日本食の再ブームに加え、健康志向も強いニューヨークで今、人気に火がつきはじめているのが抹茶です。実際、Matchaと英語でも分かる人が増え、この秋はブルックリンに抹茶専門の「MatchaBar」がオープンしました。ここは人気のデザインホテル「Wythe Hotel」の斜め前といった好立地にあり、トレンドに敏感な若者を中心に紙コップでカジュアルに抹茶を飲む姿が見られます。
オーナーはアメリカ人の兄弟、マックスさんとグラハムさん。マックスさんは学生時代に日本を訪れたことがあり、そのときお茶会に出席し抹茶を飲んだことがあるそうです。その後大学生になり「すっかり不摂生な生活をしていたのだけど、ある日、日本で飲んだ抹茶のことを思い出したんだ」というのがオープンのきっかけ。
グラハムさんは「抹茶は他のカフェイン飲料と違って、鎮静効果や集中力をもたらし、抗酸化作用も高い。エネルギーをクリアにしてくれる。ニューヨーカーたちはとてもスマートだから、この街で成功するには単にワーカホリックになるだけじゃなくて、健康的なライフスタイルこそが重要ってことをよく分かってるんだ」と言います。
ここの抹茶は茶筅でなく、ミルクシェイクを作る電動マシーンで攪拌するという手法をとっているのが特徴。牛乳を混ぜた“Matchaccino”($4.35)やアーモンドミルクを使った“Vanilla Armond Latte”($4.6)といったミックスドリンク、“Matcha Macaroon”などスイーツも充実しています。
一方で、マンハッタンをベースに本格的な緑茶文化全般を発信しているのが「Ippodo Tea, New York」です。ここは京都の一保堂茶舗による海外初店舗で、昨年4月にオープンしました。
USA社の社長 狩野憲一さんによれば「ニューヨーク店でも抹茶をお求めになる方が日に日に増えている状況。特に海外では茶筅を使って抹茶を点てるということに抵抗感が低いとも感じます。日本の人にとっては意外なようですが、これは茶道という文化的所作を超え、抹茶と湯を混ぜ合わせるというのに効率的かつ、効果的という認識が進んでいるせいか、とも思います」とのこと。
ニューヨーク店では、カウンター越しにスタッフが抹茶を点てる様子を間近で見ることができるというのがコンセプトの内装になっています。さらにお客さんが気軽に参加できるお茶のワークショップも随時開催されており、抹茶はもちろん、緑茶全般に関する知識を深めることもできます。
ショップでは “ TO GO(お持ち帰り)”のメニューもあり、薄茶は$4.25、濃茶は$5.75ですが、もしもお客さん自らが点てたい、という場合は50¢割引といったサービスも行なっています。
これまで海外で抹茶はクッキーやアイスクリームなど飲むよりは食べる方から普及していきましたが、これについて狩野さんは「これは日本でコーヒーが普及していったときとよく似ています。日本でもコーヒー味のスイーツから一般化し、今では質の高いコーヒーが親しまれているように、抹茶も今、だんだんとグレードが高いもの、お茶会でも出せるような最高級のものまでが浸透してきています」ということです。
MatchaBar
93 Wythe Avenue, Brooklyn, NY
8:00AM-7:00PM (Mon-Fri), 10:00AM-7:00PM (Sat & Sun)
http://matchabarnyc.com
Ippodo Tea, New York
125 East 39th Street, New York, NY
11:00AM~7:00PM (Tue-Sun), 月曜定休
http://www.ippodo-tea.co.jp/en/shop/ny.html