アメリカにおいて知る人ぞ知る名靴がオールデンだとすれば、どちらかいうと知名度が高い存在であると思われるのが、アレンエドモンズである。マサチューセッツ州を本拠地とするスポーツシューズブランドに10年勤務したが、シューズ関連だけあって、アメリカ人スタッフのなかにはレザーシューズに造詣の深いスタッフもちらほらいた。そんな彼らに「オススメのレザーシューズは？」と聞くと、必ずといっていいほど勧められたのが、アレンエドモンズだった。

彼らが同じマサチューセッツ州のミドルボロウに本拠を置くオールデンではなく、ウィスコンシン州のベルギーという小さな町に本拠を置くこちらを勧める理由は、なんといってもその知名度の高さからだろう。このブランドの特徴を一言で表すとすれば、「足馴染みがよい」ということ。それは中足部に一般的な紳士靴では使用されている鉄製のスチールシャンクを用いず、ソール内部に コルクを敷き詰めているから。

この独特な構造により、本格的なレザーシューズとしては比類なきソールの屈曲性を確保することに成功しているのである。すなわち業界用語でいうところのソールの返りがいいのだ。伝統的な製靴方法にこだわるシューズマニアはオールデンのほうを評価する傾向にあるが、いままでどのブランドのレザーシューズを履いても足が痛くなったり、普段スニーカーばかり履いていて、レザーシューズに慣れていないという人には最適な選択肢となるだろう。

「とにかく履き心地のよい靴が欲しい」そう思ったならば、アレンエドモンズのシューズを試す価値があるはずだ。アレンエドモンズのオンリーショップはアメリカの大都市であれば至るところで見かけるし、ニューヨークでいえばブルーミングデールス、メイシーズ、西海岸やハワイではノードストロームなどのデパートでも取り扱いがあるなど、少なくともオールデンよりも圧倒的に入手しやすいブランドであることは間違いない。ちなみにその履き心地の良さからロナルド・レーガン、ブッシュ親子、ビル・クリントンといったアメリカの歴代大統領もアレンエドモンズの顧客だったという。