Reading the leading shoes

ブルックスのヘリテージライン


Apr 9th, 2014

Text_Masahiro Minai

インターネットやスマートフォンのなかった時代、あらゆる分野で雑誌は今よりも圧倒的に大きな存在感を誇っていた。それはランニング業界においても同じことがいえ、現在もアメリカやイギリスなど世界中において発行されている「ランナーズワールド」誌は、1970年代から1980年代にはランナーのバイブルと崇められ、その影響力は絶大であった。

そんな「ランナーズワールド」で特に人気だったのが、年に一度掲載されていたシューズレビュー。各ブランドの誇るランニングシューズの主要モデルが一堂に会して、その実力を判定されていたのである。この人気企画で最高評価のファイブスター(5つ星)の常連となっていたのが、ブルックスである。

ヴァンテージやビラノバといった同社のランニングシューズは、ランナーから高い評価を得ていたが、シューズレビューの採点者をも魅了することに成功し、当時のランニングシューズ業界をリードする存在になっていたのである。
ブルックスのランニングシューズは、当時中学生であった筆者には高嶺の花で、日本でのライセンス生産も行っていなかったことから、残念ながらリアルタイムでヴァンテージなどの傑作を履くことはできなかった。

ブルックスは一時期低迷したこともあったが、ここ数年で急速にシェアを拡大し、現在では全米ランニングプロショップ(ランニンググッズの専門店で、地域のランナーのたまり場となる)ルートにおけるシューズ販売シェア第1位に輝くなど、レースに頻繁にエントリーするようなシリアスランナーからの評価が高い。
今年ブルックスは創業100周年を迎えるが、そんな記念すべきタイミングで過去の名作を現代に蘇らせたヘリテージラインがリリースされた。

ブルックスのヘリテージラインは、ただ単に過去のマスターピースを復刻させるだけでなく、現代風のカラーリング、マテリアルミックスを採用している。70年代から80年代に青春時代を過ごした世代には、欲しくても高額で買えなかった名作を買える喜びを与えるのと同時に、レトロランニングのマーケットに大きなインパクトを与えることにも成功している気がする。

(問い合わせ先)
ブルックス ヘリテージカスタマーサービス
電話:0800-800-2380
価格:¥9,000+税

NAVIGATOR
南井正弘

47歳/愛知県出身/靴に詳しいフリージャーナリスト
「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日のランニングを欠かさないファンランナー。

カーシューのドライビングシューズ

レッドウイングの8875


FEATURED ARTICLES

Mar 2nd, 2017

ICON OF TRAD

Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。

サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...

Mar 9th, 2017

HOW TO

ジップアップ パーカ Vol.01

氷雪地帯で生活をしていたアラスカ先住民のイヌイット民族が、アザラシやトナカイなど、動物の皮革でフード付きの上着(アノラッ...

Oct 20th, 2016

HOW TO

ストライプ スーツ Vol.02

Vol.01のディテール解説に続き、Vol.02ではストライプスーツを着こなすスタイリングを提案。Vゾーンのアレンジで印象はぐっと変え...

Mar 2nd, 2016

ICON OF TRAD

Vol.39 女性がほんらい男物だったトレンチコートを着るとき

そもそも男性服であったトレンチコートは、どのようにして女性たちの間に浸透していったのだろうか?

Aug 25th, 2016

HOW TO

ネイビーブレザー Vol.01

アメリカントラディショナルファッションの代名詞ともいうべきネイビーブレザーは、日本では《紺ブレ》の愛称で親しまれている。...

Jan 12th, 2017

HOW TO

トレンチコート Vol.01

トレンチコートが生まれたのは第一次世界大戦下でのこと。イギリス軍が西部戦線での長い塹壕(=トレンチ)に耐えるために、悪天...


YOU MAY ALSO LIKE