Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...
HOW TO
数あるジャケットの中でも、シックでいてオーセンティック、品格のある柄といえばヘリンボーンだ。ヘリンボーンとは直訳すると「ニシンの骨」という意味。山形と逆山形が交互に入り混じった模様の綾織物で、葉の形が杉の葉に似ていることから、杉綾と呼ばれることもある。光の反射によって、上品な光沢感と高級感が出るのもこの織りの特徴。テーラードジャケットのひとつとして、アイビーファッションに取り入れられると次第に着こなしは洗練を極め、メンズファッションに欠かせないアイテムになった。アメトラの中では、特にグレーのヘリンボーン柄が定番で好まれる傾向にある。
ITEM TIPS
1. Pocket
曲線を使って構成された、バルカポケット
イタリア語で「船」という意味を持つ「バルカ」。バルカポケットとは、舟底のような曲線を描いたポケットを指し、胸板のカーブに沿った縫製が特徴。通常は平行に縫製されることが多い中で、その自然なフィット感は全体のシルエットと調和する。
2.Forward shoulder line
日本人の体型にフィットするナチュラルショルダー
ナチュラルショルダーとは、体型に合わせて、自然な肩のラインになるよう構築された仕立てのこと。猫背気味な日本人の体型に合わせた「前肩仕立て」は肩のラインをやや斜め前にすることで、丸みのある自然なシルエットを作り出す。見た目に美しく、着心地も良い。
3. Material
暖かく上質な生地で、秋冬らしい仕立てに。
縦糸に高級ウール素材super120’sの紡糸を使用し、横糸にふくらみのあるカシミヤ混の紡糸を交織したことで、軽量で保温性に優れ、さらに滑らかな肌触りが実現。保形性が整っているので生地がヨレにくいのも特徴だ。
4. Surface design
遊び心あるブロークン・ヘリンボーン
ブロークン・ヘリンボーンとは、ヘリンボーンの柄が不揃いのものを指す。それはブロークン・ツイルと呼ばれる、折り目が斜めの畝のように見える綾織りを一定間隔で折り込んだ独特なパターンで構成され、オーセンティックなヘリンボーン柄と比較すると遊び心が感じられる。
5. Collar
ジャケットは肩で着る
ジャケットの着心地と表情は、肩で決まると言っても過言ではない。作りの良いジャケットほど、肩から首元にかけての曲線が美しくフィットするからだ。「のぼり」と呼ばれる立体的なシルエットを生み出すのが、丹念なプレスによる殺し襟という技法。その技法よって、ジャケットの重さが背中の中心にのり、軽い着心地も実現する。
6. Vents
センターベントですっきりとした印象に
アメリカントラッドの流れを汲むセンターベント。他にも、サイド、ノーベントと大きく分けて3つの種類がある。「ベント」は、乗馬時にジャケットの裾が引っ張られないように取り入れられたのが始まり。センターベントは一般的には3つボタンと組み合わせられるが、2つボタンとセンターベントも相性がよく、軽快ですっきりとした印象になる。
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