Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
\nサマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...
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\n\n\n\nUNSUNG NEW YORKERS
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\nI can do what I do because of New York.
\nこういうことができるのは、ニューヨークだから。
工藤キキさんがニューヨークにやってきたのは、\u200b2011\u200b年のハロウィーンだった。
\n「前から住みたいと思っていたけれど、震災が起きていろいろなことを考えるようになり、海外を見て勉強したことを日本に持って帰ってこれたらと思うようになった」
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\nニューヨークに来て、料理をする機会が増えたことが新しい活動のきっかけに。
\n周りの友人たちは、反原発デモに参加する人たちと、震災や原発事故があったことを忘れたがっている人たちに二分されていた。
\n「どこにモチベーションを持てばいいのかわからなくなってしまった。試しにジャーナリスト・ビザを申請したらあっさりおりて、ニューヨークに来ることにしたんです」
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\nいくつもの素材を層にして重ねたジャー状のお弁当。
\nキキさんは、日本では雑誌などのライターとして活躍していた。ニューヨーカー・マガジンにも時おり寄稿してもらっている。けれど、最近は、ライター以外の活躍ぶりのほうが目覚ましい。
\n\u3000
\nニューヨークにきたばかりの頃に、「生活費の足しにするために」始めたというDJ 活動もすっかり定着して、今、チャイナタウンまわりの音楽シーンで人気を博し、来米5年目記念の今年のハロウィーンには、MoMAの別館PS1で行われたハロウィーン・パーティのホストとして名を連ねた。また2014年に始めたCHISOという食のブランドはインスタグラムで3万以上もフォロワーがいる人気者に成長した。
「もともと料理は好きだったけれど、仕事にするなんて考えたことはなかった。人のために作るチャンスもあまりなかった。ニューヨークにきて、ルームメイトのために作ったり、東京時代よりもチャンスが増えた」
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\n素材の重さを細かく測りながら丁寧に詰めていく。
\nあるバーで定期的にやっていたDJ のスロットを失い、途方に暮れたときにやってみようと思いついたのが、ジャータイプのお弁当だった。
\n「前からなんとなく、押し寿司をベースに、食材を層にしたものを作りたいと思っていた。ジャーを見つけて、作ってみたら、どんどんできてしまった。だから秋に行われるブックフェアに5個作って持っていき、手持ちで売ったんです」
\nそうやって生まれた<CHISO>のジャーは、その後インスタグラムだけをプロモーションのツールに使いながら、周囲の人やお客さんのフィードバックをもとに「グルテンフリーに」、「ナッツが食べられない人がいる」と、少しずつ改良を重ねて今のフレーバーになった。今は、平日の朝から<CHISO>のジャーを作り、ヘルシー系のカフェ<DIMES>にデリバリーする毎日だ。
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\nカレーの風味がピリリと効いてとても美味しい。
\n「こういうことができるのは、ニューヨークだから。日本だとどうしても、経験はあるのか?免許は持っているのか?となってしまう。\u200bDJ\u200bだろうと、スタイリングだろうと、ニューヨークには『やりたいならやってみれば?』という土壌がある。だからのびのび生きられるし、可能性が広がるのだと思う」
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Navigator
佐久間 裕美子
ニューヨーク在住ライター。1973年生まれ。東京育ち。慶應大学卒業後、イェール大学で修士号を取得。1998年からニューヨーク在住。出版社、通信社などを経て2003年に独立。政治家(アル・ゴア副大統領、ショーペン元スウェーデン首相)、作家(カズオ・イシグロ、ポール・オースター)、デザイナー(川久保玲、トム・フォード)、アーティスト(草間彌生、ジェフ・クーンズ、杉本博司)など、幅広いジャンルにわたり多数の著名人・クリエーターにインタビュー。著書に「ヒップな生活革命」(朝日出版社)、翻訳書に「世界を動かすプレゼン力」(NHK出版)、「テロリストの息子」(朝日出版社)。
\n他の場所には存在しないこの街のエネルギーとエキサイトメントに魅了される。
\n\n\nニューヨークは広大なネットワークの中心点。
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