この秋冬はトレンドのサイドゴアブーツで
足元を品よく&スッキリと見せるのが正解です!
今季の足元は男女問わず、サイドゴアブーツがトレンドです。
サイドエラスティックゴアブーツとも呼ばれるこのタイプは、側面(多くは内・外両面)に、ゴムが織り込まれた伸縮性のある生地が縫い付けられたブーツのこと。筒丈はくるぶしあたりから足首を覆う高さの、いわゆる中深丈です。
トラッドシューズの多くは英国発祥ですが、このブーツも例外ではなく、翌年に即位するヴィクトリア女王のために、1836年、ロンドンのある靴店が考案・製作したのが初出とされています。また、その靴を目にした、のちに夫となるアルバート公も自分用をオーダー。これがメンズの最初でした。それゆえ、アルバートブーツの異名があり、同公がしばしばそれを履いて議会に登院したことから、コングレス(議会の意味)ブーツとも呼ばれました。そして、これをきっかけに英国中でブームとなり、1840年代~1910年代まで非常に盛んに履かれたのですが、なぜか第一次世界大戦以降、ほとんど姿を消してしまいました。
ところが、1960年頃からロンドン・チェルシー地区に集まっていたモッズと呼ばれる若者たちが自分たちのスタイルに合わせる靴として、ヒール高が5cmほどもあるキューバンヒール(テーパードヒールの一種)のサイドゴアブーツを履き始めたのです。ここからチェルシーブーツの呼び名も。
また、1962年、トラッドにモッズのテイストを取り込んだユニフォームでザ・ビートルズがデビュー。その足元の定番が、やはりサイドゴアブーツでした。ネットなどで1960年代半ば頃までのビートルズの写真を検索しますと、なるほど、彼らがこのブーツを盛んに愛用したことがわかります。そして、これを機にサイドゴアブーツは見事復活を果たしたばかりか、世界的な規模でブレイク。今度は、ビートルズブーツなる呼び方もされました。
このような盛衰をたどりつつ今日まで生き残り、時代ごとに様々な呼び名を持つサイドゴアブーツ。そのデザインは切り替えや穴飾りなどのあるタイプも存在しますが、最も一般的なのは、やはりプレーントウでしょう。それも細身でスタイリッシュなものが主流。
ここに取り上げたアルフレッド・サージェント(英ノーサンプトンシャー州ラシュデンで1899年創業)の定番「2960」は、そうしたプレーントウサイドゴアブーツの典型です。アッパーに伊ゾンタ社の上質カーフを、本底に古典的なピットなめし法を堅持する英J&F.Jバーカー社の最上級タンニンレザー「オークバーク」を使い、グッドイヤー製法で製靴されています。
また、木型は一般的な足形にしたがってトウが内側に屈曲した、いわゆる内振り形状で、そのトウのシルエットは英国靴伝統のエッグトウ。ほどよく細身であるのも、また“サイドゴアブーツらしい”と思うのです。
では、この靴を「どんなスタイルに合わせるべき?」となるわけですが、どうも裾幅太めのパンツとは相性がよろしくありません。逆に、モッズやビートルズよろしく、ナローで丈短めのパンツなら鉄板。できればノークッション、ないしはハーフクッションで履きたいところです。
また、スーツともよく合いますが、この場合も裾幅太めは避けたいところ。この点に注意すれば、じつは様々なスタイルにマッチする靴なのです。
(問い合わせ先)
ジーエムティー
電話:03-5453-0033
価格:73,000円+税