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Reading the leading shoes
今でこそ1000足を超えるスニーカーを所有しているが、1984年に愛知から上京するときに持ってきたスニーカーはたったの6足だった。ナイキのレザーコルテッツDX II、コンバース オールスターHIのホワイト、コンバースオールスターOXのブラックとレッド、トップサイダーのCVOホワイト、そしてコンバースのスキッドグリップだった。最後のスキッドグリップは、当時のコンバースのラインアップでは知る人ぞ知るといった存在。
細身のシルエットはバルモラル(内羽根)デザインを採用したこともあり、ヨットの上で使用するためのデッキシューズと勘違いされることもあったが、元来はテニスシューズとして開発され、そのヘリンボーンアウトソールはクレーやターフといったサーフェスのテニスコートで高いグリップ性を発揮する。さすがskid(滑り止め)grip(しっかりと掴む)というモデル名を冠するだけのことがあったが、自分がこのシューズを購入した1983年当時は、このシューズをテニスコートで履こうという人は少なかっただろう。それ以前に当時の日本市場でスキッドグリップの存在を知っていた人はかなり少なかったはずだから。
自分がこのシューズを買った理由は、ずばりその価格。この頃コンバースオールスターHIが7800円、アディダスのスーパースターが15500円と、現在のスニーカー価格と比較しても高めの価格設定だったのだが、夏休みに模擬試験を受けに高校に行った帰りに行きつけの靴屋に寄ると、「掘り出しモノがあるんだけど」と店主が薦めてきたのがスキッドグリップで、店主が「3500円でいいよ!」と言ってくれたので、購入を決意したのだ。
輸入スニーカーが高価だったこの当時、MADE IN USAのモデルがこの価格で購入できることは滅多になかったのである。しかしながら大きな問題が一点。当時自分はコンバース オールスターOXはUS7(25.5cm)、HIは着脱を容易に行うことを考えてUS7.5(26.0cm)を選んでいたのだが、このスキッドグリップの在庫はUS8(26.5cm)が1足のみ。試履きするとオールスターよりも横幅が狭く、思ったほどではないが、やっぱり大きい。購入を躊躇していると店主が「このインソールを入れたら、ピッタリとフィットするよ!インソール代はサービスするから」と言い、ピッタリな形に切り、シューズの中に入れた。その状態で履いてみると、確かにサイズはピッタリ。「じゃあコレください!」と3500円を支払った。この瞬間スキッドグリップは自分にとって、記念すべき1足となった。なにが記念すべきかと言うと、コンバースの青箱と呼ばれる、ジャックパーセルにも採用されていたブルーの蓋の箱に入ったシューズを買ったことと、自分が履くことを目的としながら、自分のジャストサイズではないシューズの購入が初めてだったということ。1983年のあの夏以来、インソールで調節しなければならないスニーカーを購入したことは一度も無い。あれから30年が経過しようとしているが、街でスキッドグリップを履いている人を見るたびに、暑かったあの夏の日を思い出す。
※掲載写真は2012年12月に発売された商品です。
コンバースインフォメーションセンター
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南井正弘
47歳/愛知県出身/靴に詳しいフリージャーナリスト
「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日のランニングを欠かさないファンランナー。
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