FROM TOKYO

東京の名店ガイド Vol.6


Aug 6th, 2014

photo & text_newyorker magazine

ヴィンテージワインだけが持つ、芳醇な香りを知っていますか? 今回も前回に引き続き「ヴィンテージ」という切り口で東京は八丁堀の名店「MARU」をご紹介。実はここ、ワインの種類やリーズナブルな価格がウリなのかとおもいきや、料理のクオリティも絶品なんです。

#02 MARU

ヴィンテージな一杯に出会えます。

ワインも料理も空間も極上な美食酒場。

ワイン通も、予備軍も、とにかく美味しい料理が大好きな大人が日々集うのがここ「MARU」。1Fから3Fまで、それぞれの個性がひしめく3フロアで構成されている、ちょっと変わったお店です。まず1Fの入り口は酒屋の「宮田屋」。その奥に「STANDBAR MARU」が現れます。1F脇の階段を昇り、赤い扉を入ると広がるのが、中央に本格炭場のある「MARU 2F」。壁面にズラリと並んだワインに思わず圧倒されます。更に3Fまで歩を進めると現れるのが「MARU 3F」。1F、2Fと違った趣の空間では、フレンチ出身のシェフがつくる本格ビストロ料理とお酒が楽しめます。

2Fと3Fでは、何万とあるワインの山から、頼んだお料理、好みや気分に合わせて、名物ソムリエがおすすめの1杯を選んでくれるので、新しいワインとの出会いに探究心がくすぐられます。

それでは各フロアのお店と、おすすめのヴィンテージワインに珠玉のフードメニューをご紹介します。

STANDBAR MARU(1F)

本格料理と最高の一杯が飲めるスタンドバー。

酒屋直結、ワンコインでお腹いっぱい美味しい料理とお酒が楽しめるのが1Fの「STANDBAR MARU」。一本木の長いカウンターだけかと思いきや、奥に進むと目に飛び込んでくる、円卓の中央にある備前焼の大きな壺! これは室町時代につくられた大変貴重なもの。
その昔、酒屋の一角を開放し、お酒も料理も大好きな先代が酒の肴をお客さんにふるまった歴史があるそうで、そのおもてなし精神が今でもしっかりと受け継がれています。

コンセプトは「旨い料理を提供し、気軽にお酒を楽しめる店」。シェフたちは毎朝新鮮な食材を求め市場に足を運んでメニューを決めるので、お酒に合う料理を日替わりで楽しめます。350円(+税)〜

MARU (2F)

所狭しと並んだワイン、ワイン、ワイン。

今年オープン10周年を迎える「MARU 2F」は本場スペインバルの雰囲気が楽しめて、いつもワイワイと賑やかなお店です。ここに入ってまず驚くのが壁一面に所狭しと並んだワインたち。1Fの酒屋さんとの良い関係が生み出す、厚い品揃えとリーズナブルな価格帯が魅力です。

そして囲炉裏のように備長炭を使った炭火焼きを目の前で楽しみながら食事ができる丸型カウンター。そこに鎮座する数種類の骨付き原木から切り出す生ハムとワインを飲めば、きっとあなたも思わず『¡Qué rico!』(ケリコ…スペイン語で「なんておいしいんだ!」という意味)と叫んでしまうでしょう。カウンター席の他にテーブル席も多くあり、少人数で訪れても気兼ねなく楽しめます。

RECOMMEND MENU

おすすめメニュー

Recommend vintage champagne
MARU 2F おすすめのヴィンテージ・シャンパーニュ

(左から)
① 2004 LA GANDE ANNEE BOLLINGER
ラ・グランダネはブドウの当たり年にのみ造られるシャンパーニュ。数ある中でも、しっかりとしたコクを楽しむことができ、リッチな味わいが好みな方におすすめ。12,000円(+税)

② 2006 LOUIS ROEDERER CRISTAL CHAMPAGNE
まずは王道のシャンパーニュ。エレガントな口当たりで余韻も長く、特に美味しい2006年をこの価格で飲めることは本当に奇跡!22,800円(+税)

③ 2008 SECONDE-SIMON
生産量の7〜8割がフランスのシャンパン愛好家に渡ってしまうためとにかく入手困難な特級の一本。無農薬の農場で丁寧につくられた果実のみを使用し、ふくよかな香りが楽しめます。15,800円(+税)

MARU 2F Recommend food
アスパラガスのグリエールチーズソース

グリーンアスパラの上にオランダ産のクリームチーズを載せ、オーブンでしっかりと焼いた看板メニュー。こう書くととてもシンプルな料理なのですが、赤ワインOK、白ワインOK、スパークリングワイン、シャンパーニュにも相性抜群。口に広がる幾重にも重なる豊かな香りがリピーターを大量生産している理由なんだとか。
950円(+税)

MARU 3F

本格ビストロ料理とヴィンテージワインで舌鼓

最後はいよいよMARU城の天守閣ともいえる「MARU 3F」です。メキシコの民家を模したアーチ型の天井と漆喰の壁など、落ち着いた空間で味わうのは、妥協なしの材料でつくられる本格ビストロ料理。「わざわざ3Fまで階段を上がってきていただくのにふさわしい店にしたい」という想いのもと2006年にオープンし、1F、2Fに負けず劣らずの人気店に急成長。高級店をしのぐ味わいにも関わらず、カジュアルな値段設定は、MARUの遺伝子をしっかりと継いでいます。

もちろんワインをはじめとした、幅広く奥深いドリンクメニューはここでも健在。お料理に合わせてソムリエに相談するもよし、特別な日にはヴィンテージワインのボトルを入れ、お互いが過ごした時間をテーマに語り合う、そんな楽しみ方も大人の嗜みなのではないでしょうか。

RECOMMEND MENU

おすすめメニュー

Recommend vintage wine
MARU 3F おすすめのヴィンテージ・ワイン

(左から)
① 1993 CHATEAU LAGRANGE
とにかくバランスが良く、チャーミングな味わい。MARUにある、数あるヴィンテージワインの中でも多くの人に愛されることで有名。12,800円(+税)

② 1996 BONNE MARES GRAND CRU
繊細な香りでやさしい味わいを楽しめる一本。ソムリエ笹島さん曰く「まるでお花畑にいるかのような気持ちになれる」。25,000円(+税)

③ 2005 CHATEAU MOUTON ROTHSCHILD
コルクを外した瞬間、その場にいる全員に伝わるくらい圧倒的な香りが広がる、2005年を代表するワインです。79,800円(+税)

④ 1996 CHATEAU LAFITE ROTHSCHILD
ボルドー五大シャトー(醸造所)の筆頭が創りだした極上もの。力強さとしなやかさを併せ持つ、イチローのようなワインです。155,000円(+税)

MARU 3F Recommend food
信州リンゴ牛のローストビーフ

長野は志賀高原の牧場で、地元産のリンゴやオカラなどでつくられた、スペシャル発酵飼料を食べてスクスク育った「信州リンゴ牛」。長野県外での流通がほぼされていないのですが、シェフが何度も足を運び、想いを伝え、ようやく仕入れることに成功したんだとか。その貴重な素材を使ってつくられたこのメニュー、噛むと口いっぱいに広がる芳香な甘さと、柔らかい肉質……。絶品としか言いようがありません。
1,250円(+税)

STANDBAR MARU

住所:東京都中央区八丁堀3-22-10
電話:ナシ
営業時間:月〜金 17:00〜23:00

MARU 2F
住所:東京都中央区八丁堀3-22-10 2F
電話:03-3552-4477
営業時間:月〜金 17:00〜23:00、第1、3土曜日 16:00〜23:00

MARU 3F
住所:東京都中央区八丁堀3-22-10 3F
電話:03-3552-4400
営業時間:月〜金 17:00〜23:00、第2、4、5土曜日 16:00〜23:00


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