他のテニスシューズと一線を画す
イタリアメイドの実力派!
筆者がスポーツシューズブランドのプロダクト担当から、フリーライターへと転身して16年ほどが経過した。最近では執筆だけでなく、今後のトレンド予測のようなコメントを求められるようになった。
「2015年のスニーカーマーケットはどうなりそうですか?」と聞かれることは多いが、その度に「レトロランニングが主役であることは今年も変わりない」と答えている。そしてこう付け加えている。「クラシックなテニスシューズがカジュアルシーンで人気となるでしょう」と。
クラシックデザインのテニスシューズで有名なのは、なんといってもアディダスのスタンスミス。あとは、かつてウィンブルドンやフォレストヒルズのネーミングで展開されていたモデルをベースにしたナイキのテニスクラシックも根強い人気をキープしている。
それに加えてボリス・ベッカーの着用モデルをプーマが復刻し、マッチというシンプルなテニスシューズをラインアップとして揃えるなど、2015年春のこのマーケットは面白くなりそうだ。そんなクラシックなテニスシューズマーケットに参戦したのは、日本では新顔だがイタリアでは著名な老舗ブランド。それがパントフォラ・ドーロだ。
パントフォラ・ドーロは、イタリア語で「黄金のスリッパ」を意味するブランド。1886年にイタリア中部のマルケ州アスコリで創業。創始者の靴職人エミディオ・ラザリーニは仕事の後にレスリングを楽しむ日々を送っていたが、当時のシューズは足にフィットせず不快だったことから、「ならば自分で作ったらいい!」とレスリングシューズを自らの手で製作。
こうして完成したシューズはピッタリ足にフィットし、レスリング仲間から続々と注文が舞い込むこととなった。この後サッカーシューズにも参入した同ブランドは、従来の硬い皮革で作られるという概念を覆し、サッカープレイヤーに比類なきボールコントロール性を提供することとなった。
パントフォラ・ドーロに魅了されたプレイヤーには、ガリンシャ(ブラジル)、ヤシン(ソ連)、クライフ(オランダ)、ファルカン(ブラジル)といった歴史的名選手の名前も含まれている。
パントフォラ・ドーロの存在を筆者が知ったのは1990年代のこと。
渋谷にあったマニアックなサッカーグッズショップで、このブランドのトレーニングシューズを見つけた。突き上げの少ない構造のアウトソールは、成長途上の少年プレイヤーの足に優しく、イタリアでは数多くのユースクラブの指定シューズになっていたという。
その後、2000年にイタリアを訪れるとフィレンツェのスポーツ店で件のトレーニングモデルと再会した。現在では、スポーツシューズ以外にも上質な素材を使用したカジュアルシューズも数多く展開している。
このテニススタイルのモデルもそのひとつで、他ブランドのどんなモデルよりも高級感にあふれている。デニムやチノパンツのようなカジュアルなボトムとのコーディネートはもちろんのこと、人気上昇中のホワイトデニム、ウールパンツのようなちょっぴりドレッシーなボトムとの相性もいいだろう。「スニーカーの安っぽい雰囲気がちょっと…」と敬遠してきたファッションフリークも納得の出来栄えだと思う。
(問い合わせ先)
カメイ・プロアクト株式会社
電話:03-6450-1515
価格:30,000円+税