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Reading the leading shoes
「西のコンバース、東のケッズ」この広告コピーが雑誌ポパイなどで見られたのは、1970年代末期から80年代前期である。
本当にこのような状況があったのかというと、当時アメリカに住んでいた人に聞くと答えは「NO!」なぜならケッズはコンバースよりも古いブランドで、創業からしばらくは最も高いシェアを誇るスニーカーブランドであったが、この広告が出稿された当時は会社の規模はコンバースのほうが圧倒的に大きく、ケッズと対等という関係ではなかったという。
さらに自分がスポーツシューズ業界に従事するようになり、この頃ケッズの代理店に勤務していた人に聞いてみたところ「当時の社長と広告代理店が考えた創作。でもL.A.よりもN.Y.でケッズをたくさん見かけることが多かったから、全くのウソではないよ(笑)」とのことだった。
ケッズというと個人的に思い出があるのが生産国。自分が高校生だった81年~83年当時、コンバースのオールスターはアメリカ製が基本だったが、ケッズやプロケッズは韓国製が大半。プロケッズにおけるオールスター的な存在はロイヤルであったが、そのほとんどが韓国製で、USAバージョンも用意されたものの、極少数でロイヤルUSAと区別され、価格も韓国製のロイヤルよりも高かった。
そしてプロケッズで忘れてはならないのが、スポーツシューズでは珍しいコロンビアで生産されたアイテムが存在したこと。モデル名で言えば〈ニューヨーカー〉や〈ロイヤルプラス〉がそれであり、後者は90年代に入って突如ブレークすることとなる。
そのブレークの理由はコロンビアの工場の操業停止の噂を聞いた藤原ヒロシ氏が「ラストコロンビア」という愛称をこのモデルに贈り、その結果プロケッズのロイヤルプラスに一躍注目が集まることとなったのだ。当時プロケッズをオペレートする会社は筆者の勤務する会社の目と鼻の先にあったのだが、そこの社員に聞いたエピソードは今も忘れない。突如としてコロンビアから大量のスニーカーが輸入されることとなったから、日本の税関は韓国や台湾、中国といった国から輸入されるスニーカーよりも通関にかなり時間をかけたらしい。今となっては笑い話だが、税関はスニーカーを隠れ蓑とした違法薬物の密輸を本当に警戒したのである。
ちなみに現在もプロケッズのロイヤルプラスは展開されているが、日本で正規展開される現行モデルはMADE IN JAPAN。製靴技術の高い日本の工場で生産されるこのモデルはスニーカーフリークからの評価も高く、根強い人気をキープしている。
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南井正弘
47歳/愛知県出身/靴に詳しいフリージャーナリスト
「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日のランニングを欠かさないファンランナー。
テバ オリジナル ユニバーサル
アイランド・スリッパのアイランドプロ