- SHOP INFO
- にほん酒や
- TEL:0422-20-1722
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町2-7-13 レディーバードビル101
営業時間:17:00~24: 00(土日祝は13:00~)
※夜の部のお食事は入店から2時間程度
定休日:木 ※臨時休あり。詳しくはHPをご確認ください。
席数:18席(カウンター10席、テーブル8席)
HP:http://web-farmer.jp/
…あぁ日本で暮らしていてよかったなぁ。と思いに浸る瞬間を挙げればキリがありません。例えば、温泉に肩まで浸かった瞬間とか、もちもちした新米の白めしを噛み締めている瞬間とか。まぁいろいろありますが、寒さも緩むこの時期に、桜の花に思いを馳せつつ、真っ昼間から日本酒をちびちびするひと時もまた然り。日本はやっぱり、桜と米だ!
というわけで、この時期にご紹介したいのは、日本酒好きの間では名の通るこのお店。吉祥寺の「にほん酒や」です。夜はいつ訪れても店内は盛況。土日祝日は午後1時から「昼酒」も営業中というわけで、これも人気。3月上旬のとある土曜日もほぼ満席で、予約なしで訪れたお客さんが、心残りといわんばかりに店をあとにする姿も、この店の名物(?)なのかもしれません。
その名のとおり日本酒を美味しく愉しめるこのお店が推奨するのは、お燗酒。冷やしても美味しいけれど、燗でこそ愉しめるお酒しか、この店にはありません。10席のカウンターと8席のテーブルには、一人ひとつずつ可愛い杯台も置かれていて、着席するや日本酒気分が急上昇するという仕組み。
品書きを眺めれば「お燗のお酒は、お風呂に入っているみたいにポカポカ酔えます」。
桜の時期に酒で風呂!?
…まさに「日本に生まれてよかった感」のオンパレードじゃありませんか。日本酒は温度によって合う料理も異なるものですが、聞けばからだへの吸収もまったく異なるそう。店主の高谷謙一さんによれば、冷酒の場合は、からだの中で温められてから吸収されるので、酔いがいっぺんに回ることが多いそうですが、お燗酒は口に含んで胃の腑に落ちる度に吸収されるというわけで「ポカポカ」なのです。
一杯目はすっきりとして優しい味わいの鯉川酒造(山形県)の「亀治好月」。アテは日替わりの酒肴がおまかせで盛り付けられる「酒肴3品盛り合わせ(900円)」です。
ちなみにこの日は、スズキの白子&ヒラメの肝と、自家製のXO醤(ホタテと干海老のうま味に、唐辛子の辛さが差し込んで、これまたお酒がススムという塩梅)、そして、だいこんと青しそと鰹節を梅肉で和えた「浦里」という名の和え物。実はこの「浦里」とは、江戸時代の吉原のとある花魁の名前だとか。お気に入りの旦那のためにだけ、翌朝に花魁自らがつくった料理だそう。
ちょっと気になって他の席を眺めれば、小説をオツマミにして燗酒を楽しむ一人女子あり、自家製の「鰈の一夜干し」をつつきながら盃を酌み交わす男子5人組あり。
店内に満ち溢れる日本酒ラブ度に引っ張られつつ、青森県産の「筒井かぶの菜のおひたし(700円)」と「お造り(1,100円 ※日によって価格が変動)」を注文(左から順に、ヒラメ、ナガスクジラ、わさびではなく辛子で食べるブリの漬け)。「日本酒は懐が深い」という高谷さんの言葉どおり、いかにも日本酒に合いそうなおつまみだけでなく、自家製だというソーセージやイベリコ豚のローストなどにも、燗酒なら微塵の違和感もなく寄り添うのだから不思議です。
さて。あれこれとつまみながら、お燗酒をちびちびしているうちになんだかからだが温まってきました。酒も料理も雰囲気も、すべてが愉快すぎるため、永遠に腰が上がらなくなりそうなので、このへんで。「後ろめたさも味のうち」とはよく言ったもの。真っ昼間から盃を傾けるというこの時間が実に美味。「にほん酒や」の昼酒は土日祝日のみです。みなさんもぜひ「酔い週末」を!
生わさびめし(650円)
牡蠣のじんだ煮
九州北部の郷土料理。本来は、米ぬかを味噌の代わりに使ってサバなどの青魚と一緒に煮込む料理。一緒に軽く煮こまれただいこんの鬼おろしの、シャリシャリした食感と爽快な香味が、牡蠣の濃厚なうま味の間にうまい具合に刺さって美味。(1,600円)
自家製ソーセージ
レモン汁、レモンピール、レモングラス、パセリなどを練り込んだ自家製。肉の濃厚なうま味にハーブとレモンの香りが絡まったエスニックな味わいなのですが、これが、なかなかどうしてお燗酒と激合い。日本酒の懐の深さを思い知ります。(1,500円)
白子の幽庵焼き
魚は主に小田原産。網で海底を総ざらいする底引き網ではなく、魚を囲い込む定置網で獲られた魚にこだわって仕入れているそう。これは醤油ベースのタレに漬け込んだ白子をグリルして仕上げた一品。濃厚な白子をお酒が洗ってくれる感覚が美味すぎ。(1,300円)
※料理の価格は全て税抜き表記です。