Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...
食べて「発見」。
恵比寿 春秋ユラリ
ゴールデンウィークもあっという間に過ぎ去って約2週間。…もう幾つ寝ると夏休み? なんて具合に、早くも次なるバケーションに想いを馳せているような皆さんにお勧めしたいお店を、今回はご紹介。放っておけば、ついつい赤ちょうちんや縄のれんの方向に足が自然と向いてしまう私を見かねたか(笑)、今回は『ニューヨーカーマガジン』の編集担当がお店をセレクト。たまにはこんなお店もいかがですか〜? とお誘いを受け、身だしなみを調えてお邪魔したのがこのお店。その名は「春秋ユラリ」。海外の豪奢なホテルで食事を楽しんでいるかのような気分に浸れます。
SHOP DATE
春秋ユラリ
TEL:03-5725-7970
住所:東京都渋谷区恵比寿南1-7-8 恵比寿サウスワンB1F
営業時間:11:30~14:30 (LO14:00)、17:30~23:30 (LO22:30)
※日曜は ~23:00 (LO21:30)
定休日:年末年始
予約方法:お電話&ホームページにて
アクセス:恵比寿駅西口より徒歩2分
席数:約110席(個室あり)
http://shunju.com/yurari
駅から2分で海外気分?
恵比寿駅西口から徒歩2分。エントランスにそびえる壁のようなワインセラーの間を潜り抜けるようにして店内へと足を運べば、照明を駆使した絢爛できらびやかな空間が。訊けば、木漏れ日をイメージしてデザインされたとのことで、光の温度感まで品がいい。どちらかというと裸電球や蛍光灯の下で飲むことのほうが多い私でさえも、ものの数分で、なんだかしっとりとした気分になってきました。
現在都内に7つの店舗を展開する「春秋」グループ。ご存じの方も多いとは思いますが、グループを経営するのは世界的に活躍するインテリアデザイナーの杉本貴志氏。西武百貨店や無印良品各店を手掛けたことでも有名ですが、シンガポールやニューデリー、北京、上海、ソウルなどのアジア各都市で、リッツカールトンやパークハイアットやアンダーズを手掛けていることでもまた有名。そんなわけでこの店も、足を踏み込んだ瞬間に我が身を包んでくれるのです、胸も高鳴る海外旅行的な空気が。
メニューを開けば食材図鑑?
しっとり気分を引きずったまま、メニューを眺めればその品数の多さにびっくり。季節の鮮魚のお造りや、旬の野菜を駆使した前菜に始まって、A5等級の佐賀牛サーロインのステーキやシャラン鴨の炭火焼などのメインも充実。鍋あり、寿司あり、鉄釜飯あり。山梨の食材を山梨のワインと合わせるという趣向のもとで「甲州鶏の塩モツ煮」や「山菜味噌の汁無しほうとう」などの山梨県の郷土料理なども。日本酒も焼酎も豊富なら、ワインリストもかなりの長さ。「オーパスワン」などのグランヴァンもバイザグラスで楽しめる…(60mlで4000円)。
“素材の料理”をコンセプトに敷いているゆえ、例えば、栃木県益子町の川田農園の有機野菜や、島根県出雲市の「しまね和牛」など、食材のキュレーションも楽しいのです。
会いたかったぞ!かつべ牛!
…そう、今回お邪魔したもうひとつの目的こそが、その「しまね和牛」。島根県は出雲市にある「かつべ種畜牧場」が育てた黒毛和種の牛のことで、春秋グループではそれを1頭まるごと仕入れているのです。
そもそも「かつべ種畜牧場」は、各地で銘柄牛の繁殖のために活躍する牡牛の生産者。その名前にも冠せられる「種畜(ちくしゅ)」とは、繁殖に欠かせない種牛のこと。肉質の善し悪しは、ほぼ血統によって決定されるといっても過言ではないため、黒毛和牛の産地には常によい種牛へのニーズがある。というわけで、都道府県などの行政が設けた研究機関や、民間のブリーダーが優良な種畜の開発に勤しんでいます。が、「かつべ種畜牧場」はそんな研究機関と肩を並べて種畜を送り出すエリート養成牧場というわけです。おまけに「子牛の生産」から「肥育」を経て「食肉の流通」にいたるまでの一部始終を一貫して行う珍しい牧場でもある。通常なら、それら3つの工程はそれぞれ別の畜産農家や業者が分業して行うケースが大半なのです。
いわば、ひとつの畜産農家によってデザインされた牛肉。作り手のコンセプトとアイデアが100%反映された牛肉界のディレクターズカット。というわけなので、これはぜひとも味わってみたかった! のです。
かつべ牛のお味のほどは…
注文したのは「かつべ和牛 二種の部位盛り合わせ」(3,240円)。その日の部位を2種盛り合わせて供されます。取材当日は、ヒレと肩ロースでしたが、ひと口齧ってみて驚いた。ヒレはともかく、肩ロースでさえサシの入り方が実に上品。口の中で脂がサラリと溶け出した瞬間にスッと消え、濃いうま味がずっと持続するのです。
とまぁそんな具合に稀少な食材の図鑑のようなこの状況もまた、この店の魅力。そういえば「純血バスク豚の生ハム」と日本酒との相性も抜群でした。脂身が口の温度で溶けてきた頃合いに宮城県の「山和 特別純米」を口に含むと、肉のうま味と甘味がさらに増すようで…。いやぁご馳走さまでした!
海老とアボカドの冷製コロッケ
(880円)
油で揚げていない、冷たいコロッケ。ダイス状に刻まれた海老のプリっとした食感とアボカドのクリーミーさが素敵。衣がシャクシャクと小気味良い音を立てながら、香ばしさすら放ちつつ、口の中から消えていきます。
冷製アスパラガスサラダ 新玉葱アイス添え
(1,290円)
新玉葱のみで作ったソルベとグリーンピースのソースでいただくグリーンアスパラ。口に含むと玉葱の香りがほわっとオシャレに香るアイスをソース代わりにして食べるという趣向です。味の濃いアスパラだったなぁ。
熊本産”幻の白たけのこ”のお刺身
(1,580円)
さまざまな条件を満たし、粘り気のある粘土質の赤土で育つと真っ白なたけのこになります。これは熊本産ですが、京都などの産地でも滅多にお目にかかれないという白いたけのこ、始めて口にしました。
ばくらい(1,080円)
「ほや」と「このわた」の塩辛。珍味+珍味の掛け合わせで、日本酒が止まりません。ずらりと長いワインリストから、ばくらいに合うワインを探す、なんてトリッキーな楽しみも、もしかしたら…。
※季節や入荷状況により、掲載されているメニューのお取り扱いが無い場合がございます。
ここに行くならこんな服
「さりげなくおしゃれに見せたい」なら、プラス1の効かせ技。
雰囲気のいいお店に行くときって、ちょっとおしゃれをして行こうかな、という気にさせられますよね。 でも大人なら気張りすぎず、余裕を感じられるおしゃれがしたいもの。そんな時はいつもと違う”プラス 1″の効かせ技がおすすめです。お料理でいうところの”塩を効かせると甘さが引き立つ”のように、いつも のコーディネートにも、ちょっとしたアクセントを加えると魅力が倍増するってわけです。
普段のボトムに差し色として発色のいいベストやネクタイを合わせたり、モノトーンのノースリーブワン ピースに、メタリックな輝きのあるシルバーカラーのベルトでアクセントをつけたり。落ち着いた照明の 店内では、フレッシュに見せてくれる白もおすすめです。
なによりMY定番ではない”プラス1″があると、ほど良い緊張感で心を弾ませてくれます。お店のラグジ ュアリーな雰囲気も相まって、あなたの魅力は10%増し…、いや20%増しになってしまうかも! おしゃれをして素敵な時間をお楽しみください。
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小林 淳一
編集者。東京メトロ駅構内で配布するフリーマガジン『metro min.』、食材のカルチャー誌『旬がまるごと』などの編集長を経て、主に食の分野で編集者として活躍。お酒を呑んで東北を応援するイベント「DRINK 4 TOHOKU」(http://www.drink4tohoku.com/)を開催している。
夏のおでんで、コミュニティについて考える。
拝啓。すべての”故郷不足”なみなさまへ。