Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...
HOW TO
厚手の起毛生地で仕立てたフード付きのコートで、大きなヨークと張りポケット、トグルボタンをループにかけて留めるのが特徴。“ダッフル”という言葉はベルギーのアントワープ近郊にある町の名前で、この地でつくられた粗製の毛織物に由来する。第二次世界大戦で英海軍将校たちが艦橋に立つ自分を寒風から守るため理想的なコートはないかと探し見つけたのが、北欧漁師たちが漁のときに着ていたダッフルコートだった。現在では、学生の通学用としても取り入れられ、上質でトラディショナルなイメージも強く、様々なスタイルとの相性が良いベーシックアイテムとして不動の人気に。ワードローブにかかせない一着だ。
ITEM TIPS
1.Material
柔らかい質感と、保温性の高いリバーシブル素材
オーセンティックなダッフルコートは織りが密で両面仕上げのメルトン素材でつくられることが多く、硬めでずっしりと肉厚だが、今ならトラディショナルな生地感を残した、軽さのある素材にも注目したい。表地はヘリンボーン、裏地は薄手のウール地。表面は羽毛立たせることでなめらかな肌触りになり、裏地との間に空気を含んで保温性が高まる。
2. Toggle
漁師が着ていた時代の名残、トグルボタン
ダッフルコートに使われるトグルボタンの主材料は、木や水牛の角。片方の前身頃にトグルを配し、反対側に細い麻縄でループをつくり、その穴に引っ掛けるようにして留める。漁師に愛用されていた時代、かじかんだ手でも留めやすく、もしくは手袋をしたままでもすぐ取り外しができる工夫が施されている。
3. Buttons
アップデートされる、防寒機能
前身頃はトグルボタンと麻縄で留めるだけであった昔に比べると、今はジップやボタンで留められるものも多い。トラディショナルなデザインはそのままに、身頃裏に配したさりげないボタンがあれば保温性も高めてくれる。
4. Hood
防寒だけでなく、すっきりとしたバックシルエットに
ファッション史をたどると11世紀頃から使用されていたフード。ダッフルコートにおいては、漁師の作業着だったことから防水や防寒が目的とされていた。現代ではフードのたわみを解消し、バックシルエットをすっきりと見せるなど、<NEWYORKER>ではより洗練されたデザインとなっている。
5. Pockets
存在が際立つパッチ・アンド・フラップポケット
パッチ・アンド・フラップポケットは、フタ付きのアウトポケットのことを指し、本体生地とは別布でつくられたポケットを貼り付けている。雨蓋を意味するフラップは、雨風や砂塵を防ぎ、アウトドアやワークウェア向けの機能をもつ。
ピーコート Vol.02
ピーコート Vol.01