海外からの観光客にも注目を集める日本ブランド
以前このコラムで、アメリカからの観光客が原宿でナイキのスニーカーを4足も買うという話を書いたが、アジアからの訪日観光客の間では、アシックス社の〈オニツカタイガー〉が絶対的な人気だ。親日国として知られるタイでは特に人気で、日本との内外価格差も大きいことから、訪日したタイ人観光客は競い合うようにしてこのブランドを購入するという。中でも最近は、〈オニツカタイガー〉だけでなく、‘90年代にリリースされゲルライトシリーズなどを現代に蘇らせた、〈アシックスタイガー〉のコレクションも注目されている。
ゲルライトは初代モデルが‘80年代末にリリースされたランニングシューズで、そのモデル名のとおり軽量性に優れ、ゲルによる高い衝撃吸収性能が特徴。そんなランニングシューズが21世紀の現代に復刻され、今再びストリートシーンで人気となっているのだが、それは単に、当時のカラーリングや、マテリアルミックスを再現しただけの復刻ではなく、昨今のトレンドカラーや、素材使いを巧みに取り入れたことが要因になっている。そのためスニーカーフリークだけでなく、ファッショニスタからも高い支持を集めることへつながった。
ゲルライトシリーズではスプリットタンと呼ばれるシュータンが2分割された構造が採用されており、1993年にリリースされた第3弾モデルのゲルライトIII、またブーティタイプの履き口が、高いフィット感を提供するこの「ゲルライトV」が、最近では特にポピュラーとなっている。
「ゲルライトV」を始めとしたゲルライトシリーズは、現在〈アシックスタイガー〉と呼ばれるプロダクトコレクションにラインアップされているのだが、これはアシックス社が昨年3番目のコレクションとして、新たにカテゴライズしたもの。スポーツに使用するための最新テクノロジーを採用した〈パフォーマンスライン〉、‘80年代までのレトロなプロダクトをアイディアソースにしている、ファッショナブルな〈オニツカタイガー〉に次ぐプロダクトとして誕生した。
〈アシックスタイガー〉は、’90年代のプロダクトデザインをアイディアソースとしていることから、クッション性やフィット性などの機能面こそパフォーマンスラインには及ばないが、〈オニツカタイガー〉よりは上。スウェットアイテムやヨガウェアなどをコーディネートの中心に据えた、最近アメリカを中心に人気上昇中のアスレジャースタイルにもピッタリで、長時間の着用でも疲労感が少ないのも嬉しいところ。ステッチワークなどのディテールへのこだわりが、じつに日本のスポーツシューズブランドらしい。
ゲルライトIIIとともに〈アシックスタイガー〉人気を支える「ゲルライトV」は、大人のユーザーからも人気が高い。それは前述の通り、ゲルライトIIIがスプリットタンという、一見、奇抜なデザインであることに対して、「ゲルライトV」は同部分が一体化されていて、落ち着いた雰囲気に仕上がっているから。このあたりも日本だけでなく、世界中のショップがコラボレーションモデルに選定する所以かもしれない。
価格:12,000円+税
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