Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...
HOW TO
アメリカントラディショナルスーツの原型「サックスーツ」を継承した通称「Ⅱ型」と呼ばれるスーツは、ナチュラルショルダー、シングル2つボタン、ウエストの絞りを加えたシルエットで1954年に誕生した。1960年代以降さらに洗練され、現在のように不動の地位を占めるようになった。英国式の最高級仕上げを施した光沢感のある生地ならば、華美すぎずアメトラにふさわしい。伝統を引き継いだ現代のスーツは、日本人の体型を考慮し、機能美をも兼ね備える。
ITEM TIPS
1. Shoulder making
自然と肩にフィットするナチュラルショルダー
英国、ヨーロッパ式の角ばった肩のフォルムに比べ、米国式は丸みのある美しいラインを作り出すナチュラルショルダー。薄手の肩パッドに、3枚に分離した裄綿をつなぎ合わせてつくられるショルダーラインは着用する人に自然とフィットする。また、猫背気味な日本人の体型に合わせ、肩のラインをやや斜め前にする「前肩仕立て」が着心地の良さを最大限に引き上げる。
2. Internal construction
高級スーツの代名詞「フル毛芯仕立て」
シルエットを良くするために表地と一体で使われる毛芯(けじん)。大量生産のスーツでは毛芯と表地を接着芯で貼り付けるが、フル毛芯仕立ては専用のマシンで仮縫いをしていく。生地と毛芯それぞれが呼吸をするため、撚れづらく柔らかな上、型崩れを起こしにくい。見た目にも高級感が現れる。
3. Material
質実剛健な深みのある生地
英国式の最高級仕上げ「プレミアムフィニッシュ加工」を施した生地を使用。手間のかかる手法「ペーパープレス」をかけることで出る底艶が、トラッドファッションによく似合う。ネイビー地にブルーとラベンダーのストライプの組み合わせがフレッシュな印象。
4. Buttons
丸みを帯びた柔らかい印象の本水牛ボタン
一見するとナットボタンのように見えるが、より高級感のある本水牛ボタンを採用している。丸みを帯びた形状は、上品で柔らかな印象をつくる。2つボタンジャケットは上1つを掛けるのが基本。
5. Cuffs
袖丈の調整が自由なミシン切羽
切羽には本切羽にミシン切羽、あきみせと種類がある。本切羽は、ボタンホールがあると袖丈の調整ができなくなるため、オーダーメイドなどによく見られる。一方、あきみせは袖の部分が開閉せず、実機能をもたないデザインのことを言う。
6. Vents
アメリカントラッドといえばセンターベント
センター、サイド、ノーベントと大きくわけて3つのベントがある。そもそもベントとは、フランス語で「風」という意。センターベントは乗馬においてジャケットの裾が引っ張られないようにするために考案されたものと言われる。軽快でスポーティな印象。
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