Reading the leading shoes

カーシューのドライビングシューズ


Apr 23rd, 2014

Text_Masahiro Minai

サラリーマン時代の取引先の広告代理店に、ファッションセンスが際立っていたKさんという人がいた。自分と同じ愛知県出身で地元の名門私立高校を卒業していたこともあり、自分にとっては憧れの存在であった。

ある日、千葉県郊外で行われるプロダクトミーティングへ、Kさんのアルファロメオで一緒に向かうことになった。ボディと一体化した初見では位置の分かりにくいドアノブを操作して後部座席に乗り込もうとすると、普段それほどリアシートに人を乗せないのか、Kさんの私物が乱雑に置かれていた。そのなかにあったのが、グッチのドライビングシューズ。
「長距離を運転するときは、それに履き替えるんですよ」その言葉にカッコよさを感じ、「いつか自分もアルファロメオを買って、グッチのドライビングシューズを履きたい!」と思ったのだった。

それから7年後、自分も自動車を手に入れたが、トラブルの多いイタリア車ではなく、BMWの318ツーリングワゴンにした。一方でドライビングシューズは、その前年にミラノのモンテナポレオーネ通りのJ.P.トッズで買おうとしたものの、一番小さな規格のサイズ5でも踵が浮き、購入を断念。結局BMWを手に入れたのち、横浜のバーニーズでその名が示すように高品質のドライビングシューズで知られるカーシューの定番デザインを手に入れた。

柔軟なスエードアッパーで造られたカーシューのドライビングシューズは、その足を包み込むような履き心地が秀逸なだけでなく、上品かつリゾートテイスト満載。自動車の運転の際に重宝したたけでなく、上質な素材を使用したショーツやパンツと相性がよくカジュアルシーンでも大活躍した。最近はあまり身に付けなくなったが、この頃はルイジ ボレッリ、フライ、インコテックス、GTAといったブランドをヘビーローテーションで着用していたのも懐かしい。

そんなドライビングシューズだが、最近ファッションシーンで再び注目されているという。久しぶりにカーシューのことを思いだし箱を開けたが、完成されたデザインは今でも古さを全く感じさせない。今年の夏はショーツと合わせて履いてみようと思っている。

筆者私物

NAVIGATOR
南井正弘

48歳/愛知県出身/靴に詳しいフリージャーナリスト
「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日のランニングを欠かさないファンランナー。

トレトンのキャンバス

ブルックスのヘリテージライン


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