Reading the leading shoes

L.L.ビーン メイン・ハンティング・シューズ


Nov 26th, 2014

text_masahiro minai
photo_kazumasa takeuchi

スタイリッシュに雪道を歩くなら
歴史あるラバー製ブーツを!

数年に一度、東京においても大雪が降ることがある。そんなときにいつも「買っておけばよかった…」と後悔するシューズがある。L.L.ビーンのビーンブーツである。ラバー製のボトムとレザー製のアッパーを組み合わせたこのモデルは元来、写真にあるメイン・ハンティング・シューズと呼ばれたモデルのアレンジバージョン。

このメイン・ハンティング・シューズは、不整地における狩猟時でもハンターの足を守ることで知られた歴史的な名作で、現在も同社の本拠地があるアメリカはメイン州において製造されている。基本的な設計は1912年の登場以来、100年以上変更されておらず、透湿性などは最新のアウトドアシューズと比較すると明らかに劣るが、防水性は現在でも十分なレベルにある。

このシューズを購入したいと思ったのは今から32年前の高校2年生のこと。雑誌ポパイにおいて頻繁に登場しており、プレッピースタイルのマストアイテムとして、ボタンダウンシャツ、ノルウィージャンセーターなどとともに紹介されていた。

当初はファッション的な視点で「カッコいい!」と思っていたが、翌年受験のために東京を訪れると大雪の後で、歩道に積もった雪で何度も足をとられて転倒しそうになった。愛知県で生まれ育った自分にとって、ここまで雪が積もっているのを見るのは初めてのことであり、雪上での正しい歩き方も知らなかった。そんなときに御茶ノ水の坂を、スイスイ歩く受験生の足元に見つけたのがL.L.ビーンのブーツ。チェーンを模ったアウトソールパターンは、雪の上でも高いグリップを発揮していた。

これを見て受験の合間に、当時の取り扱いショップであったソニープラザへと向かったが、同じ考えの人は多かったらしく、完売状態で結局買うことはできなかったのである。

あれから30年以上が経過し、何度も購入のタイミングを逸し、その間一度もこのモデルを履くことはなかった。最近になって某ブランドの最新スノーブーツを手に入れたことによって、「今年もL.L.ビーンのブーツは買わないな…」と思ったが、この最新スノーブーツは、ハイテクシルエット過ぎて、コーディネートが限定されることに気付いた。

反対にL.L.ビーンのプロダクトは、アウトドアファッションはもちろんのこと、ジャケットスタイルにもマッチするなど、ファッション的な汎用性は高い。そのことに気付いた今年こそL.L.ビーンのこのタイプを買おうと決意した。それも他人とのバッティングが気になるビーンブーツではなく、履いている人の少ないメイン・ハンティング・シューズの方を。

(問い合わせ先)
L.L.Beanカスタマーサービスセンター
電話:0120-81-2200
価格:19,048円+税

Navigator
南井 正弘

1966年 愛知県西尾市生まれ/フリージャーナリスト、ランニングギア・マスター編集長 スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

フランチェスコ ベニーニョ シングルストラップ

アルフレッドサージェント サイドゴアブーツ 2960


FEATURED ARTICLES

Mar 2nd, 2017

ICON OF TRAD

Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。

サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...

Mar 9th, 2017

HOW TO

ジップアップ パーカ Vol.01

氷雪地帯で生活をしていたアラスカ先住民のイヌイット民族が、アザラシやトナカイなど、動物の皮革でフード付きの上着(アノラッ...

Oct 20th, 2016

HOW TO

ストライプ スーツ Vol.02

Vol.01のディテール解説に続き、Vol.02ではストライプスーツを着こなすスタイリングを提案。Vゾーンのアレンジで印象はぐっと変え...

Mar 2nd, 2016

ICON OF TRAD

Vol.39 女性がほんらい男物だったトレンチコートを着るとき

そもそも男性服であったトレンチコートは、どのようにして女性たちの間に浸透していったのだろうか?

Aug 25th, 2016

HOW TO

ネイビーブレザー Vol.01

アメリカントラディショナルファッションの代名詞ともいうべきネイビーブレザーは、日本では《紺ブレ》の愛称で親しまれている。...

Jan 12th, 2017

HOW TO

トレンチコート Vol.01

トレンチコートが生まれたのは第一次世界大戦下でのこと。イギリス軍が西部戦線での長い塹壕(=トレンチ)に耐えるために、悪天...


YOU MAY ALSO LIKE