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ウルヴァリンの1000マイルブーツ


Sep 24th, 2015

text_masahiro minai
photo_kazumasa takeuchi

ベーシックな編み上げデザインはドレッシーな着こなしにもマッチ!

ここ数年のファッションシーンはスニーカーが絶好調だ。レトロランニングと呼ばれるランニングシューズの復刻版やヴァルカナイズド製法のクラシックなキャンバスシューズからハイテクな最新モデルまで、あらゆるタイプのスニーカーが良好なセールスを記録しており、その人気は老若男女を問わない。

2000年代中期から末期にかけて、女性がほとんどスニーカーを履かない時代があったことが遠い昔のようだ。一方でこのようなスニーカー全盛時代においてシューズショップの片隅で肩身の狭い思いをしているアイテムが存在している。それがワークブーツだ。

1990年代初期や末期のように、かつては日本でもワークブーツが若者のマストアイテムだった時代があり、6インチの編み上げタイプが最もポピュラーだった。さらにエンジニアブーツのようなハードなデザインも人気となり、ブーツを履いた若者たちが街を闊歩する姿が頻繁に見られたものである。

その当時から比較すると現在のワークブーツの存在感は薄いが、一部復活の兆しがある。それは適度にドレッシーな雰囲気を感じられる編み上げのプレーントウデザインのブーツが安定的な売り上げを記録しているというからだ。

レッドウイングでいえば創業者の名前から命名されたベックマンブーツ、ウルヴァリンであれば1000マイルブーツがそれにあたり、一般的なワークブーツと比較するとゴツさはあまりなく、スッキリとした印象なので、ウールパンツのようなドレッシーなボトムスとも相性がよい。

そしてウルヴァリンの1000マイルブーツは「1000マイル歩いても壊れない」という耐久性の高さからモデル名がネーミングされたように、その堅牢性と快適な履き心地を兼ね備えている点も大きな魅力だ。

オリジナルは1914年に登場し、当時のワーカーから「ソールとアッパーは鋼のように頑強で、履き心地はシルクのように柔らかい」と称賛された。そんな歴史あるアイテムは2009年に復活、アッパーにホーウィン社のクロムエクセルレザーを使用するなど、厳選された素材使いとクリーンなシルエットがバイヤーの厳しい選択眼をクリアし、現在では世界中の有力ショップで展開されている。ファッションフリークからも要注目の存在なのだ。

筆者は去年オールデンのインディブーツを、ここ数年人気のスウェットパンツと組み合わせてとあるレセプションを訪れたら「その組み合わせ面白いですね!」と何人かのファッション関係者にお褒めの言葉をいただいたが、この1000マイルブーツをスウェットパンツと組み合わせるのも面白いと思う。

その際トップスはラフすぎるとバランスがよくないので、ボタンダウンシャツにツイードジャケットやネイビーブレザーあたりがマッチしそうだ。もちろんデニムやチノパンのようなベーシックなボトムスとも相性がよいので、あらゆるシーンで活躍してくれるだろう。

価格:55,000円+税

お問い合わせ
株式会社 丸紅フットウェア
電話:03-3655-0085

Navigator
南井 正弘

1966年 愛知県西尾市生まれ/フリージャーナリスト、ランニングギア・マスター編集長 スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

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パラブーツのミカエル


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