク~東京のコーヒーカルチャー」をテーマにしたトークイベントが、下北沢の本屋B&Bで開かれました。
お話しをされたのは中村さん(左)と、東京のコーヒーカルチャーを先導する、PADDLERS COFFEE 松島大介さん(中)に、ONIBUS COFFEE 坂尾篤史さん(右)。
ニューヨークのコーヒーショップについて中村さんは、「年々家賃が高騰することが決まっているので、店が移動することも多い。狭いスペースをどう使うかという環境下にあり、インディペンデントで自由な店が多い」と話します。本屋やレコード店、アンティークショップなどと併設したコーヒーショップ(しかも美味しい!)があるのは、アーティストが多いニューヨークの特徴だと言えそうです。
9.11以降、アメリカでは人々の価値観の変化が起こり、食に対する意識、消費に対する考えに影響を与えました。これらの背景もあって、味がいいだけではなく“そのお店が好きでお客さんが来る”というような独特のコーヒーカルチャーがニューヨークで育まれてきたのではないでしょうか。
そして坂尾さんいわく「東京のコーヒーカルチャーは、現在の消費の流行のひとつである」と。“流行”にはミーハー的な意味も含みますが、それだけでなく、東京の人たちもまた食への関心が高まっていることに関係しています。
そのきっかけにもなったのが3.11の震災。それはさまざまな分野で変換点になり「コーヒーについても、その豆はどこで生産されてどんな流通経路で来たのか、と考えるようになったため、それがスペシャリティコーヒー・ブームに繋がっているのでは」と解説されました。
場所は変わってポートランド。もともとスペシャリティコーヒーを出すのがあたりまえの同地では、缶コーヒーがなく、喉が乾いたらカフェに立ち寄るのが日常。日本でいうところの「飲みにいこうよ(お酒を)」が、「朝食を食べて行こうよ」になるそうです。
朝早く、美味しいコーヒーを飲むというライフスタイルは、ポジティブな1日が始まるいい習慣だと、自店でもポートランドのコーヒー豆を扱う松島さんが話されていました。
ところでこの御三方、コーヒーではなく、ビールを片手にお話しされていましたが、ビールなどアルコール類を自然に出すのもニューヨークやポートランドのコーヒーショップではよく見かける光景なんだとか。コーヒーショップという場所を起点に、人々はつながりを大事にしているようです。
さて、今回のトークテーマでもあった「ニューヨーク~東京のコーヒーカルチャー」ですが、まもなく公開される映画『A Film about coffee』の中でも、昨今のコーヒーのブームの実態、世界を席巻するコーヒーカルチャーの“今”が描かれています。日本の“スペシャリティコーヒー”が“普通のコーヒー”になるのは、遠い未来ではない、そう感じられる作品です。こちらもぜひどうぞ。
- NEW YORK COFFEE SHOP JOURNAL
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販売価格:1,080円(税込)
ソフトカバー/W148XH210/36P/日本語
販売店舗:SNOW SHOVELING ほか、代官山蔦屋書店など。詳しくはSNOW SHOVELINGへお問合せください。
お問合せ:info@shoveling.jp
出版:SNOW SHOVELING
© 2015 ALL RIGHT RESERVED SNOW SHOVELING / YUKO MATONO.
- 映画『A Film About Coffee』
- 公式サイト http://www.afilmaboutcoffee.jp/
- 2015年12月12日より新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督:ブランドン・ローパー
出演: ダリン・ダニエル(スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ)、マイケル・フィリップス(ハンサム・コーヒー・ロースターズ)、ジェームス・フリーマン(ブルーボトルコーヒー)、ケイティ・カージュロ(カウンター・カルチャー・コーヒー)、アイリーン・ハッシ・リナルディ(リチュアル・コーヒー・ロースターズ )、大坊勝次(大坊珈琲店)、田中勝幸(ベアポンド・エスプレッソ)ほか (2014 年 / アメリカ / 66 分 / 16:9 / DCP)
提供:シンカ/メジロフィルムズ / 配給・宣伝:メジロフィルムズ
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