Reading the leading shoes

スペルガ 2750


Apr 17th, 2013

Text_Masahiro Minai

昔からとても興味があったのになかなか行くことの出来なかった国、それがイタリア。サラリーマン時代の上司がミラノに何年か赴任していて、一時帰国のたびに「いつになったら遊びに来るんだ?」と言ってくれていたのに結局その間には滞在することはできず、初めて訪問することができたのは2000年の4月のこと。

当時、現地でパスクアと呼ばれるイースターの時期に当たったため、休業しているショップも多く、ショッピングに関してはあまり満足することはできなかったが、とある日本食レストランで大阪とソウルの衣類卸会社の社長二人組との出会いがあった。

「ミラノでショッピングできないなら他の遊びをしよう!」という二人に便乗し、メルセデスベンツEクラスのハイヤーでヴァッレ・ダオスタ州とスイス国内のイタリアの飛び地であるカンピョーネ ディターリアのカジノやスイスのアウトレットモールであるフォックスタウンへ行った。高級リゾートとして知られるコモ湖でボートを貸し切り、ジャンニ・ヴェルサーチやハリウッドスター所有の湖畔の別荘も見学。さらにコモ地区随一の高級ホテルであるヴィラデステのレストランでステーキの昼食をご馳走になったりと、”これぞ大名旅行”というのに便乗させてもらい、楽しいひとときを過ごした。

数少ないショップ営業日にはVOGUE ITALIAの編集長フランカ・ソッツァーニの姉であるカルラ・ソッツァーニが経営する10 CORSO COMO(ディエチ コルソコモ)の独自のセレクションが気になり、プラダスポーツのミリタリージャケットやヴェスパの写真集などを購入したのも懐かしい思い出だ。私が10年間スポーツシューズブランドにいたこともあって、イタリアでもいくつかのスポーツ店を訪れた。イタリアのスポーツショップは、築百年は軽く経過しているような堅牢な建物が多く、一階と地下を占めるのが典型的な店構え。

スポーツシューズ、テニスラケット、サッカーボール、スキー板などと一緒に、ラコステのポロシャツや上質なウールのセーター、BarbourやBelstaffのアウターなども販売していて、日本のスポーツ店よりもカジュアルかつ上品な印象であった。

そんなイタリアのスポーツショップのシューズ売り場で気になったのがスペルガのキャンバススニーカー。スペルガはイタリア発祥のブランドであり、一時はタイヤで有名なピレリと同グループだった時代もあって、2750という定番モデルが日本でも人気があった。当時訪れたスポーツショップでは2750の豊富なカラーバリエーションが展開されていたのに加え、日本未展開デザインもディスプレイされていた。

元々コンバースやケッズといったアメリカンブランドのキャンバスシューズと比較すると洗練された印象のあるスペルガであるが、こういった売り場に置かれることで、その思いはより強いものとなったし、翌年訪れた青の洞窟で有名なカプリ島では、”いかにもお金持ち”といった雰囲気の人々の足元を、スペルガの2750が飾ることは珍しくなかった。そのときに思ったのは「キャンバスシューズなのに、ヘタなドレスシューズより高級感があるのがスペルガの2750である」ということ。カーシューやトッズのドライビングシューズとともに、ジャケットにカラーパンツやショーツを組み合わせたリゾートテイストのコーディネートに最高にマッチするのが、このモデルなのである。

NAVIGATOR
南井正弘

47歳/愛知県出身/靴に詳しいフリージャーナリスト
「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日のランニングを欠かさないファンランナー。

トップサイダー デッキシューズ

オールデン モディファイドラスト コードバンVチップ


FEATURED ARTICLES

Mar 2nd, 2017

ICON OF TRAD

Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。

サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...

Mar 9th, 2017

HOW TO

ジップアップ パーカ Vol.01

氷雪地帯で生活をしていたアラスカ先住民のイヌイット民族が、アザラシやトナカイなど、動物の皮革でフード付きの上着(アノラッ...

Oct 20th, 2016

HOW TO

ストライプ スーツ Vol.02

Vol.01のディテール解説に続き、Vol.02ではストライプスーツを着こなすスタイリングを提案。Vゾーンのアレンジで印象はぐっと変え...

Mar 2nd, 2016

ICON OF TRAD

Vol.39 女性がほんらい男物だったトレンチコートを着るとき

そもそも男性服であったトレンチコートは、どのようにして女性たちの間に浸透していったのだろうか?

Aug 25th, 2016

HOW TO

ネイビーブレザー Vol.01

アメリカントラディショナルファッションの代名詞ともいうべきネイビーブレザーは、日本では《紺ブレ》の愛称で親しまれている。...

Jan 12th, 2017

HOW TO

トレンチコート Vol.01

トレンチコートが生まれたのは第一次世界大戦下でのこと。イギリス軍が西部戦線での長い塹壕(=トレンチ)に耐えるために、悪天...


YOU MAY ALSO LIKE