Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...
HOW TO
リネンはコットンと比較して丈夫で通気性が高いため、現代では夏物の衣料によく採用されている。その歴史は深く、紀元前より生地として利用され、主に古代エジプトやヨーロッパで服地や日用品に使われていた。ウォーターリネンとは、水を含んだ状態の強撚糸で織られた生地のこと。リネン繊維は水を含むと繊維の強度が増すので、撚りの回数をより多くかけることができる。これによって生地の通気性が向上し、シャリ感のあるドライな質感を楽しめる。ドレープも美しくでることから、夏物のジャケットに最適の生地といえる。
ITEM TIPS
1. Material
ウールを混ぜることで機能性がアップ。
ウォーターリネンの特性に関しては前述の通り。<NEWYORKER>で採用されている生地はヨーロッパの良質なリネン糸を採用し、糸を撚る際の水は鈴鹿山麓の湧き水を使用。また生地にウールを混ぜることで、ラグジュアリーな表情をプラスすると同時にシワの回復性もアップしている。
2. Unconstructed tailoring
芯地を省いてストレスを軽減。
通常、スーツは芯地を用いてジャケットの耐久性を高めているが、あえて芯地の使用を最低限に抑え、軽快な羽織り心地を実現させる技法をアンコン仕立てと呼ぶ。このアイテムは肩パットがなく、日本人特有の肩の形に合わせてパターンを引くことで、動きやすくなるように設計されている。
3. Lapel
さまざまな人に似合うラペルのピッチ設定。
ラペルはジャケットの顔とも言える重要な部分。ラペル幅が広いほどクラシックで、細ければモダンな印象になり、体型が小柄で童顔なら前者、その逆であれば後者の特徴をもつジャケットが似合う。写真のようにラペル幅を広すぎず狭すぎない絶妙なピッチに設定されていれば、さまざまな人が楽しめる。
4. Front button
ジャケットの特性に合わせたボタン選び。
ジャケットのフロントボタンは少ないとフォーマルで、多いとカジュアルな印象になる。2つボタンのタイプはその中間となり、幅広いシーンで活躍する。ボタン自体のクオリティーは水牛を使用したものが上質とされるが、生地に合わせて選ばれたこの樹脂ボタンは、デザイン性が高くスポーティーな印象だ。
5. Unlined
暑い季節の着心地を考慮したパターン。
背抜きとは、後ろ身頃の裏地の範囲を減らすことで通気性を向上させ、ジャケット自体を軽量化したパターンのこと。その特徴から春夏もののアイテムによく見られるが、ベストを着用することで保温性をカバーできることから、秋冬の素材にも背抜きパターンのジャケットが見られるようになっている。
6. Center vent
後ろ姿を印象づける大事なディテール。
フロントの表情がラペルで決まるならば、バックスタイルの表情はベントで決まる。センターベントは最もオーソドックスなスタイルで、もともとは兵士が馬に乗る際に裾が邪魔にならないように付与されたディテール。細身でスッキリしたジャケットに用いられることが多く、軽快でスポーティーな印象になる。
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