Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
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Reading the leading shoes
これまでに海外への渡航は150回を越えるが、以前から気になっていたことがある。それはアメリカ人と日本人の男性のショーツ着用率の高さ。バンコクや香港のような世界屈指の観光都市にはアジアだけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカからの観光客も多いが、コーケイジャン(白人)でショーツを履いているのはアメリカ人である確率が高く、東アジア系でショーツを履いているのは日本人である場合が多い。また、40代以上のヨーロッパの人や30代以上の中国人、韓国人は、シャツをパンツの中にタックインしている人が多い。
とにかくアメリカ人と日本人はリラックスしたカジュアルスタイルが好きなことは間違いなく、特にオフシーンでは、堅苦しい着こなしを好まない。
現在の日本でのカジュアルファッションの感覚からすると、シャツやポロシャツをパンツにタックインするスタイルはNGで、東京ではアラフォーやアラフィフオヤジが鍛え上げたカラダにジョンスメドレーのシーアイランドコットンの半袖ニットとショーツやレザーのサンダルをコーディネートしたほうが評価が高い。
一方、海外のドレスコードのあるレストランでは、襟なしのトップスやショーツを着ている、ドレスシューズを履いてないという理由で、予約をしてあったとしても、入店自体を「No!!!」と拒否されてしまうことがある。
2000年の4月、初めて訪れたミラノでそんなことが起こった。以前スペルガを紹介したコラムで書いたが、市内の日本料理店で大阪の繊維商社の社長と知り合って、大名旅行のような行程にお供をさせてもらっていた。高級リゾートのコモ湖にある最高級ホテルのヴィラデステのレストランでさえ、ナイキのスニーカー姿で何ら咎められることなく食事することができたので油断していたのだが、そのミラノのレストランではスニーカー履きでの食事は不可とのこと。英語が堪能な一人のカメリエーレ(給仕人) 曰く、ショーツは論外で、履き物はドレスシューズが望ましいが、爪先がオープンになっていないレザーサンダルならOKとのこと。
それを聞いて、ダッシュで部屋に戻り、ボトムスはGAPのカーゴショーツからインコテックスの赤いパンツに、フットウェアはナイキのエアズームサイズミックからビルケンシュトックのボストンへと履き替えて、ようやくミラノ風カツレツやボロネーゼといった料理に舌鼓を打つことができたのである。
最近の日本において、ビルケンシュトックのポピュラーなモデルとして挙げられるのは手頃な価格設定もあって、アリゾナやラムゼスだが、「おいしい食事が食べられないかもしれない危機」を救ってくれたこともあって、自分にとって最も印象深いモデルは、ちょっぴりドレッシーな装いにもコーディネート可能な、このボストンなのである。
株式会社ビルケンシュトックジャパン
電話:0120-67-1774
価格:¥19,000+税
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南井正弘
48歳/愛知県出身/靴に詳しいフリージャーナリスト
「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日のランニングを欠かさないファンランナー。
オールデンのタッセルローファー
L.L.ビーンのブルーチャー・モック、レザー