食べて「発見」。

私的、ホテルの朝食ビュッフェNO.1


Dec 22nd, 2015

text_tomoko oishi
photo_sono(bean)

私ごとですが、本日人生初のファスティング体験一日め。すでにお腹が空いているのですが、今日から2日間、アミノ酸と野菜ジュースしか口にできません。ただいま朝の8時半。まだ始めて2時間しか経っていないというのに、なんという口寂しさでしょう。美味しい朝ごはんを食べたい……。というわけで、今回は都内のホテルの朝食ビュッフェのなかでも、私が一番好きな「シャングリ・ラ ホテル 東京」の朝ごはんの紹介です。

SHOP INFO
シャングリ・ラ ホテル 東京「ピャチェーレ」
TEL:03-6739-7898
住所:東京都千代田区丸の内1-8-3 シャングリ・ラ ホテル 東京28F
営業時間:朝食営業6:30〜10:00(土日祝日〜10:30)定休日なし
料金:朝食ビュッフェ ¥4,400(税・サービス別)
席数:110席
公式サイト

ごはんに味噌汁と納豆、トーストとコーヒーetc. 本来、欲張らなければ朝食はそれだけでも十分ことたりるはず。そんな日常と比べるとホテルの朝食ビュッフェの品揃えは異例で、朝からやりたい放題を叶えてくれる、テーマパークに来たかのような楽しさがあるかと思います。

朝食の品目数が100種を超えるホテルもいくつかあります。そのなかでも今回「シャングリ・ラ ホテル 東京」を選んだのは、128種という品目数に加え、他のホテルにはないある贅沢なオプションが朝食ビュッフェにつくからです。

それがこちらのメニューボード。朝、レストラン「ピャチェーレ」の席につくと、ゲストはひとりひとりこの大きな皮張りのメニューを渡され、ビュッフェ以外にオーダー料理を15種のなかから自由に選ぶことができるのです!

しかもそこに並ぶのは、“マンゴーパンケーキ・ミントとサワークリーム”“卵ジャー スチームした卵 マッシュポテト 黒トリュフと新玉葱”といったひと技かかったメニューの数々。さらに和朝食セットや中華朝食セットまで選べる大盤振る舞いです。普通のホテルだと卵料理が選べるくらいですが、ここはオーダーメニューの範囲がとても広い。今回この点がイチオシなので、先にずらっと見せてしまいますね。まずは11種もある卵料理のうちの4種です。


“オムレツ”トッピングとサイドディッシュは計8種ずつ

“エッグベネディクトのアイリッシュ風 コーンビーフ オランデーソース”

“1894年オリジナルレシピのエッグベネディクト ベーコンとオランデーズ”

“卵ジャー スチームした卵 マッシュポテト 黒トリュフと新玉葱”

そしてこちらはコンチネンタルのセット。ビュッフェにプラスこれもオーダーできてしまうという、もう祭りですね。ああ、お腹が空いた……。

イチオシの“マンゴーパンケーキ・ミントとサワークリーム”。今すぐにもう一度食べたい!

これだけオーダーメニューが充実しているのは、総料理長のアンドレア・フェレーロ氏の「出来立てを楽しんでいただきたい」という強い想いがあるから。ちなみにアンドレア氏の前職はミラノのブルガリホテルのエグゼクティブ シェフ。シェフの料理をタパスとしてひとり¥5,000ほどで食べられる夕方以降の「タパス by ピャチェーレ」もかなりお得でおすすめです。

さて、このようなラインナップのオーダーメニューを頼んだら、ビュッフェ台に向かいます。

最近のホテルの朝食ビュッフェの傾向はヘルシー嗜好。チアシードやキヌアなどのスーパーフードを揃えていたり、野菜ジュースやクレンズに力を入れているところは多いかと思います。ここ「ピャチェーレ」でも、チアシードやアサイーパウダーが置かれていました。

器はすべてアンドレア氏がこだわりをもって選んでいます。サラダもよくある皿盛りじゃないし、自家製グラノーラの器はもはや料理用かも謎な品物。そんなユニークさもここが好きな理由です。

パンは自家製と、メゾン・カイザーほかシェフお気に入りのパン屋からの買い付けを織り交ぜた内容。

マレーシア人のシェフもいるため、朝から海南チキンも食べられます。

さらに注目は自家製のジュース。上は日替わりのスムージーでこの日は洋なしとさくらんぼ。下は特製のメロンジュースで、これを飲むためだけでも来たい、なかなか凄い一品です。安定した甘さを保つため、各地から取り寄せたメロンを糖度別に分けてからブレンドするという手間の入りよう。飲むとまるでメロンにむしゃぶりついているような感じで、この一杯だけでも幸せになれます。牛乳とわってメロンオレにするのもあり。

そうビュッフェやメロンジュースを堪能しているうちに、この日私が頼んだオーダー料理がやってきました。

“アメリカーノパンケーキ ベーコン メープルシロップ”
まるで草履!! 見た目はちょっとアレですが、食べるとクセになる味わいなんですよ!しっとりしたパンケーキにベーコンの塩気、メープルシロップをたっぷりかけて、これはもう煩悩の塊ですね。ファスティング中に見るにはなかなか厳しい写真です。

また香港のデザイナー、アンドレ・フー氏による優雅な店舗デザインも、気持ちのいい朝食タイムが過ごせる大きな理由。1960年のイタリア映画『甘い生活』がテーマになっており、映画では欲にかまけて贅沢に過ごす貴族たちが描かれていますが、そんな貴族たちが居そうなダイニングとして豪奢かつエレガントにデザインされました。この空間ではしばし現実を忘れ好き勝手に過ごしてください、ということでしょうか。窓際の席からは東京駅や丸の内のビル群が見えます。

結論として、「ピャチェーレ」はシェフが個性的なので朝食も面白い。ホテルによくあるお決まりの朝食ビュッフェではなく、オーダー料理も字面だけ見ても頼んでみたくなるものばかりです。それでついつい食べ過ぎて、レストランを出るころには二度寝したくなるほどまったりモードに。『甘い生活』よろしく、朝から贅沢して昼寝という、怠惰な週末を過ごすのにいかがでしょうか?

※朝食予約は宿泊者優先。外来の方の利用については事前にお問い合わせください。

PROFILE
大石 智子

編集者・ライター。出版社勤務を経てフリーランスに。『GQ JAPAN』『東京カレンダー』『LEON』『メンズクラブ』など男性誌を中心に活動。趣味は海外のホテル&レストランリサーチ。

「食べること」に真正面から向き合える店。…素敵です。

とことん飲兵衛に寄り添う、悶絶必至の名酒場。


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