妥協なき素材使いで知られる
コンバースのロングセラー
意外と知られていないことだが、牛皮革や豚皮革といった種類の天然皮革は、あくまで食肉の副産物である。よって食肉の需要と天然皮革の生産量は正比例するので、急に天然皮革の需要が増加しても、それと同じようなペースで肉が食べられない限り、それに応えることはできない。
どうしてこんなことを書いたかというと、アッパーに使用する天然皮革の品質に徹底的にこだわり、それ故に短期間しか製造できなかったバスケットボールシューズが存在したからだ。それが現在もストリートシーンで根強い人気をキープしているコンバースのワンスターである。
このモデルはNBAで活躍するプレーヤーを始めとした上級プレーヤーの激しい動きにも対応する高機能モデルとして1974年に登場。最高レベルのバスケットボールシューズとして、NBAプレーヤーだけでなく、当時そのライバルとして存在したABAに所属するプレーヤーを含め、8割以上のプロ選手に着用されていたという。
そんな評価の高かったワンスターであるが、前述の通り天然皮革を始めとして、素材に最高レベルのものを使用していたので、急に需要が増えても、それに対応することが出来なかった。ワンスターのアッパーバリエーションにはスムースレザーとスエードが存在していたが、この当時コンバースは満足できるクオリティのレザーを探し求め、ストックし、ある一定の量が確保できた段階でワンスターを製造するという手法でプレーヤーの欲求を満たそうとしたが、高まる需要に見合った数量を供給することなく数年の生産で廃番となってしまった。
それは材料確保の難しさとともに、より機能性を高めることに成功した新製品、すなわちスターロゴにシェブロンラインをアッパーサイドに配し、ヴァルカナイズ製法よりも軽量なユニットアウトソールを採用したプロレザーが1976年に登場したからであり、これ以降トッププレーヤーはこのプロレザーをセレクトすることとなったのである。
そんなワンスターは、1980年代以降、日本のファッションシーンでは「幻の一つ星」としてファッションフリーク、スニーカーマニア垂涎の一足として知られていたが、基本的に並行輸入でしか手に入らなかったこともあり、日本企画で復刻モデルが国内生産されるまでは本当に希少な存在であった。
上質なアッパーレザーと昔ながらのヴァルカナイズド製法を組み合わせたMADE IN JAPANの復刻ワンスターは、現在まで根強い人気をキープ。最近ではアジア生産のワンスターもラインアップされているが、こちらも厳しい選択眼を持つスニーカーフリークも納得の出来栄えとなっている。
このように現在もカジュアルシーンで安定した人気のワンスターは、ツイードのジャケット、カシミアのVネックセーター、プレスの効いたチノパンツを組み合わせたようなスマートカジュアルのコーディネートにもピッタリ。ワンスターに使用しているアッパーレザーはスムースレザー、スエードともに高品質であり、並みのカジュアルシューズ、ドレスシューズよりもコーディネートを上品な雰囲気へと導いてくれるだろう。
コンバース インフォメーションセンター
価格:17,000円+税
お問合せ/電話:0120-819-217