ニューヨークファッションといえば、リュクスな高級ブランド服から過激なストリートファッションまで、モードの最先端を思い浮かべるが、変わらない魅力のアメリカントラッドも綿々と支持されているのだ。
01『マイ・インターン』
ファッションサイト会社の女性社長と、インターンとして入社して来た70歳のシニア社員。最初は噛み合ない2人だったが、人生経験豊富なインターンにサポートされていくうちに、両者に信頼関係が生まれる。
ロバート・デ・ニーロが、今どきの会社の仕事の仕方にあたふたする様がおかしい。若い男性社員に「なぜ、みんなシャツの裾を出して着るんだ?」と聞きながら、自分は常にきっちりとトラッドなスーツ姿の彼。
『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイが、家族を持ち先端のファッション業界で活躍する。そのファッションはハイブランドからリアルクローズまで、基本的にはシンプルで良質なトラッドに通じるものだ。
02『ある愛の詩』
裕福な息子と庶民の娘が恋に落ちて結婚するが、彼女は白血病で死期が近づいていた。典型的な身分違いの悲恋だが、何も恐れない明るくて聡明な若い2人の純愛がまぶしく、ラストは号泣してしまう名作。
金持ちのボンボンのオリバーだが、ジェニーとの結婚を親に反対されて、彼は家族との縁を切る。最初は貧乏だったが、オリバーがついにニューヨークの法律事務所に職を得てこれからという時に、不幸は訪れた。
オリバーのキャンパス時代のアイビールックから、ニューヨークで仕事をするようになってからの正統的なトラッドと、同じくジェニーの学生時代からオリバー夫人になってからのコートの着こなしは、最高のお手本だ。
ニューヨーカーのトラッドな着こなしが最高にキマっている今回の2作品。この秋公開される『マイ・インターン』では、シニアのインターンを演じるデ・ニーロが、以前の会社勤めと同じようにきちんとしたトラッドのスーツで勤務する。片や、アン・ハサウェイはファッション業界の女性社長ということで、上質でシンプルなアイテムを実にさらりと着こなしている。余分な飾りを排除したデザインの洋服なのに、ファッショナブルに見える彼女と、コンサバなスーツなのに温かい人柄の彼。いつしか、デ・ニーロを頼りにするハサウェイが、白シャツに紺色のケーブル柄ニットという学生のトラッドのような格好で、彼に会いに行く姿が大人のかわいさ全開だった。
『ある愛の詩』は1971年に日本公開され、当時は主人公たちのファッションが日本でもアイビールックとして定着していた。アイビールックとは、米国で蔦(アイビー)が絡まるような歴史ある校舎の大学8校の学生が好んで着ていたファッションで、ボタンダウンのシャツに、スクールカラーのラインが入ったセーターなどのアイテムをコーディネートした。オリバーはハーバード大学のロースクール卒業だから、そのアイビールックのエリートだ。タータンチェックのスカートをはいたキュートなジェニーとともに、ニューヨークで働くようになると、そのファッションも大人のトラッドへとステップアップする。冬のニューヨークでチェスターコートを着たオリバーと、ラップコートの襟を立てて着たジェニーのかっこよさは、今観ても古くささは感じられず、トラッドの変わらない品格を漂わせている。
INFORMATION
- 『マイ・インターン』
- 監督・脚本:ナンシー・マイヤーズ
出演:ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ、ナット・ウルフ、アダム・ディヴァイン
配給:ワーナー・ブラザース映画
10月10日(土)、全国ロードショー
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- 『ある愛の詩』
- 監督:アーサー・ヒラー
脚本:エリック・シーガル
出演: ライアン・オニール 、アリ・マッグロー 、ジョン・マーレー – フィル、レイ・ミランド
Blu-ray発売中 2,381円+税
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