これまでアッパーイーストサイドにあったホイットニー美術館が、この5月1日、ダウンタウンのミートパッキング地区に移転し新オープンしました。立地はこの界隈の名物ともなっているハイラインパークの南端、ガンズブールストリート沿いで、新ビルディングはイタリア人建築家レンゾ・ピアノによる設計です。
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レンゾ・ピアノは日本では関西国際空港ターミナルや銀座のエルメスビル、そして最近ではニューヨークのニューヨークタイムズ本社などもデザインしている著名建築家です。移転前のホイットニー美術館はモダニズム建築の巨匠といわれるマルセル・ブロイヤー作のビルで、これはニューヨークの名建築のひとつともいわれているものなので、ピアノ氏は「デザインするにあたっては正直プレッシャーがあった」とも語っています。ちなみに旧ホイットニーのビルはこれから数年間メトロポリタン美術館がリースすることになっています。
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新ホイットニーは地下1階、地上8階建ての9フロア、展示会場の面積も4600㎡とこれまでよりも広々としたつくりになっています。コンセプトとしてはパブリックエリアが多く設けられていること、そしてニューヨークの風景が楽しめるつくりになっていることが大きな特徴です。
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1階にはレストラン、8階にはオープンエアのカフェもあり、これらはニューヨークで数々の人気レストランをプロデュースするダニー・メイヤーによるもの。そして8階から6階までは屋外テラスを結ぶ外階段があり、この階段はニューヨークのビルにお馴染みの“ファイアーエスケープ”をイメージした、とのことです。
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各階には大きなガラス窓や、ゆったりと外の景色が眺められるソファーなどが設置されており、アートはもちろん、ニューヨークの景観自体もまるで作品のように楽しんで欲しい、そんな意図も感じることができます。
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オープニング企画展のタイトルは「AMERICA IS HARD TO SEE」。20世紀初頭から現代まで約600点の作品を時系列に展示するもので、アンディ・ウォーホルやジャスパー・ジョーンズ、ホックニーやバスキアなど、それぞれのとらえるアメリカがその時代性とともに浮きぼりにされる、という内容です。
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オープンにあたっては、オバマ大統領夫人のミシェルも来館し、盛大なセレモニーも開催されました。これまではファッションやグルメ、ナイトライフのイメージが強かったミートパッキング地区ですが、ホイットニー美術館のオープンによりまた新たな一面が加わり、さらに盛り上がっていきそうです。
Whitney Museum of American Art
99 Gansevoort Street, New York
T:2120570-3600
10:30~18:00 (Mon, Wed, Sun)
10:30~22:00 (Thu, Fri, Sat)
火曜定休
http://whitney.org
Photos :
Cover, ※1~5
by Nic Lehoux
※6 by Filip Wolak