ニューヨークの日本食ブームの中で今、まさに破竹の勢いといっていいのがラーメンです。ラーメン店はこれまでもありましたが、日本のチェーン店一風堂の上陸やラーメン好きとしても知られる韓国系アメリカ人シェフデヴィッド・チャンがラーメン店をオープンしたことから、よりニューヨークでも一般的になったようです。
そんなブームの中、まさに真打! ともいえるラーメン店、その名も「Ramen Lab」がオープンしました。ここのオーナーシェフは日本でラーメン界の革命児ともいわれた中村栄利さん。彼は「中村屋」の創始者として90年代後半から日本でラーメンブームをつくった人です。
「Ramen Lab」はニューヨークで初めての立ち食いラーメン店。シンプルな木材のカウンターには椅子がなく、中村さんによれば「14人まで入れますけど、そのときは皆さん斜めになってラーメンを召し上がってますね(笑)」とのこと。現在は開店の17時前から連日行列ができている、という人気ぶりです。
ふたり入れば満員という広さの、まるでコックピットのようなカウンター内。ここでは中村さんと共に、12年間日本に住んだこともあり「ラーメンが大好物」というデヴィッドさんが一緒にラーメンを作っています。
ここのお薦めは鶏ガラスープによる醤油ラーメン($13)。「今、ニューヨークでは豚骨が人気ですが、あえて昔ながらの醤油ラーメンの良さを伝えたかった」とか。クリアなスープにチャーシューとほうれん草、メンマ、海苔、そしてなるとが入った王道ともいえるシンプルなラーメンです。
麺はハワイに発祥して、今はロサンゼルスやニュージャージー州にも工場を持つSun Noodle製。中村さんはもともとフードコンサルタントとしても活動されていましたが、そのときロサンゼルスでSun Noodleの2代目夘木(うき)健士郎さんと出逢い、この「Ramen Lab」を立ち上げるに至った、ということです。
最近のラーメンブームについて中村さんは「肉と野菜、炭水化物、スープまで、どんぶり一杯で完結するシンプルメニューというのがアメリカ人に受けたのでは? 最近ではニューヨークの色んなお店を食べ歩いて、ラーメンの知識が豊富なお客さんも多いですね」と分析します。
アメリカ人にとっては昔からチキンヌードルスープがいわゆる“おふくろの味”ですが、もしかしたら中村さんのつくるラーメンもそれに通じるところもあるかもしれません。そして中村さんの十八番「天空落とし」と呼ばれる麺の湯切りも間近で楽しめます。そんなエンターテイメント性もアメリカ人には評判のようです。
Ramen Lab
70 Kenmare Street, New York, NY
T: 646-615-7522
17:00~22:00 (火〜土曜)、日&月曜定休
http://www.ramen-lab.com/