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Reading the leading shoes
ライターという職業柄、自分の周囲にはファッション業界に携わる人が多いのだが、大学時代からの友人にもたまたま何名かのファッション業界で活躍している者がいる。
その一人がHという男で、大学の体育の授業で選択したゴルフのクラスが同じだったことから仲良くなった。ファッションセンスも垢抜けていて、立ち振舞いも堂々としていたから、てっきり生まれも育ちも東京で、それも付属高校からの内部進学組かと思ったら、然にあらず。九州は熊本の高校を卒業した地方出身者だという。
熊本といえば当時からファッション偏差値の高いエリアとして知られていて、ブレイズを始めとしたセレクトショップでは東京のショップとも異なるブランドやアイテムが展開され、自分が高校の頃にはポパイやホットドッグプレスといった雑誌で特集が組まれたほど。
そんな雑誌を見ながら「熊本のシャワー通りでポール・スミスのジャケット買いたい!」とか思ったものだった。
そんな熊本出身の彼が履いていたのがトレトンのナイライトキャンバスのネイビー。
トレトンは当時ライバルとされていたアディダスのスタンスミスや、K.SWISSのクラシックとは対照的なスリムなフォルムが他モデルにはない洗練された雰囲気を演出することに成功していて、当時のトレトンはアメリカ製かスペイン製が主流だったが、彼が履いていたのはブランド発祥の地であるスウェーデン製。
こんなところに無性に反応するのは今も昔も変わらない。熊本のどんな店で買ったのか、いくらだったのかといったことを事細かに聞いていた。それから1年ほど経過したあとに自分はトレトンのXTLというレザー製テニスシューズをアメ横で購入し、「俺が買ったのはキャンバスじゃなくてレザーだからね!」と彼に対してアピールしたが、自分が本当に欲しかったのは、なにを隠そう友人Hの履いていた ナイライトキャンバスのネイビーであった。
あれから30年、細部のディテールやキャンバスの質感は異なるものの、トレトンのネイビーキャンバスのモデルは現在も展開されており、そのシューズを見る度に大学1年のあの日のことを思い出す。
アキレス株式会社 お客様相談室
電話:03-3225-2241
価格:¥6,800+税
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南井正弘
48歳/愛知県出身/靴に詳しいフリージャーナリスト
「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日のランニングを欠かさないファンランナー。
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