TRAVEL TICKET

01 イタリアの旅。


Jan 22nd, 2014

photo & text_aya tokunaga

海外旅行、一人旅、家族旅行……。旅とは一体何なのでしょうか。一歩外にでるだけでも、視点を変えれば旅とも感じることができます。毎日を少し面白くしてくれる、徳永さんの写真と言葉のコラムがスタートします。


旅の醍醐味は とにかく非日常感!
普段と違う場所に身を置くと違った空気、違った音、違った光を感じて
生きていることを改めて実感する。

旅は日々の暮らしで気づかぬうちに詰まった背骨に空気を通す様なかけがえの無い時間。

いつもと似た風景でも
違ったにおい、違った記憶、呼び起こされるものはとめどない。

スピード感や生きている空気を身にまとって旅に出たい!

旅にでると普段の生活をしているときと別の回路が目覚める。
目的地がどこであれ。

ここはイタリア。
ヴェネチアの駅に電車が滑り込んで行く。
曇ったガラスを通してサンサンと降り注ぐ光がまぶしい。

彼の地でも人々がいきいきと暮らしを営んでいる。
迷い込んだ細い路地、ふと見上げると沢山の洗濯物が干してある。
色とりどりの布が風に揺らめく様の美しい事!洗濯物なのに!!

イタリアで感じた降り注ぐ光。
朝顔が咲き乱れる壁。
どこにでもありそうなこんな風景が心に響いたりするのも、非日常感が大きく影響しているのかもしれない。
強い光が落とす美しい影。

枯れてもこんなに美しい自然の中のひとこま。

街をそぞろ歩く。

可愛いお菓子をみつけた!色とりどりのフルーツの形のマジパン。

街中の宿の窓を見下ろすと、のんびりと猫がくつろいでいた。

何でもない風景。
それなのに何故か心に残っている。

路地裏の小さなお店のディスプレイ。

アリの行列があまりに可愛くて揃えたい、でも高くてとてもじゃないけど沢山買えない!

そんなときはパチリ。

これでも充分満足。
時には所有しない喜びもある。

イタリアでは至る所に教会を見る。

静かに中に入り、厳粛な気持ちになる。でも、そこはイタリア。静かにしていないといけないのかと思いつつ、おじいさんがにじり寄ってくる。

共通言語がないままに、一生懸命何やら説明してくれるおじいさん。

天井画の説明で、『ここの端から見るとあっちの端が立体的に飛び出て見えて、あっちの端から見るとこっちの端が立体的に見えるんだよ~』という意味の事を説明してくれた。

なるほど、そう思ってみるとより立体感を感じるから不思議。

そして、ボディーランゲージ以外の共通言語がないおじいさんがこんな複雑な説明を見事にしてのけて、一旅行者の私が理解出来た事がもっとフシギ。

夕暮れを感じる時間も
日常の喧噪から離れてみるとゆっくりと自分自身を感じる時間になる。
昼の強い光はすっかりと影をひそめて青い時間が訪れる。

ソレント。
ナポリ民謡で有名なこの街で目にした夕陽。
この夕陽を目にする為にここを訪れる観光客も多いという。

自然の夕陽の美しさもさることながら人の作り出す灯りも美しい。
そこに集う人々の体温を感じ、喧噪を感じ、物語を感じる。

そろそろこの旅も終盤を迎える。
行く手には 光が待ち受けている。
ここは元修道院だったところ。
その場所が持っている物語もさることながら
その場所自体のまとった空気が異邦人には心地よい。

さてさて
次はどこに行こうかな。


PROFILE
徳永 彩

東京生まれ。多摩美術大学を卒業後、96年より活動を開始。Bibliothèque Nationale de France、神戸ファッションフォトミュージアムなどに作品が永久収蔵。現在は、雑誌・広告・CDジャケットなどを中心に活動。

02 バリ島の旅。

04 旅先の壁。


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