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キーンのデュランド ミッド ウォータープルーフ


Dec 2nd, 2015

text_masahiro minai
photo_kazumasa takeuchi


アメリカの製靴技術を継承する高機能なハイキングブーツ!

政府の観光客誘致運動、円安の影響もあって日本への観光客は増加傾向にあるが、それでも全世界のランキングで見ると、日本の国際観光客到着数は約1341万人(2014年)、それは世界で22位とまだまだ一層の努力が必要だ。

アジアでは中国や香港、マレーシアとともにタイが上位に位置している。タイといえば観光名所も多く、物価が安いことから老若男女問わず人気となっており、筆者も1年に1~2回のペースで訪れている場所だ。

そしてこの国でよく見かけるのが欧米からのバックパッカーなのだが、彼らの足元はスニーカーよりもハイキングブーツのほうが多いのだ。これには理由があって、重い荷物を担いで立ったり歩いたりするバックパッカーのシューズは、クッション性や軽量性よりも、安定性が求められるからである。

11月の中旬、オレゴン州ポートランドにあるKEENの本社と工場を訪れた。つま先の保護性能がウリのフットウェアを数多く揃えたこのブランドは、創業モデルのニューポートを始めとして、どちらかいうとサンダルタイプが有名であったが、最近では魅力的なシューズ、ブーツタイプも数多くラインナップしている。

そんなKEENのフットウェアコレクションにおいて、個人的に特に注目しているのがこの「デュランド」である。このモデルは上質なアッパーレザー、防水透湿性能に優れたKEEN.DRYを組み合わせた高機能ハイキングシューズ。今回の5泊7日のポートランド滞在中はこのシューズで過ごした時間が最も長かったが、土砂降りの雨でもソックスが濡れることはなかったし、適度な重さのこのモデルは、振り子の役目をしてくれて、自然に足が出るような感覚を感じ、長時間の歩行でも疲れ知らずであった。

そしてこのシューズで忘れてはならないのが、現在もポートランドエリアで製造されているということ。足を包むアッパー部分の縫製はアジアで行われているが、快適な履き心地、美しいフォルムといったシューズの機能性に大きく影響する最終的な製靴作業はポートランドのダウンタウンからそれほど遠くない場所で行われているのだ。

これは「できる限り消費地と生産地は近いほうがいい!」というローリー・ファーストを始めとした同社エグゼクティブの考えで、アメリカの製靴技術はしっかりと次の世代へと受け継がれているように思えた。

アウトドアシーンで着用する場合はもちろん、厳選された高級素材を使用していることもあり、KEENのプロダクトはスマートカジュアルやドレスダウンしたスーツスタイルにもピッタリとマッチ。

このデュランドというシューズだが、個人的にお勧めしたいのがハリスツイードのスポーツジャケットとの組み合わせ。デザインこそ本格的なハイキングブーツだが、そのベーシックなデザインは現代のフットウェア業界のトレンド傾向をしっかりと押さえ、洗練された印象もあるので、意外と上質な素材のジャケットとも相性がいいのである。

価格:24,000円+税

お問い合わせ
キーン・ジャパン
電話:03-6416-4808

Navigator
南井 正弘

1966年 愛知県西尾市生まれ/フリージャーナリスト、ランニングギア・マスター編集長 スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

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