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Reading the leading shoes
日本におけるランナー人口は900万人を数えるなど、ランニングはブームを超越し、ライフスタイルの一部としている人も少なくないが、今から30年以上前も日本においてランニングが注目されることがあった。それは1976年の雑誌「POPYE」の創刊により、日本の都市部において西海岸カルチャーが注目を集め、その流れでジョギングがブームとなったのである。その人気はストリートシーンにも及び、ナイキ、アディダス、ブルックスといったブランドのランニングシューズは街でもポピュラーな存在となり、特にアメリカや西ドイツといった海外製のシューズはステータスシンボルとなった。カジュアル用途でのランニングシューズ人気は80年代も継続したが、1983年頃になると派手なカラーコンビネーションのアッパーに大きめのブランドストライプを配したデザインは飽きられ始め、代わって台頭し始めることになったのが、ベーシックなアッパーデザインにホワイトレザーのマテリアルを組み合わせたテニスシューズである。
その当時高い人気を誇ったテニスシューズは、アディダスのスタンスミス、トレトンのナイライトやXTL、K・SWISSのクラシックであり、特にK・SWISSは大学キャンパスでは圧倒的な支持を集めた。その理由は、当時大学生の間でテニスが大流行しており、頑丈な登山のザイル素材をブランドストライプに使用したK・SWISSのシューズは、シンプルなデザインでありながらもサイドサポート性能に優れ、アウトソールのラバーも厚めだったので耐久性も高く、テニスコートとタウンでの使用の両方に対応していたからである。K・SWISSはスイスからアメリカのカリフォルニア州に移住したアート・ブルナーとアーネスト・ブルナー兄弟が創設したブランド。カリフォルニアは彼らの母国語のドイツ語で「Kalifornien」と綴られ、そのイニシャル「K」と彼らのルーツである「Swiss」を合わせたのがブランド名の起源と言われ、1966年に登山靴からヒントを得たDリングや、つま先部分の耐久性を高めたスリーパネル構造を採用した最初のテニスシューズを発表して以来、機能性に優れたプロダクトをリリースし続けてきたことで知られている。
自分も当時の大学生の例に漏れずK・SWISSのシューズを手に入れたが、この頃からシューズ選びには天邪鬼なところがあったようで、他の学生とは異なり、オールブラックでヒールが高くなったコーチと呼ばれるタイプをセレクト。ラケットボールと呼ばれるブラウンガムラバーのアウトソールを装備したタイプとともに、一般的なタイプよりも流通量が少なかったことからキャンパスで注目を集めたのは懐かしい思い出。現在もK・SWISSのクラシックタイプはホワイト/ホワイトやラケットボールタイプはラインアップに名を連ねているが、コーチタイプは現在では入手不可能なようである。先日、久しぶりにホワイト/ホワイトのクラシックを履く機会があったが、昔ながらのデザインを継承しつつ、アウトソールなど細部のスペックを変更し、軽量性を向上させるなど、単に過去のプロダクトを復刻させるだけでなく、時代に合わせて履き心地をしっかりとグレードアップさせている点が印象的であった。
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南井正弘
47歳/愛知県出身/靴に詳しいフリージャーナリスト
「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日のランニングを欠かさないファンランナー。
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