Reading the leading shoes

リーボック インスタポンプフューリー


Mar 25th, 2015

text_masahiro minai
photo_kazumasa takeuchi

古さを全く感じさせない
唯一無二の斬新なデザイン!

リーボックのインスタポンプフューリーが人気だ。このシューズと筆者の出合いは今から22年ほど前になる。当時日本の総代理店であるリーボックジャパンに勤務していてプロダクトの部署にいたので、仕入れる立場にいたが、正直言ってこんなロングセラーになるとは全く思っていなかった。

最初は1994年モデルのサンプルとして、1993年に初めて見たのだが、日本古来の下駄のように土踏まず部分のミッドソールが無い形状は、斬新を通り越して「これで本当に大丈夫なのか?」と不安に思ったものだ。

それ以前にも、土踏まず部分の安定性と強度をもたらすテクノロジー「グラフライト」は登場していたが、このシューズのように土踏まず部分のミッドソールマテリアルをすべて取り除いたデザインは存在していなかったからだ。

実際にインスタポンプフューリーは入荷すると18,500円という価格設定もあって、それほど売れなかったのが、個人的にはシトロン(蛍光イエロー)とレッド、ブラックを組み合わせたカラーリングは嫌いではなく、結局のところ購入した。

そして翌1995年になると状況が大きく変わる。エアマックス’95が日本のストリートファッション誌で集中的に紹介されると、カジュアルシーンで大ブレイク。エアマックス狩りなどの犯罪も発生し、ある意味社会現象となった。そして、このエアマックス’95のライバルモデルとして挙げられたのがインスタポンプフューリーであったのだ。

それまで会社に滞留していた在庫は一掃されたのはもちろんのこと、流通在庫も完売。エアマックス’95のオリジナルカラーの30万円オーバーには届かなかったが、フューリーのファーストカラーも10万円以上の価格で取引されることも珍しくなかった。

そんなファーストカラーの陰に隠れていたのがセカンドカラーのブルー/ブラック。ファーストカラーの派手なカラーに比較すると地味なカラーであったことに加え、ファーストカラーの受注状況が芳しくなかったために、このモデルの発注数は極端に少なかった。そのため、歴代インスタポンプフューリーのなかでも知る人ぞ知る存在となった。

しかしながらこのセカンドカラー、実は様々なコーディネートにマッチするスグレモノなのだ。濃い色目のデニムやベージュのチノパンツ、スウェットパンツ等々、あらゆるボトムスと相性がよかった。一方でファーストカラーのシトロン/レッド/ブラックは、持っている人はわかると思うが、意外とコーディネートが限定されるのである。

昨年の完全復刻で初代スペックの復活によりブルー/ブラックも登場したが、街で見かけるスニーカーフリークたちがカッコよく履きこなしているのを見かけると、かつて自分が関わった時代のプロダクトだけに、なんだか嬉しい。

(問い合わせ先)
リーボック アディダスグループお客様窓口
電話:0570-033-033
価格:17,800円+税

Navigator
南井 正弘

1966年 愛知県西尾市生まれ/フリージャーナリスト、ランニングギア・マスター編集長 スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

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