食べて「発見」。

たまには仲間と、お洒落にギラギラな夜を!


Dec 17th, 2014

text_tomoko oishi
photo_kazuhiro fukumoto

“12月はとにかく忙しい”という人は多いはず。そして年末年始のバカンスを取り損ねて、ゆるゆるとお正月。年明けにまたいつもの日常に戻る、という方も多いでしょう。そんなちょっとおとなしめな流れにカツを入れる、刺激のあるホテルバーを今回はご紹介。ひと際お洒落なカクテルは、軽い飲み口でいてアルコールはちょっと強め。年忘れの飲み納めにも、年始の景気づけにも、こんな元気のいいバーはよいのではないでしょうか!

SHOP INFO
バー&ラウンジ ZATTA(ザタ)
TEL:03-5324-8039
住所:東京都新宿区西新宿6-6-2 ヒルトン東京2F
営業時間:11:00〜25:00(木金土祝前日〜27:00)
定休日:なし
席数:65席
HP:http://tsunohazu-hilton.jp/zatta/

目指したのは、いままでにない“CRAZYさ”

今年の10月31日、ヒルトン東京にこれまでのイメージを一新するバー、通称「ZATTA」がオープンしました。同ホテルのバーといえば、英国式で超クラシックな「セント・ジョージ バー」だけだったのですが、2Fのダイニングフロア「TSUNOHAZU(ツノハズ)」のオープンに伴い、新たなバー&ラウンジを企画。どうせやるなら既存とはまったく違うものを、ということで、ベクトルが真逆の遊び場をつくったそう。オープンまでの間、“COOLでCRAZYな場所に!”とオーストラリア人の副支配人ら中心メンバーが奔走した結果がこの「ZATTA」。その言葉どおり、完成したバーにはゲストのテンションを上げる空間と活気があるのです。コンセプトカラーは赤。真っ赤な壁はゲストのタガをほどよく外してくれます。

そもそも、2Fのダイニングフロア「TSUNOHAZU(ツノハズ)」が大々的にオープンする前、ヒルトン東京のイメージはどのようなものだったでしょう。私個人としては、いまも継続してある24時間営業の「マーブルラウンジ」です。ここで時間を気にせず、パフェを食べたりPCを開いて仕事をしたり、新宿に立ち寄った際、まったりとしたときを過ごせる場所という存在。デートやオンナ友達との飲みに選ぶ場所ではなかったのです。それは西新宿という、自分の拠点とちょっと離れた立地のせいもある。でもこの「TSUNOHAZU」、そしてそのなかの「ZATTA」は、そんなイメージをガラリと変えてくれるものでした。ヒルトン東京って、意外やこんなに遊べる場所なのだと。これは一度訪れてみないと分かりません。

ビビッドな色合いの内装にジャズのライブ、多く見られる外国人ゲスト。そこはまるで上海やシンガポールにあるラウンジのようなちょっとギラっとした雰囲気。ここなら、パートナーから彼女候補、年下から大人の女性まで、誘う相手のレンジも広い。また、男性同士、女性同士の客も多く、そういった意味でも行き甲斐があるでしょう。週末の夜などは特に、新たな大人の出会いの場となるのです。仕事帰りのビジネスマンも多く、下手に襟を崩さずにタイをしたまま飲む人、ジャケパン姿の自由業らしき男性など客層はさまざま。いずれにしろ、遊び場こそジャケットは着用してほしいものです。

このカクテルがあれば自動的に盛り上がる!

そんな「ZATTA」の醍醐味は、空間はもちろん、ユーモア溢れるカクテルの数々。“これが本当にカクテル?”と思う、既成概念をくつがえす一杯が揃います。そして奇抜なだけでなく、きちんと計算されたレシピは確かなもの。美味しさありきの、遊び心に溢れたプレゼンテーションなのです。

例えばこの“お茶漬けマティーニ”(¥1,650)は、土瓶に入れられ登場。お茶を入れるようにマティーニグラスに中身を注ぐと、湯気に似せたドライアイスとともに緑茶とウォッカ、柚子酒によるマティーニが出てきます。トッピングのあられの効果か、飲めばかすかにあの懐かしいお茶漬けの味がします。

右 “サンデーBBQ”(¥1,450)には小さなチーズバーガーがつき、グラスのなかはブラッディメアリー。普通のブラッディメアリーと違い、トマトジュースにBBQソースやブラックペッパーが効いていて、これは確かにチーズバーガーが食べたくなる。

左 “Night at the Cinema”(¥1,650)は一見すると映画館でうっているポップコーン。でも実はポップコーンの箱の下にはウォッカをコーラでわったカクテルが。ポップコーンを食べながらコーラを飲むというよくある状況をお酒で表現しています。

グループにおすすめなのが、シェアリングカクテルのひとつである“ZATTA パンチ”(¥5,000)。金魚鉢のなかは、梅酒、ジン、ペルノ、アップルジュースなどによるカクテル。八角や生姜、ローズマリーの風味も効いて、なんだかカラダに良さそうな味わい。「ZATTA」のカクテルの2014年のテーマは“薬草”で、このように薬草やハーブがいいアクセントとなったものが多い。

これらユニークなカクテルを考案しているのは、このバーのコンサルティングを担当している近藤喬哉(たかや)さん。オープンに向け30種のカクテルを提案し、そのうち生き残ったのがいまのグランドメニュー。特に“お茶漬けマティーニ”はじめ日本らしさを出した8種のシグネチャーカクテルは今後も続く名物となりそう。いまは2ケ月に一度ロンドンかシンガポールに行き、新たなカクテルのアイデアを模索しているとのこと。
「バーのスタイリッシュな内装をさらに華やかにするのはドリンクの存在。空間をより盛り上げる一杯を考えるようにしています」とは近藤さん談。
また近藤さんは、オープンに向け、8人の優秀なバーテンダーたちをヘッドハンティングしました。

「某ホテルのチーフバーテンダーをしていた腕利きから、カクテルのワールドカップの入賞者、実力派フレアバーテンダーなど精鋭揃いです。西新宿というビジネス街をカクテルで変えたいと思っています。20〜30代の人たちも、恵比寿や渋谷方面だけじゃなく、こういう場所にも遊びに来てほしいですね」

シェアして楽しい、フードにも注目!

フランス人のフィリップ・エガロン総料理長が監修するフードメニューもなかなかの充実ぶり。上 “シャルキュトリ グルメ”(¥2,500)は3名分のオードブルの盛り合わせで、イベリコハムやチョリソーのピンチョス、レバームース、鳥のリエット、パテ、自家製パンなど、これだけで相当なボリューム。

中 フランスのキャビアメーカーKaviari社とコラボしてつくった“ZATTA キャビア”(¥6,000)。サワークリームとポテトのガレ付き。このキャビアはケースごと販売されており、テイクアウトすることもできる。

下 “ホット ブリー チーズ メルト”(¥2,200)はベリーのジャムと相性が抜群。パイを割れば熱々のブリーがとろけだす。

ホテルに着いたら、まず「TSUNOHAZU」を歩くべし

また「ZATTA」に行く前に、「TSUNOHAZU」で食事、もしくはこのフロアをぐるりと歩いてみることはマストです。というのも、ここは3つのレストランにバー&ラウンジ、パティスリーカウンターで構成され、店を隔てる壁はなく、まるでラグジュアリーなフードコートか異境のマーケットのような趣き。歩いているだけで高揚するんです。

フランス人のシェフが料理を仕上げている姿もあれば、ガラスごしにみえる中華料理人や、白木のカウンターにいる寿司職人、熟成肉が吊るされたショーケースなどなど、一歩進むごとに次から次へと新しいものが見えてきて、どんなすれた大人もここでは自然とワクワクするはず。

私はまだバーにしか行ったことがないのですが、次は是非ステーキを食べ、そしてそのあとにカクテルを飲んでみたいものです。

こちらは熟成肉をうりにした「メトロポリタングリル」の前菜の新作。スコットランド産のサーモンにキャビア、苺とストロベリービネガー、グレープフルーツにクリームチーズを合わせた一品。海の香りのなかに苺の甘酸っぱさがあり、ディルは爽やかな香りをプラス。ブリオッシュにのせて食べればさらに美味しく、ひと口食べてすぐにシャンパンを欲します!!

※表示料金には別途税金とサービス量が加算されます。

PROFILE
大石 智子

編集者・ライター。出版社勤務を経てフリーランスに。『GQ JAPAN』『東京カレンダー』『LEON』『メンズクラブ』など男性誌を中心に活動。趣味は海外のホテル&レストランリサーチ。

「真冬のうなぎ」がとまらない。

料理の完成はご自宅で!? この店だけの名物料理


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