バレンタインデーも近づき、華やかなチョコレートボックスやギフトがさまざまなショップでディスプレイされる季節となりました。バレンタインにチョコレートを贈るのはニューヨークでもポピュラーなことですが、今回はちょっと変わったチョコレートの楽しみ方をご紹介しましょう。今、日本でも輸入が始まっている「MAST BROTHERS(マストブラザーズ)」はリックさんとマイケルさん兄弟が2006年にブルックリンのウィリアムズバーグ地区で始めたチョコレート屋さんです。
チョコレートが大好きだったリックさんが自宅でカカオ豆と砂糖を混ぜ合わせてチョコレートを作ったのが始まりで、Bean-to-Barといわれる板チョコ(チョコレートバー)で人気となり、豆自体を仕入れて最終包装までを手づくりしているというこだわり派です。
そのMAST BROTHERSが、昨年フラッグシップショップ兼工房の近くに「Brew Bar」という新しい店をオープンしました。チョコレートを使った飲み物といえば真っ先に思い浮かぶのはホットチョコレートかココア、ですがここのメニュー「Brewed Chocolate」は全く異なる飲み物です。
メニューにはドミニカ共和国、ペルー、マダガスカルといった国名が並んでいますが、これはカカオ豆の原産国。いわゆる“サードウェーブ”のコーヒーと同じく、“シングルオリジン”の豆を使い、まるでカカオ豆をコーヒーのように焙煎してドリップするという手法をとったドリンクなのです。
まるで化学の実験室のようなしつらいの、同時に機能美にあふれたミニマルなセッティングの店で一杯ずつ作られる全く新しい感覚のチョコレートドリンク。ルックスは透明感のあるブラウンで、一見紅茶のようですが、香りは確かにチョコレートのそれ。しかし味わいは私たちが知っているホットチョコレートとは全く異なり、砂糖が入っていないのでお茶を飲んでいるような感覚です。豆により、スモーキーだったり、フルーティだったり、という違いもあり、まさにまさにグルメコーヒーやワインテイスティングのごとく、味わい深く楽しめる飲み物ともいえそうです。ホットとアイスの両方があります。
店にはもちろんMAST BROTHERSのチョコレートバーも売られているので、チョコレートと一緒に一杯、というのもいいかもしれません。ちなみに、バレンタインに対して、日米最大の違いは、日本は女性から男性へチョコレートやギフトを贈るのに対し、アメリカでは男性から女性へ贈る、というのが習わしということです。日本の女性読者の方は今頃、本命から義理チョコまでたくさんのチョコレートをご用意されていることと思いますが、こちらでは女性がギフトをもらう日なので、私はこのチョコレートドリンクでも誰かにごちそうしてもらいたいものです(笑)。
Mast Brothers Brew Bar
105A North 3rd Street, Brooklyn NY
10:00-19:00 (Mon-Sat), 10:00-17:00 (Sun)
http://mastbrothers.com