尾崎雄飛の珈琲天国

愛す珈琲・その参「持ち歩こう!」


Jul 1st, 2015

text_yuhi ozaki
photo_ari takagi

梅雨空。今年は割にしっかり降る雨に気をとられていたら、いつのまにか気温が上昇してきていた。
中休みみたいな晴れの日には、空高くから照りつける日差しに、いよいよ夏が近づいているのを感じる。

そうなってくると、街の喫茶店の店内には氷が回るカランコロンという音が響き始める。
みんながアイス珈琲を注文するから、店内みんなで奏でるオーケストラのような盛大な音になる。
カラン、コロン、キン
カラン、コロン
僕はあの音がとても好きだ。

夏の風物詩である風鈴は「音を聞いてカラダを冷やす」というコンセプトだけれど、
アイス珈琲には風鈴よりも高性能な点がふたつもある。
ひとつは、体内に入れることで実際的にカラダを冷やせること、
もうひとつは、持ち運んでいつでもその音を聞けること。

今回は、アイス珈琲を楽しく持ち歩ける便利でおしゃれなタンブラーを紹介したい。

まずはタンブラーを使って珈琲を持ち歩く、を広めた立役者〈スターバックスコーヒー〉の「ロゴコールドカップタンブラー」。
おなじみのコールドドリンク用のプラカップかと思って、よく見れば硬質プラスチック製の二重構造タンブラーというユニークな代物。
結露した水滴が表面につきにくいから、どこから湧くのかダラダラ流れだすカップ表面の水滴を紙ナプキンやハンカチで拭き続けるということにならず、スマートに持ち歩くことが出来る。
ボディが透明で中身が見えるから、見た目にも涼しいのだ。

続いてはシアトル発、アウトドアで飲み物を運ぶなら100年以上も水筒専業の〈スタンレー〉から変わり種「コーヒー・アンド・ティーマグ」を。
こちらも二重構造で結露しにくいのは前述と一緒だが、このタンブラー、ホットドリンクのことも想定していて、なんとフタの内側に紅茶の葉っぱを入れるための「茶こし」がぶら下がっている。
頑強なボディの作りと、ユニークな発想はさすがアメリカという感じだ。

つづいて「パタゴニア」のロゴがど〜んと入っているけど、こちら中身は〈クリーン・カンティーン〉の「ダブルウォール・インサレーテッド・マグ」。
高品質な食物用18−8ステンレスを使用していて、安全・清潔でボトル内に飲み物のニオイを残さないというのがここんちの売りだけど、
このシリーズはさらに真空断熱構造になっていて、中の飲み物の温度を保つことができる優れモノ。
ステンレスボディなので、氷の音がキレイに鳴るのも嬉しい。

最後はクールな顔のこちら。
ヤコブセン・デザインで有名なデンマークのブランド〈ステルトン〉の新作「トゥ・ゴー・クリック」というモノ。
こちらもダブルウォール構造で保温、保冷に優れているのだけど、驚くべきは上フタ部分をワンクリックすると、カップの端360度どこからでも飲むことができるということ。
密閉性もしっかりしているので、気楽に持ち運び、飲みたいときにワンクリック!して飲み口を探すこと無くサッと飲むというのが、とてもクールでスマートなのだ。

厳選して紹介したけれど、この他にも様々なメーカーからユニークなタンブラーが多数発売されている。
この夏は、機能的で見た目もクールなタンブラーを手に入れて、その音と味を愛すべく、アイス珈琲を持ち歩こう。

今月の一杯 【ノルディスカ・コンパニエットのエヌコー・ブランドニング】

スウェーデンはストックホルムの高級デパート・通称「エヌコー」の代表ブレンド。国王にも納めている豆である。
深めの煎りのブレンドゆえ、コクと苦味は期待どおり。なんだけど、鼻孔を抜ける薫りのスッキリ感と後味の良さに裏切られる、とっても上品なお味。
国王の名前がついた紅茶も美味しい、スウェーデンを代表する名店らしい一杯だ。

PROFILE
尾崎 雄飛

2001年よりセレクトショップのバイヤーとして勤務後、2007年に〈フィルメランジ ェ(FilMelange)〉を立ち上げる。2011年に独立し、フリーランスのデザイナーとして様々なブランドのデザイン、ディレクションを手がける。そして2012年1月に自身のブランド〈サンカッケー(SUN/kakke)〉をスタート。現在、様々な商品のブランディングも務めている。

愛す珈琲・その四「かんたんに作ろう」

とても暇な雨の日に観る珈琲の映画


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