HOW TO

ボトムスに“トレンド感”を! パンツ丈とシューズの正しい関係。


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text_yuichiro tsuji

パンツは素材や太さも大切ですが、意外と重要なのがその丈や裾の仕上げ方。今回の「HOW TO」ではパンツとシューズの相性にスポットを当て、パンツのタイプに合わせた靴の選び方や、逆に靴のタイプに合わせたパンツの最適なレングスの設定方法などをレクチャー。数々のメンズ誌で活躍する、人気スタイリスト 武内雅英さんをナビゲーターに迎えて、パンツとシューズの関係を紐解きながら、トレンド感を取り入れた着こなしを目指しましょう。

古川 耕

NAVIGATOR
武内雅英(たけうち まさひで)さん

1977年生まれ。スタイリスト。モードからクロージングまで幅広いジャンルで独自性のあるスタイリングを披露する。シンプルでいてさりげない、大人の好む上品な着こなしに定評があり。男性ファッション誌を中心に活躍中。


TYPE 01

TROUSERS / トラウザーズ

フォーマルとカジュアルでの丈の違いに注目!

トラッドファッションの基本であるトラウザーズ。フォーマルとカジュアルどちらでも活躍するアイテムです。つまり、どんなタイプのシューズにも合わせやすいということ。では一体どこにこだわればいいのか?それはズバリ、“レングス”。カジュアル仕様では、シューズが裾に干渉しない長さに、ビジネス仕様では靴下がギリギリ見えないハーフクッションにするのが基本的なマナー。また、裾は“ダブル”で仕上げるのがおすすめ。幅は4センチを基準に、小柄な人は-0.5ミリ狭く、身長の高い人は1センチくらい広げても◎。


ハイテク系のスニーカーはボリュームがあるので、レングスは短めに設定するのが◎。シューズのタン部分に触れる程度の長さがオススメです。レングスが長いとパンツのシルエットがキレイに出ず、だらしない印象になってしまうので要注意。

ローテク系のスニーカーはボリュームが少ないので、靴下が見え隠れする程度がベスト。くるぶしが半分隠れる程度のレングスです。細身のトラウザーであれば丈が多少長くてもシルエットに干渉しませんが、太めの場合は短めがマスト。

ビジネスシューズに合わせる場合は、シューズのタン部分が隠れるくらいのジャストレングスに設定しましょう。短すぎず長すぎずが鉄則。まっすぐ立ったときに裾がシューズの甲に触れて、パンツがほんの少したるむ程度の長さが理想です。

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CHINO PANTS / チノパンツ

程よいドレスアップがチノパンを穿きこなす秘訣。

本来はアメリカ陸軍の士官用制服として生まれたチノパン。ベージュは土臭い印象を与えがちですが、黒系のシューズで引き締めると、一気に上品さがアップします。ただし、チノパンが持つイメージとの対比が強調されてしまうため、内羽根のシャープなフォーマルシューズのようにフォーマルに寄せ過ぎるのは禁物。丸味を帯びた革靴などが正解。レングスはジャストより少し短め、仕上げは“ダブル”がベスト。パンツのシルエットはすっきりと、裾の仕上げでアクセントをつくると、チノパンのカジュアルさが活きます。


ソールに程よい厚みがありシルエットもシャープすぎない革靴は、チノパンとの相性が抜群。上品とカジュアルのバランスよい着こなしが完成します。レングスはクッションがつかないギリギリのラインがベスト。靴もパンツもかっこよく見えます。

少し大人っぽいスニーカーで上品な着こなしに。この場合レングスは九分くらいで、くるぶしが見え隠れする程度に。「チノパン×スニーカー」という野暮ったい組み合わせを、短いレングスならばすっきりとした印象に仕上がります。

こちらはNGパターン。シャープなビジネスシューズを合わせると、なんとなく時代遅れな雰囲気に…。レングスが長いとクッションが多くなりすぎて、足元がもたついてしまうので、せっかくのきれいなラインが台無しになってしまいます。

TYPE 03

CORDUROY PANTS / コーデュロイ パンツ

コーデュロイパンツには、ソフトな印象のシューズを。

冬の定番素材として幅広く親しまれるコーデュロイ。カントリーテイスト漂うこの生地のパンツには、丸味を帯びた柔らかな印象のシューズがマッチします。もちろんフォーマルにも、カジュアルにも対応可能というのも魅力です。ひとつだけ注意点をあげるとすれば、コーデュロイの生地にはハリや厚みがあるので、クッションがキレイなドレープになりません。そのため、どのシューズでもレングスは短く設定するのが鉄則。仕上げは“シングル”ですっきりとするのが、いまのトレンドです。


革靴との相性もいいコーデュロイを魅力的に穿くには、カジュアルな革靴であるローファーがおすすめ。ソックスは発色の強いものより、パンツに馴染んだ色や柄を選ぶのがポイント。ソックスでアクセントを加えてしまうと、足元が一気に浮いてしまいます。

ローテクでもハイテクでも、スニーカーはどんなものでも合わせやすいのがコーデュロイパンツの魅力。しかし、未来的なデザインはやや難度が高いので、まずはクラシックなモデルかオーセンティックなアイテムを選ぶのがいいでしょう。

こちらはNGパターン。コーデュロイパンツにシャープな革靴を合わせると、チャラついた印象になってしまいます。また長めのレングスだと、せっかくの上品な畝(うね)もだらしなく見えてしまうため、短めのレングスに仕上げるのがベター。

TYPE 04

RIB PANTS / リブパンツ

意外となんでも合わせやすい万能パンツ。

裾がキュッと締まったリブパンツは、着こなしにラフなテイストをプラスします。レングスの調整はできないので、ここではシューズのセレクトにフォーカス。スニーカーならば、クラシックなテニスシューズ風のコート系スニーカーが今っぽくておすすめ。ハイテク系のアイテムも合いますが、トレンドの視点からみるとやや時代遅れになりそう。革靴を履くなら、ドレッシーすぎないカジュアルに寄ったテイストを。大人っぽく穿きたいなら、スエードのチャッカなどを合わせると、ラグジュアリーな雰囲気がアップします。


昨年から人気沸騰中のコート系のスニーカー。リブパンツのスポーティなテイストとの相性は抜群。クラシックなスニーカーなので、着こなしもどこか大人っぽい雰囲気になります。ソックスはシューズの色に合わせて、色数を少なくするとよいでしょう。

ご覧のように、ボリュームがあってソフトなシルエットの革靴もマッチングは良好。霜降りのソックスが革靴のビジネス感を中和させ、着こなしをカジュアルに仕上げます。レースアップタイプだけでなく、ローファーなどを合わせるのもおすすめです。

チャッカブーツは、素材をスエードにするのがポイント。表革のシューズだとドレッシーなニュアンスが強いので、マットな表情のシューズを合わせましょう。このとき、靴下が見えないミドル丈のシューズを選ぶというのも、上品な着こなしの秘訣です。

プロに聞く、スーツの魅力とその買い方

2015年秋冬トレンドカラーの取り入れ方


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