HELLO! FROM NEW YORK

40周年を迎えたプリンテッド・マターが移転オープン!


Feb 10th, 2016

edit_akiko ichikawa

1970年代からアーティストたちの自費出版本を世に送り出す書店として運営を続けてきた「Printed Matter, Inc (プリンテッド・マター・インク)」。そのはじまりはアーティストのソル・レウィットとルーシー・リパードのふたりが中心となってトライベッカに設立されました。

1970年代からアーティストたちの自費出版本を世に送り出す書店として運営を続けてきた「Printed Matter, Inc (プリンテッド・マター・インク)」。その始まりは、アーティストのソル・レウィットとルーシー・リパードのふたりが中心となってトライベッカに設立されました。

今年ちょうど40周年を迎え、最近新装移転オープンしたスペースはチェルシーのギャラリー街、11番街にあります。ここには常時6,000名のアーティストたちによる15,000冊もの本が売られています。

ユニークな点はほとんどが自費出版かスモールプレスで、アーティスト自身の持ち込みによって成り立っていることです。年間32,000点ものアーティスト本が取り扱われているそうです。

新ロケーションは2階建てで、名もないアーティストたちが手作りしたジンもあれば、2階のガラス棚にはトム・サックスなど有名アーティストによる希少な本もあります。

そして店内にはギャラリースペースも設置され、プリンテッド・マターがピックアップした新進アーティストの展覧会も常時行われています。ほかにも、アーティストによるトークやレクチャー、自主企画のイベントも企画されており、書店という枠にとらわれず、より広い視野でアートの楽しみ方を追求する、といった姿勢が感じられます。

また、年に2回、ニューヨークとロサンゼルスでアートブックフェアも主催しているのですが、オンラインメディアが隆盛し、本という媒体の需要が減っているのでは? と思いきや、新しいアートの可能性やインスピレーションを求め、フェアには毎年多くの人々が集っています。

移転したプリンテッド・マターの場所も決して地の利がよい、といえる場所ではないのですが、私が訪れた日も老若男女、たくさんのお客さんが集っていました。6,000人ものアーティストが試行錯誤、アイディアをしぼった作品が凝縮した空間は、圧倒的なエネルギーが感じられます。サイズやデザイン、とじ方や出来など、実に雑多な本がずらりと並ぶさまは、まさにバラエティに富んだカルチャーを包括しているニューヨークという街によく似ています。

本以外に、アーティストたちがデザインしたトートバックやTシャツ、缶バッチやペンといったグッズも展開されているので、ニューヨークのおみやげを探しがてら立ち寄ってみるのもおすすすめです。

Printed Matter, Inc.
231 Eleventh Ave. New York
Tel: 212-925-0325
11:00~19:00 (月〜水・土)、~20:00 (木・金) 日曜定休
http://printedmatter.org

Navigator
市川 暁子

フリーランスのジャーナリストとしてNYのファッションやカルチャー、ライフスタイルに関する記事を雑誌や新聞に寄稿。NYコレクションの取材は10年以上続けており、CFDA(アメリカファッション協議会)ファッション大賞のデザイナーもノミネートしている。ほか、並行してブラジルのサンパウロおよびリオのファッションウィーク取材も継続中。2007年には『NYのおみやげ』(ギャップジャパン)を、2013年にはブラジル人イラストレーター、フィリペ・ジャルジンの作品集『スケッチ&スナップ』(六燿社)を編集、出版した。
www.originalslope.com

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