Reading the leading shoes

アグのアスコット


Dec 18th, 2013

Text_Masahiro Minai

一時はトレンドアイテムとして位置付けられたこともあったが、現在ではライフスタイルの一部としてすっかり根付いたムートン素材のフットウェア。その起源は1920年代のオーストラリアにまで遡り、羊毛刈りに従事していた人々が羊の毛皮を足に巻き付けたことがその発祥だという。しかしながら日本において、その存在が一般的となったのは、’90年代に入ってからで、自分が特に印象深いのは、オッシュマンズで大々的に展開されていて、雑誌「fine」などに頻繁に掲載されていたこと。この事実が示すように、ムートンブーツといえば、この当時はサーファーとの関連が強いアイテムであった。

そして1978年にアメリカで創設されたUGG Australiaは、この防寒性に優れたムートンブーツをスタイリッシュにアレンジすることに成功し、ムートン素材のフットウェアのナンバーワンカンパニーとして着実にブランド認知度と売り上げの両方を向上させ、現在に至っている。日本でも同ブランドの着用率はここ数年でかなり高くなっているが、本国アメリカと比較すると、まだまだ遠く及ばない。アメリカでは秋冬シーズンだけでなく、春夏でも同社のプロダクトを履いている人が多いのだ。それはムートンが保温性に優れているだけでなく吸湿速乾性に優れていて、汗をかいてもすぐに乾燥させ、常にサラッとした状態を保つからである。それが証拠に足裏のあたるフットベッド部分にムートンを使用したビーチサンダルは高温多湿の日本でも快適な履き心地をキープし、良好なセールスを記録していた。

そしてアメリカで注目すべきは女性だけでなく、男性の着用率が日本よりもかなり高いということ。今回紹介したアスコットのようなスリップオンシューズやローカットブーツを履いている人を本当に多く見かけるのだ。筆者もアスコットの愛用者だが、その履き心地はスニーカーには劣るものの、一般的なドレスシューズやカジュアルシューズよりも上である。2014年は日本でもUGGを始めとしたムートン素材のフットウェアを履いている人が、現在よりも確実に増えている気がしてならない。

※写真のシューズは著者の私物です。

NAVIGATOR
南井正弘

47歳/愛知県出身/靴に詳しいフリージャーナリスト
「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日のランニングを欠かさないファンランナー。

オニツカタイガーのタイガー コルセア

ダナーのダナーライト


FEATURED ARTICLES

Mar 2nd, 2017

ICON OF TRAD

Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。

サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...

Mar 9th, 2017

HOW TO

ジップアップ パーカ Vol.01

氷雪地帯で生活をしていたアラスカ先住民のイヌイット民族が、アザラシやトナカイなど、動物の皮革でフード付きの上着(アノラッ...

Oct 20th, 2016

HOW TO

ストライプ スーツ Vol.02

Vol.01のディテール解説に続き、Vol.02ではストライプスーツを着こなすスタイリングを提案。Vゾーンのアレンジで印象はぐっと変え...

Mar 2nd, 2016

ICON OF TRAD

Vol.39 女性がほんらい男物だったトレンチコートを着るとき

そもそも男性服であったトレンチコートは、どのようにして女性たちの間に浸透していったのだろうか?

Aug 25th, 2016

HOW TO

ネイビーブレザー Vol.01

アメリカントラディショナルファッションの代名詞ともいうべきネイビーブレザーは、日本では《紺ブレ》の愛称で親しまれている。...

Jan 12th, 2017

HOW TO

トレンチコート Vol.01

トレンチコートが生まれたのは第一次世界大戦下でのこと。イギリス軍が西部戦線での長い塹壕(=トレンチ)に耐えるために、悪天...


YOU MAY ALSO LIKE