Reading the leading shoes

オールデンのタッセルローファー


Jul 30th, 2014

Text_Masahiro Minai

流行とはあまり関係がないと思われているトラディショナルスタイルだが、クロージング、フットウェア、そしてバッグなどのアクセサリー類のすべてにおいて、人気アイテムは時代によって変わっていく。

自分がトラディショナルスタイル、略してトラッドという言葉を知ったのは小学校6年生の頃だから、今から36年ほど前になるが、この当時ポピュラーだったトラッドのシューズデザインは重厚な外羽根タイプのウイングチップ、プレーントゥ、ペニーローファー、そしてタッセルローファーあたりだった。現在高い支持を得ているストレートチップ、通称UチップやVチップと呼ばれるシューズデザインは今ほど履かれていなかったのである。

前述の36年前の人気シューズの中で、その後タッセルローファーは時代ごとに最も浮き沈みのあった靴かもしれない。当時はペニーローファー、コインローファーと呼ばれたベーシックなスリップオンシューズとセールス面でも肩を並べ、トラッドスタイルのマストアイテムに君臨していた。

しかし、いつしか店頭での存在感が薄れ、ペニーローファーと売り上げ面では大きく差がついた。これはカジュアルシーンを中心とした幅広いコーディネートにマッチするペニーローファーに対し、タッセルローファーのほうはグレイフランネルのパンツなど、ちょっぴりドレッシーな格好と相性が良かったので、汎用性の差がセールスの差につながったのではないかと考えている。

そんなタッセルローファーだが、一時期の低迷を脱し、売り上げは回復基調にあるという。そんな状況をリードしているのはオールデンであり、実はタッセルローファーはこのブランドに起源があるといわれている。
オールデンといえばモディファイドラストのVチップやバリーラストのチャッカブーツのイメージが強いが、優雅なシルエットのタッセルローファーも魅力的だ。現在、さまざまなブランドがタッセルローファーをリリースし、そのデザインは無骨なスタイルから垢抜けたものまで多岐に渡る。中でも、オールデンのものは、大人の男がサマージャケットあたりと組み合わせるのに相応しい、高級感にあふれた一足である。

ラコタ
電話:03-3545-3322
価格:105,000円(税別)

NAVIGATOR
南井正弘

48歳/愛知県出身/靴に詳しいフリージャーナリスト
「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日のランニングを欠かさないファンランナー。

パラブーツのアドニス

ビルケンシュトックのボストン


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